問題提起
弁護士を探すとき、多くの人がまずウェブで検索する。検索結果には、法律事務所のサイトや広告が多数並び、「解決実績」「専門」「無料相談」などの言葉が目立つ。どのサイトの情報が信頼できるのか、どこを読めば自分に合った弁護士かが分かるのかを知っておくと、選ぶときの判断材料になる。
弁護士に相談する前に知っておきたい法律の要点を、分野ごとにスレッド形式でまとめています。
弁護士を探すとき、多くの人がまずウェブで検索する。検索結果には、法律事務所のサイトや広告が多数並び、「解決実績」「専門」「無料相談」などの言葉が目立つ。どのサイトの情報が信頼できるのか、どこを読めば自分に合った弁護士かが分かるのかを知っておくと、選ぶときの判断材料になる。
弁護士の広告の内容を直接定めた法律の条文はなく、日本弁護士連合会の会規である「弁護士等の業務広告に関する規程」とその運用指針が決まりを設けている。規程は、弁護士がしてはならない広告として、次のようなものを挙げている(規程3条。条文の原文は日本弁護士連合会の規程集で確かめる)。
・事実に合致していない広告
・誤導または誤認のおそれのある広告
・誇大または過度な期待を抱かせる広告
・困惑させ、または過度な不安をあおる広告
・特定の弁護士や法律事務所と比較した広告
・法令や日本弁護士連合会・所属弁護士会の会則・会規に違反する広告
・弁護士の品位または信用を損なうおそれのある広告
また、規程は、訴訟の勝訴率などを広告に表示してはならない事項としている(規程4条)。
弁護士でない者が、弁護士または法律事務所と表示することは法律で禁止されている。
弁護士又は弁護士法人でない者は、弁護士又は法律事務所の標示又は記載をしてはならない。弁護士法74条1項(e-Gov法令検索で原文確認)
読むところ|確かめること
弁護士の氏名・所属弁護士会|実在する弁護士か。所属弁護士会が書かれているか。登録の有無は日本弁護士連合会の弁護士の検索などで確かめられる。
事務所の所在地・連絡先|相談に行ける場所か。オンライン相談の可否。
取扱分野|自分の問題の分野を扱っているか。「専門」の表示は、公的な認定を受けたことを意味するものではない。
費用|相談料、着手金・報酬金の計算方法、実費・日当、消費税込みか。「着手金0円」の場合の報酬金の計算方法。
解決事例|事例は個別の事情によるもので、同じ結果になることを保証するものではない。
運営者|サイトの運営者が法律事務所そのものか。法律事務所以外の名称(「〇〇センター」など)を使っていても、運営する法律事務所・弁護士が書かれているか。
実務の視点 気になる事務所が見つかったら、サイトの費用の表を印刷するか画面を保存しておき、相談の場で「自分の場合はどの項目がいくらになるか」を確かめるとよい。弁護士は、事件を受任する際に、事件の見通し、処理の方法、弁護士報酬と費用を説明しなければならないとされている(弁護士職務基本規程29条1項)。
1. 弁護士を探している人が、検索や紹介で、自分の問題の分野を扱う事務所を2〜3か所程度選ぶ。
2. 弁護士を探している人が、各サイトで弁護士の氏名・所属弁護士会、取扱分野、費用の表示を読む。
3. 弁護士を探している人が、相談を申し込む。相談の申込みでは、相手方の氏名・名称を伝える。
4. 相談の場で、相談した人が、見通し、進め方、費用の見積りを尋ねる。
5. 相談した人が、説明の内容と費用を比べて、依頼するかどうかを決める。依頼する場合は委任契約書を作る(弁護士職務基本規程30条1項)。
① 検索結果の上位に表示される事務所が優れているとは限らない。 検索結果の上位には、検索連動型の広告(「広告」「スポンサー」と表示されるもの)が含まれる。表示の順番は、弁護士の能力や実績の順番ではない。
② 「専門」の表示は資格ではない。 弁護士の専門分野を公的に認定する制度は一般にはない。経験は相談の場で直接尋ねて確かめる。
③ 「無料相談」の範囲を確かめる。 初回だけ、一定の時間だけ、特定の分野だけが無料という場合がある。
④ 「着手金0円」でも費用がかからないわけではない。 報酬金や実費が別にかかることが多い。何に対していくらかかるのかを確かめる。
⑤ 事務所のサイトのように見えて、法律事務所でない者が運営するサイトもある。 運営者が弁護士・法律事務所かを確かめる。実在する弁護士の氏名を無断で使った偽のサイトやメールもあるので、弁護士の検索で氏名が見つかっても、送金や本人確認書類の送付の前に、日本弁護士連合会や所属弁護士会の情報など別の方法で調べた連絡先で確かめる。
・サイトを見て依頼を決めかけているが、費用の説明がはっきりしない
・「必ず取り戻せる」「すぐに解決」など、結果を約束するような表示を見た
・弁護士を名乗る者から連絡があり、登録されている弁護士か分からない
・期限が書かれた書類が届いていて、早く弁護士を決めなければならない
具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。
サイトを読むだけで依頼先を決めず、相談で直接説明を受けてから決める。相談の予約や問い合わせをしただけでは、期限は止まらない。期限が迫っている問題では、選ぶのに時間をかけすぎないよう、弁護士会の法律相談センターなどの窓口も並行して利用する。
法律事務所のサイトは弁護士の業務広告で、日本弁護士連合会の規程により、事実に合致しない広告や誇大な広告などが禁止されている。サイトでは弁護士の氏名・所属弁護士会、取扱分野、費用の内訳を読み、「専門」「実績」の表示や検索の順位だけで判断しない。最後は相談の場で見通しと費用の説明を受けて決める。
出典
弁護士法74条1項(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-19)
弁護士等の業務広告に関する規程3条・4条、弁護士職務基本規程29条1項・30条1項(日本弁護士連合会会規)