問題提起
弁護士事務所に行くのは敷居が高い、平日の昼間に時間が取れない――そんなとき、電話で相談できる窓口は便利である。ただ、電話では伝えられることに限りがあり、書類を見てもらえないまま一般的な説明だけで終わることもある。電話相談に向いている内容と向かない内容を知っておくと、電話を上手に使える。
弁護士に相談する前に知っておきたい法律の要点を、分野ごとにスレッド形式でまとめています。
弁護士事務所に行くのは敷居が高い、平日の昼間に時間が取れない――そんなとき、電話で相談できる窓口は便利である。ただ、電話では伝えられることに限りがあり、書類を見てもらえないまま一般的な説明だけで終わることもある。電話相談に向いている内容と向かない内容を知っておくと、電話を上手に使える。
支援センターは、第十四条の目的を達成するため、総合法律支援に関する次に掲げる業務を行う。
一 次に掲げる情報及び資料を収集して整理し、情報通信の技術を利用する方法その他の方法により、一般の利用に供し、又は個別の依頼に応じて提供すること。
イ 裁判その他の法による紛争の解決のための制度の有効な利用に資するもの
ロ 弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人及び隣接法律専門職者の業務並びに弁護士会、日本弁護士連合会及び隣接法律専門職者団体の活動に関するもの総合法律支援法30条1項1号。「支援センター」は日本司法支援センター〔法テラス〕(e-Gov法令検索で原文確認)
弁護士は、事件を受任するに当たり、依頼者から得た情報に基づき、事件の見通し、処理の方法並びに弁護士報酬及び費用について、適切な説明をしなければならない。弁護士職務基本規程29条1項(e-Gov法令検索で原文確認)
① 向いている内容。 「この問題はどんな制度で解決するのか」「どこに相談すればよいか」「相談に何を持っていけばよいか」「急いですべきことはあるか」など、制度や手続のあらましの説明、相談先の案内、相談の準備の助言。
② 限界がある内容。 資料を見てもらえない場合の、契約書・遺言書・示談書など書類の文言で結論が変わる相談、裁判所から届いた書類の内容や期限の確認、関係者が多く経緯が長い事案、証拠の評価が必要な事案。
③ 窓口の性格を確かめる。 法テラスの情報提供は、紛争の解決のための制度や、弁護士・弁護士会などの業務・活動についての情報や資料を提供する業務である(総合法律支援法30条1項1号)。法テラスは、電話やメールで問い合わせを受けて制度や相談窓口を案内する窓口(法テラス・サポートダイヤル)を設けている。この情報提供は、弁護士が個別の事案について法的な判断を示す法律相談とは別である。弁護士会や自治体などの電話相談には、弁護士が相談に応じるもの、法律相談の予約を受け付けるもの、制度を案内するものなど、さまざまな形がある。どの窓口が何をしてくれるのかを、各窓口の案内で確かめる。
④ 説明は伝わった情報が前提。 弁護士は、事件を受任するに当たり、依頼者から得た情報に基づいて見通しなどを説明する(弁護士職務基本規程29条1項)。電話相談でも、伝えた情報が不正確だったり、足りなかったりすれば、説明もそれに応じたものになる。
1. 電話をかける前に、相談したいことを一文でまとめ、時系列メモと手元の書類を用意する。
2. 電話の冒頭で、相談の目的と、期限がありそうかどうかを伝える。期限が近いときは、急いで対応してもらえる窓口や、期限までに必要な対応を確かめる。
3. 説明を受けたら、日付・窓口・相手の名前・説明の要点をメモする。
4. 書類を見てもらう必要があると言われたら、資料を送る方法や、対面・オンラインの相談の予約を確かめる。期限が近いときは、通常の予約日まで待ってよいかも確かめる。
実務の視点 電話では、書類の文言を読み上げても、相手が全体を把握するのは難しい。書類の題名、作成した人や機関、事件番号、書類に書かれた期日・期限に加え、いつ・誰が・どのように受け取ったかを伝える。書類の作成日だけで期限を判断せず、期限が書かれていない書類でも期限がないとは限らない。中身の検討は、書類を見てもらえる相談に回すという使い分けをするとよい。
① 資料のない電話の説明は一般論のことが多い。 資料を見ないままの電話で「たぶん大丈夫」と言われても、書類や事情を確かめたうえでの結論とは限らない。重要な判断は、資料を見てもらってからにする。ただし、期限が迫っているときは、資料を見てもらうまで待たずに、期限までに何をすべきかを電話で確かめる。
② 相談と、事件の依頼を区別する。 法律相談を受けただけで、相手方との交渉、裁判所への書類の提出、期限の管理などまで弁護士に任せたことになるとは限らない。一方で、契約は書面がなくても成立しうるので、電話でも依頼と承諾によって事件の受任が成立する場合がある。ただし、事件を受任した弁護士は、例外の場合を除き、弁護士報酬に関する事項を含む委任契約書を作成しなければならない(弁護士職務基本規程30条)。契約の成立とは別に、受任の範囲と費用は書面などで確かめる。相談だけなのか、その後の対応も依頼できたのか、依頼の内容・期限への対応・費用をはっきり確かめる。
③ 相談者や相手方を確かめられないことがある。 電話では、本人確認や、相手方の名前による利益相反の確認ができないことがあり、一般的な説明にとどめる窓口もある。
・裁判所や役所から書類が届いている
・契約書や示談書への署名・押印を求められている
・電話で受けた説明が、自分の事案に当てはまるのか分からない
・書類がなくても、時効が迫っているなど急いで対応すべき事情がある
具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。命や体に危険があるときは、法律相談の予約を待たず、警察(110番)や救急(119番)に連絡してください。
電話で相談したら、書類を見てもらう必要があるかどうかをその場で確かめ、必要なら早めに資料を送るか、対面やオンラインの相談を予約する。相談の予約や法律相談をしただけでは、時効や裁判の期限は止まらない。期限が近い、または期限が分からないときは、電話の冒頭でそのことを伝える。
資料を共有しない短い電話相談は、制度や手続のあらまし、相談先の案内、相談の準備の助言を受けるのに向いている。書類の中身や細かい事実関係で結論が変わる相談には限界がある。電話の説明だけで署名や支払を判断せず、期限が近いときは冒頭で伝え、相談と依頼を区別して確かめる。
出典
総合法律支援法30条、民法522条(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-20)
弁護士職務基本規程29条・30条(平成16年日本弁護士連合会会規第70号)