期限に注意
有罪となって訴訟費用(国選弁護人の報酬などを含む)の負担を命じられ、貧困のため完納できないときは、その裁判が確定した後20日以内に、裁判の執行の免除を申し立てることができる(刑事訴訟法500条)。期限を過ぎると権利を失ったり手続ができなくなったりすることがあり、いつから数えるか・延ばせるかは事情で変わるので、思い当たる方はできるだけ早く弁護士に確認してほしい。
弁護士に相談する前に知っておきたい法律の要点を、分野ごとにスレッド形式でまとめています。
有罪となって訴訟費用(国選弁護人の報酬などを含む)の負担を命じられ、貧困のため完納できないときは、その裁判が確定した後20日以内に、裁判の執行の免除を申し立てることができる(刑事訴訟法500条)。期限を過ぎると権利を失ったり手続ができなくなったりすることがあり、いつから数えるか・延ばせるかは事情で変わるので、思い当たる方はできるだけ早く弁護士に確認してほしい。
家族が逮捕されたが、勾留はまだ決まっていない。この段階では国選弁護人は付かないと聞いた。弁護士費用を払う余裕がないとき、勾留前から弁護士に動いてもらう方法はあるのか――そのための仕組みが刑事被疑者弁護援助である。
被疑者に対して勾留状が発せられている場合において、被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判官は、その請求により、被疑者のため弁護人を付さなければならない。ただし、被疑者以外の者が選任した弁護人がある場合又は被疑者が釈放された場合は、この限りでない。刑事訴訟法37条の2第1項(e-Gov法令検索で原文確認)
① 身体を拘束された被疑者であること。 逮捕されて身体を拘束されている被疑者の弁護活動が対象である。日弁連公式サイトでは、逮捕されてから勾留されるまでの間の被疑者が弁護費用の援助を受ける制度として多く利用されている、と説明されている。
② 被疑者国選弁護を受けられないこと。 被疑者国選弁護は、勾留状が発せられている場合に被疑者の請求で付く(刑事訴訟法37条の2第1項)。勾留を請求された被疑者も請求できる(同条2項)。依頼者が被疑者国選弁護を受けられるときは、刑事被疑者弁護援助は利用できない。
③ 経済的に余裕がなく、弁護士に依頼する必要性・相当性があること。 日弁連の法律援助は、対象に当たる人が経済的に余裕がなく、弁護士に依頼する必要性・相当性がある場合に行うとされている。資力の具体的な基準や審査の方法は、申込みのときに弁護士・法テラスに確認する。
1. 家族などが弁護士会に当番弁護士を依頼するか、依頼したい弁護士に連絡する。
2. 弁護士が警察署で本人と面会(接見)し、手続の流れや、被疑者国選弁護・刑事被疑者弁護援助などの制度を説明する。
3. 本人が弁護を依頼することにし、援助の要件に当たるときは、弁護士を通じて法テラスに援助の利用を申し込む。手続上は、その弁護士が私選弁護人として選任される。
4. 弁護士が、接見と助言、警察官・検察官との交渉、被害者との示談交渉など、被疑者段階の弁護活動をする。
5. 本人が勾留され、被疑者国選弁護を受けられるようになったときは、国選弁護への切替えを弁護士と相談する。切替えは自動ではなく、資力申告書の提出が必要で、資力が基準額以上のときは先に弁護士会に私選弁護人の選任の申出をしておく必要がある(刑事訴訟法37条の3)。勾留の請求を受けた裁判官は、被疑者に弁護人がいないときは国選弁護人の選任を請求できることなどを告げなければならないが、すでに援助を使って弁護人を選任している場合はこの告知の対象外である(刑事訴訟法207条2項ただし書)ので、切替えの手続は担当の弁護士と早めに確かめる。
実務の視点 逮捕の後、検察官への送致や勾留の請求には法律上の厳しい時間制限があり(刑事訴訟法203条〜206条)、勾留の請求の前後の短い間に弁護士が検察官や裁判官に意見を伝えることで勾留を避けられる場合がある。家族は、本人の住所・勤務先・家族構成、身元を引き受けられるかどうかを弁護士に早く伝えるとよい。
① 国の制度ではない。 刑事被疑者弁護援助は、日弁連が主に弁護士から集めた会費などで運営し、実施を法テラスに委託している事業である(日弁連公式サイト)。法律に定められた国選弁護とは別のものである。
② 必ず無料とは限らない。 援助は原則として交付(返済不要)だが、援助の申込み後に資力が回復した場合や、現実に金銭などの利益を得た場合には、弁護士費用などの負担を求められることがある(日弁連公式サイト)。
③ 当番弁護士とは別。 当番弁護士は弁護士会が運営する制度で、逮捕された人は無料で1回弁護士を呼んで相談できる(日本弁護士連合会公式サイト)。本人が警察官などに「当番弁護士を呼んでほしい」と伝える方法と、家族などが弁護士会に依頼する方法がある。その後に弁護活動を続けて依頼するときに、刑事被疑者弁護援助を使えるかが問題になる。
④ 国選弁護も必ず無料とは限らない。 国選弁護人の報酬などは国が支出するが、刑の言渡しをするときは、原則として、国選弁護人の報酬などを含む訴訟費用の全部または一部を被告人に負担させることになっている。貧困のため納付できないことが明らかなときは、この原則は適用されない(刑事訴訟法181条1項)。負担を命じられて完納できないときは、裁判の確定後20日以内に執行の免除を申し立てることができる(刑事訴訟法500条)。
議論のある点 援助の要件(資力、必要性・相当性)に当たるか、援助の後に負担を求められるかは、事情によって判断が分かれる。勾留後に同じ弁護士が国選弁護人になれるかも、法テラスの指名と裁判官の選任によるので、確実ではない。一般論だけで判断せず、弁護士に相談してほしい。
・家族が逮捕されたが、勾留はまだ決まっていない
・弁護士費用を払う余裕がない
・勾留を避けたい、早く釈放されたい事情(仕事・家族・健康)がある
・被害者と早く示談をしたい
・本人に精神上の障害などがあり、自分で弁護士の必要性を判断したり国選弁護人を請求したりすることが難しい(勾留後は裁判官が職権で国選弁護人を付ける制度がある。刑事訴訟法37条の4)
具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。
逮捕を知ったら、その日のうちに弁護士会の当番弁護士に連絡するか、依頼したい弁護士に連絡する。勾留の判断までは時間が短いので、早いほど弁護士にできることが多い。
逮捕されてから勾留されるまでの間は被疑者国選弁護の対象にならないが、日弁連の刑事被疑者弁護援助を使えば、経済的に余裕のない被疑者も弁護士に弁護活動を頼める。援助は原則として返済不要だが、事情によって負担を求められることがある。申込みは弁護士を通じて法テラスに行うので、まず当番弁護士や弁護士に相談する。
出典
刑事訴訟法37条の2・37条の3・37条の4・55条・181条・500条・203条・204条・205条・206条・207条(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-20)
日本弁護士連合会公式サイト「法律援助事業のご案内」「刑事弁護に関する制度のご紹介」「逮捕されたら」(2026-10-20確認)