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被告人国選弁護|起訴されたあとの弁護人

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この記事の要点

  • 起訴された被告人が貧困その他の事由で弁護人を選任できないときは、本人の請求により、裁判所が国選弁護人を付ける(刑事訴訟法36条)。法律により弁護人を必要とする場合を除き、請求には資力申告書が必要で、資力が基準額(50万円)以上なら、あらかじめ弁護士会に私選弁護人の選任の申出をしていなければならない(刑事訴訟法36条の2・36条の3)。50万円は、国選弁護人を付けてもらえるかどうかを一律に決める上限ではない。
  • 被告人が未成年者・70歳以上であるときなどは、裁判所が職権で弁護人を付けることができ(刑事訴訟法37条)、一定の重い罪の事件は弁護人がいなければ開廷できない(刑事訴訟法289条1項)。
  • 勾留されたまま起訴された場合など、起訴前の弁護人の選任が効力を保っているときは、第一審でも引き続き弁護人である(刑事訴訟法32条1項)。起訴後の弁護人の選任は審級ごとにする(同条2項)。国選弁護人の解任は、法律が定める事由がある場合に裁判所が行う(刑事訴訟法38条の3)。

期限に注意

判決に対する控訴の提起期間は14日である(刑事訴訟法373条)。上訴の提起期間は裁判が告知された日から進行し(刑事訴訟法358条)、日で計算する期間は初日を算入しない(刑事訴訟法55条1項)。判決書を受け取った日や、控訴審の弁護人が選任された日から数えるのではない。訴訟費用の負担を命じられた場合の執行免除の申立ても、裁判の確定後20日以内にしなければならない(刑事訴訟法500条2項)。期限を過ぎると権利を失うことがあり、いつから数えるかは事情で変わるので、判決を受けたらできるだけ早く弁護人に確認してほしい。

問題提起

起訴されて刑事裁判を受けることになったが、弁護士を頼むお金がない――そのようなときは、裁判所に国選弁護人を付けてもらうことができる。勾留中の被疑者として国選弁護人が付いていた場合、起訴後にどうなるのかも気になるところである。

法律の文言(刑事訴訟法36条、289条1項)

被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判所は、その請求により、被告人のため弁護人を附しなければならない。但し、被告人以外の者が選任した弁護人がある場合は、この限りでない。刑事訴訟法36条(e-Gov法令検索で原文確認)
死刑又は無期若しくは長期三年を超える拘禁刑に当たる事件を審理する場合には、弁護人がなければ開廷することはできない。刑事訴訟法289条1項(e-Gov法令検索で原文確認)

要件(被告人国選弁護が付く場合)

① 本人の請求による選任。 被告人が貧困その他の事由で弁護人を選任できないときは、本人の請求により、裁判所は弁護人を付けなければならない(刑事訴訟法36条本文)。被告人以外の者(家族など)が選任した弁護人があるときは、国選弁護人は付かない(同条ただし書)。勾留されているかどうかは問わない。

② 資力申告書と基準額。 刑事訴訟法により弁護人を必要とする場合を除き、請求には資力申告書の提出が必要である(刑事訴訟法36条の2)。同じく弁護人を必要とする場合を除き、資力(現金・預金などの合計額)が基準額の50万円以上の被告人は、あらかじめ、裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の弁護士会に、私選弁護人の選任の申出をしていなければならない(刑事訴訟法36条の3第1項、基準額を定める政令2条)。

③ 職権による選任。 被告人に弁護人がない場合で、被告人が未成年者であるとき、70歳以上であるとき、耳の聞こえない者または口のきけない者であるとき、心神喪失者・心神耗弱者である疑いがあるとき、その他必要と認めるときは、裁判所は職権で弁護人を付けることができる(刑事訴訟法37条)。

④ 弁護人がなければ開廷できない事件。 死刑・無期または長期3年を超える拘禁刑に当たる事件は、弁護人がいなければ開廷できない(刑事訴訟法289条1項。主に第一審の公判についての規定で、控訴審の手続には別の定めがある)。なお、拘禁刑は2025年6月1日に施行された刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号)で導入された。それより前の行為については経過措置により従前の懲役・禁錮が問題になる事件もあるので、対象になるかは弁護士に確かめる。弁護人がいないときなどは、裁判長が職権で弁護人を付けなければならない(同条2項)。公判前整理手続も、被告人に弁護人がなければ行うことができず、裁判長が職権で弁護人を付ける(刑事訴訟法316条の4)。

⑤ 起訴前の国選弁護人との関係。 起訴前にした弁護人の選任は、第一審でも効力を持つ(刑事訴訟法32条1項)。勾留されたまま起訴された場合は、被疑者国選弁護人が第一審でも続けて担当する。ただし、被疑者国選弁護人の選任は、起訴前に被疑者が釈放されると効力を失う(刑事訴訟法38条の2。勾留の執行停止による釈放を除く)。釈放された後に起訴された場合などは、改めて国選弁護人の選任が必要になる。私選弁護人の場合は、起訴前の選任が第一審でも効力を持つには、弁護人と連署した書面を検察官などに出しておく必要がある(刑事訴訟規則17条)。

⑥ 審級ごとの選任。 起訴後の弁護人の選任は、審級ごとにしなければならない(刑事訴訟法32条2項)。控訴審で国選弁護人に弁護してもらうには、控訴審で改めて選任される必要がある。一方、第一審の弁護人は、被告人のために控訴を申し立てることができる(刑事訴訟法355条)。ただし、被告人の明示した意思に反して申し立てることはできない(刑事訴訟法356条)。控訴審の弁護人の選任を待たずに、控訴の提起期間(14日。刑事訴訟法373条)内に控訴を申し立てる必要がある。

⑦ 国選弁護人の解任。 裁判所は、私選弁護人が選任されたなどで弁護人を付ける必要がなくなったとき、被告人と弁護人の利益が相反する状況にあり弁護人に職務を続けさせることが相当でないとき、心身の故障その他の事由により弁護人が職務を行うことができず、または行うことが困難になったとき、弁護人が任務に著しく反したことにより職務を続けさせることが相当でないとき、被告人の暴行・脅迫など被告人の責めに帰すべき事由で職務を続けさせることが相当でないときに、国選弁護人を解任することができる(刑事訴訟法38条の3第1項)。解任するには、あらかじめ弁護人の意見を聴かなければならない(同条2項)。

被告人国選弁護の流れ(よくある例)

1. 起訴されると、起訴状の謄本が届く。勾留中の場合は、拘置所や警察署で受け取る。
2. 被疑者段階から国選弁護人がいる場合は、その弁護人が第一審も続けて担当する(刑事訴訟法32条1項)。
3. 弁護人がいない場合は、裁判所が、弁護人を選任できることや国選弁護人を請求できることを知らせ、弁護人を選任するか・国選弁護人を請求するかを確かめる(刑事訴訟規則177条・178条1項)。裁判所は、一定の期間を定めて回答を求めることができる(同条2項)ので、届いた書面に書かれた期限を確かめ、国選弁護人を希望するときは、その旨と資力申告書を出す。弁護人がなければ開廷できない事件で、期間内に回答がなく弁護人の選任もないときは、裁判長が直ちに弁護人を選任する(同条3項)。
4. 法テラスが候補を指名し、裁判所が国選弁護人を選任する(総合法律支援法30条1項6号イ、刑事訴訟法38条1項)。
5. 弁護人と打合せをして、公判の準備(証拠の検討・示談・情状の証人など)を進める。
6. 判決に不服があるときは、控訴の提起期間(14日)内に控訴を申し立てる。第一審の弁護人が被告人のために申し立てることもできる(刑事訴訟法355条)。控訴審での弁護人の選任は、改めて確かめる。

実務の視点 国選弁護人は自分で選べないが、私選弁護人に依頼することはいつでもできる。私選弁護人が選任されると、国選弁護人は解任事由に当たる(刑事訴訟法38条の3第1項1号)。国選弁護人と方針が合わないと感じたときは、まず弁護人とよく話し合い、それでも難しい場合の扱いを弁護人や弁護士会に相談する。

確認点・よくある誤解

① 国選弁護人を自由に交代させることはできない。 解任は法律が定める事由に当たる場合に裁判所が判断する(刑事訴訟法38条の3)。

② 費用の負担を命じられることがある。 刑の言渡しをしたときは、国選弁護人の報酬などを含む訴訟費用の全部または一部を被告人に負担させるのが原則で、貧困のため納付できないことが明らかなときはこの原則が適用されない(刑事訴訟法181条1項、刑事訴訟費用等に関する法律2条3号)。国選弁護人が付いたことだけで、訴訟費用の負担が必ず免除されるわけではない。訴訟費用の負担を命じられたが貧困のため完納できないときは、その裁判が確定した後20日以内に、裁判の執行の免除を申し立てることができる(刑事訴訟法500条)。

③ 控訴審では改めて選任が必要。 第一審の弁護人の選任は、控訴審には当然には引き継がれない(刑事訴訟法32条2項)。ただし、控訴の申立ては第一審の弁護人もできる(刑事訴訟法355条)。

議論のある点

議論のある点 国選弁護人との信頼関係が失われたことが解任事由に当たるか、私選弁護人と国選弁護人がいつまで併存しうるか、訴訟費用の負担をどこまで命じるかは、事情によって判断が分かれる。刑事裁判の対応は事件ごとに大きく違うので、一般論だけで判断せず、弁護人や弁護士会に相談してほしい。

特に相談した方がよい場面

・起訴されたが、弁護人がいない
・被疑者段階の国選弁護人と、起訴後の方針について話し合いたい
・私選弁護人に切り替えるか迷っている
・判決に控訴したい
・訴訟費用の負担を命じられたが、支払うことが難しい

具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。

相談のタイミング

起訴の後、公判の準備には時間がかかるので、弁護人がいないときは起訴状を受け取ったらすぐに国選弁護人を請求する。控訴の提起期間は14日で、控訴審の弁護人の選任を待っても延びないので、判決の言渡しを受けたらすぐに弁護人と相談する。

まとめ

起訴された被告人は、貧困などで弁護人を選べないとき、所定の手続(資力申告書の提出など)をして請求すれば裁判所が国選弁護人を付ける(刑事訴訟法36条)。重い罪の事件では弁護人がいなければ開廷できず、職権で付けられることもある。勾留されたまま起訴された場合は起訴前の弁護人が第一審でも続き、控訴審では改めて選任が必要である。

出典

刑事訴訟法32条・36条・36条の2・36条の3・37条・38条・38条の2・38条の3・55条・181条・289条・316条の4・355条・356条・358条・373条・500条(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-20)

刑事訴訟法第三十六条の二の資産及び同法第三十六条の三第一項の基準額を定める政令2条

総合法律支援法30条1項6号

刑事訴訟費用等に関する法律2条

刑事訴訟規則17条・177条・178条(裁判所ウェブサイト掲載の版で確認)

日本弁護士連合会公式サイト「刑事弁護に関する制度のご紹介」(2026-10-20確認)

最終確認日
2026年10月20日
法令の基準時
2026年10月時点の法令による
出典(外部サイト)
e-Gov 法令検索(デジタル庁)〔外部サイト〕/裁判所ウェブサイト〔外部サイト〕
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