① 本人の請求による選任。 被告人が貧困その他の事由で弁護人を選任できないときは、本人の請求により、裁判所は弁護人を付けなければならない(刑事訴訟法36条本文)。被告人以外の者(家族など)が選任した弁護人があるときは、国選弁護人は付かない(同条ただし書)。勾留されているかどうかは問わない。
② 資力申告書と基準額。 刑事訴訟法により弁護人を必要とする場合を除き、請求には資力申告書の提出が必要である(刑事訴訟法36条の2)。同じく弁護人を必要とする場合を除き、資力(現金・預金などの合計額)が基準額の50万円以上の被告人は、あらかじめ、裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の弁護士会に、私選弁護人の選任の申出をしていなければならない(刑事訴訟法36条の3第1項、基準額を定める政令2条)。
③ 職権による選任。 被告人に弁護人がない場合で、被告人が未成年者であるとき、70歳以上であるとき、耳の聞こえない者または口のきけない者であるとき、心神喪失者・心神耗弱者である疑いがあるとき、その他必要と認めるときは、裁判所は職権で弁護人を付けることができる(刑事訴訟法37条)。
④ 弁護人がなければ開廷できない事件。 死刑・無期または長期3年を超える拘禁刑に当たる事件は、弁護人がいなければ開廷できない(刑事訴訟法289条1項。主に第一審の公判についての規定で、控訴審の手続には別の定めがある)。なお、拘禁刑は2025年6月1日に施行された刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号)で導入された。それより前の行為については経過措置により従前の懲役・禁錮が問題になる事件もあるので、対象になるかは弁護士に確かめる。弁護人がいないときなどは、裁判長が職権で弁護人を付けなければならない(同条2項)。公判前整理手続も、被告人に弁護人がなければ行うことができず、裁判長が職権で弁護人を付ける(刑事訴訟法316条の4)。
⑤ 起訴前の国選弁護人との関係。 起訴前にした弁護人の選任は、第一審でも効力を持つ(刑事訴訟法32条1項)。勾留されたまま起訴された場合は、被疑者国選弁護人が第一審でも続けて担当する。ただし、被疑者国選弁護人の選任は、起訴前に被疑者が釈放されると効力を失う(刑事訴訟法38条の2。勾留の執行停止による釈放を除く)。釈放された後に起訴された場合などは、改めて国選弁護人の選任が必要になる。私選弁護人の場合は、起訴前の選任が第一審でも効力を持つには、弁護人と連署した書面を検察官などに出しておく必要がある(刑事訴訟規則17条)。
⑥ 審級ごとの選任。 起訴後の弁護人の選任は、審級ごとにしなければならない(刑事訴訟法32条2項)。控訴審で国選弁護人に弁護してもらうには、控訴審で改めて選任される必要がある。一方、第一審の弁護人は、被告人のために控訴を申し立てることができる(刑事訴訟法355条)。ただし、被告人の明示した意思に反して申し立てることはできない(刑事訴訟法356条)。控訴審の弁護人の選任を待たずに、控訴の提起期間(14日。刑事訴訟法373条)内に控訴を申し立てる必要がある。
⑦ 国選弁護人の解任。 裁判所は、私選弁護人が選任されたなどで弁護人を付ける必要がなくなったとき、被告人と弁護人の利益が相反する状況にあり弁護人に職務を続けさせることが相当でないとき、心身の故障その他の事由により弁護人が職務を行うことができず、または行うことが困難になったとき、弁護人が任務に著しく反したことにより職務を続けさせることが相当でないとき、被告人の暴行・脅迫など被告人の責めに帰すべき事由で職務を続けさせることが相当でないときに、国選弁護人を解任することができる(刑事訴訟法38条の3第1項)。解任するには、あらかじめ弁護人の意見を聴かなければならない(同条2項)。