問題提起
法律の問題の中には、数日、時には数時間の対応の遅れが結果を大きく左右するものがある。家族が逮捕されたとき、暴力から身を守る必要があるとき、裁判所の書類の期限が迫っているときに、どこに連絡すればすぐに弁護士につながるのかを知っておくことが大切である。
弁護士に相談する前に知っておきたい法律の要点を、分野ごとにスレッド形式でまとめています。
法律の問題の中には、数日、時には数時間の対応の遅れが結果を大きく左右するものがある。家族が逮捕されたとき、暴力から身を守る必要があるとき、裁判所の書類の期限が迫っているときに、どこに連絡すればすぐに弁護士につながるのかを知っておくことが大切である。
弁護人を選任しようとする被告人又は被疑者は、弁護士会に対し、弁護人の選任の申出をすることができる。刑事訴訟法31条の2第1項(e-Gov法令検索で原文確認)
被疑者に対して勾留状が発せられている場合において、被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判官は、その請求により、被疑者のため弁護人を付さなければならない。ただし、被疑者以外の者が選任した弁護人がある場合又は被疑者が釈放された場合は、この限りでない。刑事訴訟法37条の2第1項(e-Gov法令検索で原文確認)
勾留を請求された被疑者も、この請求をすることができる(同条2項)。
特定侵害行為(略)を現に受けている疑いがあると認められる者を援助するため、特定侵害行為による被害の防止に関して必要な法律相談を実施すること。総合法律支援法30条1項5号。特定侵害行為は、ストーカー行為等規制法のつきまとい等、児童虐待防止法の児童虐待、配偶者暴力防止法の配偶者からの暴力をいう(e-Gov法令検索で原文確認)
場面|窓口|内容
家族が逮捕された|逮捕された場所の弁護士会(当番弁護士)|家族などが弁護士会に連絡すると、弁護士が本人と面会する。本人も、警察官などに当番弁護士を呼んでほしいと伝えて依頼できる。
勾留された|裁判官(国選弁護人の請求)|貧困などの理由で弁護人を選任できない被疑者は、裁判官に国選弁護人を付けるよう請求できる(刑事訴訟法37条の2)。
私選の弁護人を探したい|弁護士会(弁護人の選任の申出)|被疑者・被告人は弁護士会に弁護人の選任の申出ができ、弁護士会は弁護人となろうとする者を速やかに紹介する(刑事訴訟法31条の2)。
暴力で身の危険がある|警察(緊急時は110番)、配偶者暴力相談支援センター|安全の確保、一時保護、保護命令の申立ての準備の支援など。
暴力・ストーカー・虐待の法律相談|法テラス|被害を現に受けている疑いがある人への法律相談(総合法律支援法30条1項5号)。
裁判所の書類の期限が迫っている|弁護士会の法律相談センター、法テラス、法律事務所|期限を伝えて相談を急ぐ。
実務の視点 家族が逮捕されたと連絡を受けた人は、逮捕された警察署の名前、本人の氏名・生年月日、逮捕された日時と容疑(分かる範囲で)をメモしてから弁護士会に連絡すると、手配が早くなる。逮捕直後の取調べでは、本人が弁護士の助言を受ける前に供述を求められることがあるので、面会をできるだけ早く頼むことが大切である。
1. 家族などが、逮捕された場所を管轄する弁護士会の当番弁護士の受付に電話し、本人の氏名・留置されている警察署などを伝える。
2. 弁護士会が当番の弁護士に連絡し、弁護士が警察署などに出向いて本人と面会する。
3. 弁護士が、本人に手続の流れや権利(黙秘権など)を説明し、助言する。
4. その後の弁護を依頼する場合は、本人または家族が、その弁護士などを私選弁護人として選任する。勾留された本人が貧困などの理由で弁護人を選任できない場合は、国選弁護人の請求ができる。
① 逮捕されただけの段階では、国選弁護人は付かない。 被疑者の国選弁護は、勾留状が発せられた場合(勾留を請求された場合を含む)が対象である(刑事訴訟法37条の2)。逮捕直後は当番弁護士などを利用する。
② 当番弁護士が引き続き弁護するときは、費用がかかることがある。 初回の面会の後に私選弁護人として依頼する場合は、弁護士費用がかかる。費用の負担が難しい場合の援助制度があるかは、弁護士に尋ねる。
③ 休日・夜間でも動いている窓口がある。 当番弁護士の受付時間や、休日・夜間の連絡方法は弁護士会ごとに違うので、弁護士会の案内で確かめる。暴力の危険が差し迫っているときは、時間に関わらず警察に連絡する。
④ 期限は相談の予約では止まらない。 期限が迫っているときは、複数の窓口に並行して当たる。
⑤ よくある期限の例(民事裁判の控訴と相続放棄)。 民事裁判の第一審の判決について控訴するときは、控訴をする当事者が、電子判決書(判決の内容を記録した電子調書が作られた場合はその電子調書)の送達を受けた日から2週間以内に、控訴状を第一審の裁判所に提出しなければならない。送達を受ける前に控訴しても、その控訴は有効である(民事訴訟法285条・286条1項)。この2週間は「不変期間」で、裁判所は期間そのものを延ばすことができない。ただし、裁判所は、遠い場所に住所や居所がある人のために、付加期間を定めることができる(同法96条)。また、当事者が自分の責任ではない事情で期間を守れなかったときは、その事情がなくなってから1週間以内(外国にいる当事者は2か月以内)に限り、控訴を追完できる(同法97条1項)。弁護士などの訴訟代理人に判決が送達されたときは、本人が判決を知った日ではなく、訴訟代理人への送達の日を確かめる。
相続を放棄するときは、相続人が、自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に放棄を申述しなければならない(民法915条1項・938条)。この3か月は、利害関係人または検察官が家庭裁判所に請求すれば延ばされることがあるが、延ばすかどうかと延ばす期間は家庭裁判所が判断する。延ばすことを求める請求は、3か月が過ぎる前にしておく。
控訴や相続放棄を考えている人は、送達を受けた書類と封筒、相続が始まったことを知った日とそのいきさつを記録し、すぐに弁護士に示して期限を確かめる。期間の数え方(初日を数えるか、最後の日が休日の場合など)も、自分だけで判断しない。
・家族が逮捕された、警察から事情を聴きたいと呼び出された
・配偶者や交際相手から暴力・脅迫を受けている、つきまといがある
・裁判所から訴状・支払督促などが届き、答弁書や異議の期限がある
・判決を受け取り、不服を申し立てるか決めなければならない
・相続放棄をするか決める期間が迫っている
具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。
上の場面では、気づいたその日に連絡する。逮捕の場合は、逮捕を知った時点ですぐに弁護士会に連絡する。身の危険がある場合は、まず警察に連絡して安全を確保する。
急いで弁護士につながりたいときは、場面に応じた窓口を使う。逮捕された家族には当番弁護士、勾留された被疑者には国選弁護人の請求、暴力の危険には警察と配偶者暴力相談支援センター、暴力・ストーカー・虐待の被害には法テラスの法律相談がある。期限のある書類を受け取ったら、その日のうちに相談を申し込み、期限を伝える。
出典
刑事訴訟法31条の2・37条の2、総合法律支援法30条1項5号、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律3条3項(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-19)
民事訴訟法96条・97条1項・285条・286条1項、民法915条1項・938条(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-20)