問題提起
ネット通販で解約に応じてもらえない、職場で一方的に給料を下げられた。こうしたトラブルで、いきなり弁護士に相談するのはためらわれるという人も多い。弁護士に相談する前に無料で使える公的な窓口があり、それぞれ得意な分野と限界がある。
弁護士に相談する前に知っておきたい法律の要点を、分野ごとにスレッド形式でまとめています。
ネット通販で解約に応じてもらえない、職場で一方的に給料を下げられた。こうしたトラブルで、いきなり弁護士に相談するのはためらわれるという人も多い。弁護士に相談する前に無料で使える公的な窓口があり、それぞれ得意な分野と限界がある。
市町村は、次に掲げる事務を行うものとする。
一 消費者安全の確保に関し、事業者に対する消費者からの苦情に係る相談に応じること。
二 消費者安全の確保に関し、事業者に対する消費者からの苦情の処理のためのあっせんを行うこと。消費者安全法8条2項1号・2号(e-Gov法令検索で原文確認)
消費者安全法は、都道府県には消費生活センターを設置する義務を(10条1項)、市町村には必要に応じて設置する努力義務を定めている(10条2項)。
都道府県労働局長は、個別労働関係紛争を未然に防止し、及び個別労働関係紛争の自主的な解決を促進するため、労働者、求職者又は事業主に対し、労働関係に関する事項並びに労働者の募集及び採用に関する事項についての情報の提供、相談その他の援助を行うものとする。個別労働関係紛争解決促進法3条(e-Gov法令検索で原文確認)
窓口|扱う問題|主にしてくれること
消費生活センター・消費生活相談窓口(消費者ホットライン188)|契約・商品・サービスのトラブル、悪質商法、ネット通販|相談、助言、事業者との話合いのあっせん
総合労働相談コーナー(都道府県労働局・労働基準監督署など)|解雇、賃金、ハラスメント、労働条件|相談、情報の提供、都道府県労働局長の助言・指導、紛争調整委員会のあっせんの案内
労働基準監督署|賃金の未払い、長時間労働など労働基準法などの違反|申告を受けて事業場を調べ、違反があれば是正を求める
配偶者暴力相談支援センター|配偶者などからの暴力|相談、相談機関の紹介、緊急時の安全の確保と一時保護(配偶者暴力防止法3条3項)
法務局の人権相談|いじめ、差別、虐待などの人権問題|相談、関係者への働きかけなど
法テラス|分野を問わない|法制度と相談窓口の案内(総合法律支援法30条1項1号)
暴力・脅迫・虐待などで身の危険があるときは、話合いや通常の相談の手順より安全の確保を優先し、緊急時は110番に連絡する。
司法書士会・行政書士会なども相談会を開いている。司法書士・行政書士は、それぞれの法律が定める範囲で業務を行い、扱える事件の種類や金額に制限がある。弁護士でない者が、報酬を得る目的で、法律で認められた範囲を超えて法律事件の代理などを業とすることは禁止されている(弁護士法72条)。
実務の視点 公的な窓口に相談したときは、相談した日、窓口の名前、担当者、受けた助言の内容をメモしておくとよい。後で弁護士に相談するとき、これまでの経過として役に立つ。窓口で事業者とやり取りした記録や、事業者からの書面も保管しておく。
1. 相談したい人が、問題の分野に合った窓口を選ぶ(分からなければ法テラスに問い合わせる)。
2. 相談したい人が、電話または窓口で相談する。契約書、領収書、広告、やり取りの記録などを手元に用意する。
3. 窓口の相談員などが、法制度や取れる手段を説明し、必要に応じて事業者との話合いのあっせん(消費生活センター)や、助言・指導・あっせんの手続(労働局)を案内する。
4. 窓口での解決が難しい場合、相談員から弁護士などの相談先を案内されることがある。
① 公的な窓口は相手方に命令できるとは限らない。 あっせんは話合いの手伝いで、相手方が応じなければ解決しない。
② 窓口は代理人にはならない。 相談する人に代わって相手方と交渉したり、裁判を起こしたりするのは弁護士の仕事である。
③ 相談しただけでは期限は止まらない。 クーリング・オフの期間や時効などは、公的な窓口に相談しただけでは止まらない。期限に対応する通知や手続が別に必要になることがあるので、期限があるかどうかを早めに確かめる。なお、労働局の紛争調整委員会のあっせんが打ち切られた場合に、あっせんを申請した人が打切りの通知を受けた日から30日以内に、あっせんの目的となった請求について訴えを提起したときは、時効の完成猶予に関しては、あっせんの申請の時に訴えの提起があったものとみなされる(個別労働関係紛争解決促進法16条)。
④ 労働局に助言・指導やあっせんを求めたことを理由にした不利益な取扱いは禁止されている。 事業主は、労働者が助言・指導やあっせんを求めたことを理由に、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない(個別労働関係紛争解決促進法4条3項・5条2項)。
・相手方が話合いやあっせんに応じない
・請求したい金額・請求されている金額が大きい
・解雇・雇止めを告げられ、職場に戻りたい、または金銭の支払を求めたい
・裁判所から書類が届いた、相手方の弁護士から書面が届いた
・クーリング・オフの期間や時効など、期限が迫っているおそれがある
具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。
公的な窓口への相談は、弁護士に相談するための前提条件ではない。裁判所から書類が届いた、期限が分からない・迫っている、財産や証拠を守る必要がある、といった場合は、公的な窓口での解決を待たず、最初から、または並行して弁護士に相談する。それ以外の場合も、窓口で解決の見込みが立たないと分かった時点で、早めに弁護士に相談する。
消費者トラブルは消費生活センター(188)、職場のトラブルは総合労働相談コーナーなど、弁護士の前に無料で使える公的な窓口がある。窓口は相談・助言・あっせんを行うが、代理人として交渉や裁判はしない。相手方が応じないとき、金額が大きいとき、期限が迫っているときは、弁護士への相談に切り替える。
出典
消費者安全法8条2項・10条、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律3条〜5条・16条、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律3条3項、総合法律支援法30条1項1号、弁護士法72条(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-19)