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資力の確認|収入と資産はどう見られるか

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この記事の要点

  • 法テラスの民事法律扶助では、申込者と配偶者の手取り月収(賞与を含む)の合計を、家族の人数に応じた基準額と比べる(業務方法書別表1第1・別表2第1)。配偶者が事件の相手方であるときは、配偶者の収入は合計しない。
  • 資産の見方は、無料法律相談と費用の立替え(代理援助・書類作成援助)で違う。無料法律相談では現金と預貯金だけを見る(業務方法書別表2第2)が、費用の立替えでは不動産や有価証券なども含めた資産の時価を見る(業務方法書別表1第2、民事法律扶助業務運営細則8条)。
  • 家賃・住宅ローンの負担は、一定の限度で収入の基準額に加算される。これとは別に、医療費・教育費・職業上やむを得ない出費などで生計が困難と認められるときは、収入や資産が基準を上回っていても基準を満たすものとして扱われることがある。資力の基準を満たすことは援助の条件の一つで、ほかの要件もある。最終的な判断は法テラスが行う。
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問題提起

法テラスの無料法律相談や費用の立替えを使うための条件の一つが、「収入と資産が一定の基準以下か」である(費用の立替えには、勝訴の見込みがないとはいえないことなどの要件もある)。この記事では、民事法律扶助のうち、無料法律相談(一般法律相談援助)と費用の立替え(代理援助・書類作成援助)の資力の基準を説明する。被災者や犯罪被害者などを対象とする別の制度には、別の条件がある。しかし、「手取りか額面か」「夫の収入も入るのか」「家のローンは考慮されるのか」など、自分の場合にどう計算するのかは分かりにくい。基準の仕組みを知っておくと、問い合わせのときに必要な事情を伝えられる。

法律の文言(業務方法書別表1第1の1)

申込者の収入(手取り月収額(賞与を含む)をいう。以下同じ。)にその配偶者の収入を加算した額が、その家族の人数に応じ、下記の基準額以下であること。
単身者 182,000円 2人家族 251,000円 3人家族 272,000円 4人家族 299,000円
以下、家族1名増加する毎に基準額に30,000円を加算する。日本司法支援センター業務方法書 別表1「代理援助及び書類等作成援助資力基準」第1の1の一(e-Gov法令検索で原文確認)

無料法律相談の資力基準(業務方法書別表2)は、収入については別表1第1と同じとしつつ、同居家族の収入を加えるという定め(別表1第1の2の一)は適用しないと定めている。資産については、申込者または配偶者が持つ現金・預貯金の額で判断する。

要件(収入と資産の見方)

① 収入は手取り月収(賞与を含む)で見る。 申込者の手取り月収に、配偶者の手取り月収を加えた額を、家族の人数に応じた基準額と比べる(別表1第1の1の一)。ここでいう「家族」は、申込者と、申込者と同居している配偶者・扶養家族をいう(民事法律扶助業務運営細則7条1項)。

② 地域と住居費で基準額が上がる。 生活保護法の保護の基準の一級地に住む人は、基準額に10%を加えた額が基準額になる(別表1第1の1の二)。申込者または配偶者が家賃や住宅ローンを負担しているときは、単身者41,000円、2人家族53,000円、3人家族66,000円、4人家族以上71,000円を限度に、負担額を基準額に加えることができる(別表1第1の1の三)。東京都特別区に住む人は、この限度額が53,000円・68,000円・85,000円・92,000円になる(民事法律扶助業務運営細則9条)。

③ 配偶者が相手方なら合計しない。 配偶者や同居の家族が申込者の事件の相手方であるときは、その人の収入は申込者の収入に加えない(別表1第1の2の二)。離婚の相談などがこれに当たる。

④ 同居家族の収入は、費用の立替えのときに加えることがある。 費用の立替え(代理援助・書類作成援助)では、申込者と同居している家族(配偶者を除く)で、申込者の生計に貢献していることが明らかな人の収入を、貢献している範囲で加えることができる(別表1第1の2の一)。無料法律相談ではこの定めは適用されない(別表2第1)。

⑤ 資産は、相談と立替えで見方が違う。 無料法律相談では、申込者と配偶者が持つ現金・預貯金の合計を、単身者180万円、2人家族250万円、3人家族270万円、4人家族以上300万円と比べる(別表2第2、民事法律扶助業務運営細則8条の2第1項)。配偶者が紛争の相手方であるときは、配偶者の現金・預貯金は合計しない(同項)。費用の立替えでは、申込者と配偶者が持つ不動産その他の資産の時価の合計を、同じ金額と比べる(別表1第2の1、同細則8条1項)。このとき、援助に係る事件で争っている物件、生活のために必要な住宅と農地、配偶者が相手方である場合の配偶者の資産は除く(別表1第2の1)。生活に必要な動産も含めない(同細則8条1項2号)。

⑥ 出費の事情が考慮されることがある。 収入や資産が基準を上回っていても、医療費、教育費、職業上やむを得ない出費などの負担により生計が困難であると認められるときは、基準を満たすものとして扱うことができる(別表1第1の3・第2の2、別表2第2の2)。費用の立替えについては、資産などが基準を上回る場合でも、事件の性質から特に多額の弁護士費用がかかるなど一定の事情があるときに、例外的に基準に適合するものと認めることができる定めもある(別表1第3)。無料法律相談では、申込みの日から3か月以内に現金・預貯金から支出することになる医療費・教育費などの額を差し引いて判断する定めがある(民事法律扶助業務運営細則8条の2第2項)。

問い合わせの流れ(よくある例)

1. 自分と配偶者の手取り月収(直近の給与明細などで確かめる)と、現金・預貯金の額を書き出す。
2. 資力の基準でいう「家族」(申込者と、同居している配偶者・扶養家族)の人数と、家賃・住宅ローンの月額を確かめる。同居している人を全員数えるわけではないので、扶養の関係や別居している家族の扱いが分からないときは、生活の状況を伝えて法テラスに確かめる。
3. 配偶者が相手方になる問題かどうかを整理する。
4. 医療費や教育費など、基準を上回る場合に考慮してほしい出費があれば、その額と内容をメモする。
5. 法テラスの地方事務所に問い合わせ、基準を満たすかを確かめる。

実務の視点 収入は「手取り」で見るので、給与明細の総支給額ではなく、税金や社会保険料を引いた後の額を確かめる。賞与がある人は、賞与も含めて月にならした額が基準になるので、問い合わせのときに賞与の額も伝えるとよい。

確認点・よくある誤解

① 「額面」ではなく「手取り」である。 基準額と比べるのは手取り月収(賞与を含む)である(別表1第1の1の一)。

② 持ち家があっても使えないとは限らない。 費用の立替えの資産の基準では、生活のために必要な住宅は資産から除く(別表1第2の1の二)。無料法律相談では、そもそも現金・預貯金だけを見る。

③ 生活保護を受けている人も使える。 法テラスの公式サイトは、生活保護を受給している場合でも立替制度を利用でき、受給中は返済が猶予され、事件が終わった後も受給している場合は返済の免除を申請できると案内している。猶予と免除は別の手続で、業務方法書は、被援助者の申請を受けて猶予や免除を決めると定めている(業務方法書31条1項・65条1項)。受給を始めたときや事件が終わったときは、法テラスに確かめる。

議論のある点

議論のある点 収入の月額のならし方、年金・手当・養育費・仕送りなどの扱い、別居中の配偶者(相手方でない場合)や仕送り先の家族の扱い(民事法律扶助業務運営細則7条6項・7項)には、規程と運用の決まりがある。そのうえで、収入の性質や継続性、生活の実態、どの程度の出費が「生計が困難」と認められるかは、事情を確かめて判断される。最終的な判断は法テラスが行うので、一般論だけで判断せず、法テラスの地方事務所に問い合わせるか、弁護士に相談してほしい。

特に相談した方がよい場面

・収入や資産が基準のすぐ上で、出費の事情を考慮してもらえるか知りたい
・配偶者と別居していて、配偶者の収入の扱いが分からない
・不動産や車を持っていて、費用の立替えを使えるか分からない
・相続などで近くまとまったお金が入る見込みがある

具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。

相談のタイミング

基準を満たすか迷ったら、相談の予約の前に法テラスの地方事務所に問い合わせる。裁判所から書類が届いているなど期限が近いときは、資力の確認に時間をかけすぎず、早く相談できる窓口を探す。

まとめ

法テラスの資力基準は、申込者と配偶者の手取り月収(賞与を含む)の合計と、資産を、資力の基準でいう家族の人数に応じた基準額と比べて判断する。配偶者が相手方なら、収入も資産も合計しない。無料法律相談では現金・預貯金だけを見るが、費用の立替えでは不動産なども見る。出費の事情が考慮されることもあり、最終的な判断は法テラスが行う。

出典

日本司法支援センター業務方法書31条・65条・別表1「代理援助及び書類等作成援助資力基準」・別表2「一般法律相談援助資力基準」(令和8年3月25日法務大臣認可の版)

民事法律扶助業務運営細則7条・8条・8条の2・9条(日本司法支援センター。令和8年細則第9号による改正後)

日本司法支援センター(法テラス)公式サイト「無料法律相談のご利用の流れ」「弁護士・司法書士費用等の立替制度のご利用の流れ」「立替制度に関するよくあるご質問」(2026-10-20確認)

最終確認日
2026年10月20日
法令の基準時
2026年10月時点の法令による
出典(外部サイト)
e-Gov 法令検索(デジタル庁)〔外部サイト〕/裁判所ウェブサイト〔外部サイト〕
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