問題提起
「弁護士に相談したいが、相談料が払えるか不安だ」という人のために、法テラスの無料法律相談がある。ただし、誰でも無料で使えるわけではなく、収入や資産の基準がある。自分が対象になるか、何を相談できるかを知っておくと、相談先を選びやすくなる。
弁護士に相談する前に知っておきたい法律の要点を、分野ごとにスレッド形式でまとめています。
「弁護士に相談したいが、相談料が払えるか不安だ」という人のために、法テラスの無料法律相談がある。ただし、誰でも無料で使えるわけではなく、収入や資産の基準がある。自分が対象になるか、何を相談できるかを知っておくと、相談先を選びやすくなる。
民事裁判等手続又は行政不服申立手続において自己の権利を実現するための準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない国民若しくは我が国に住所を有し適法に在留する者(以下「国民等」という。)又はその支払により生活に著しい支障を生ずる国民等を援助する次に掲げる業務
(中略)
ホ 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)その他の法律により法律相談を取り扱うことを業とすることができる者による法律相談(以下この項において単に「法律相談」という。)(刑事に関するものを除く。次号及び第四号において同じ。)を実施すること。総合法律支援法30条1項2号(e-Gov法令検索で原文確認)
業務方法書15条は、この無料法律相談(一般法律相談援助)を、「申込者が、別表2の一般法律相談援助資力基準に定める資力に乏しい国民等であること」と「民事法律扶助の趣旨に適すること」のいずれにも該当する場合に行うと定めている。
① 国民等であること。 対象は、「国民」または「我が国に住所を有し適法に在留する者」である(総合法律支援法30条1項2号)。日本に住所があり適法に在留していることという要件は、外国人について定められたものである。法テラスの公式サイトは、日本に住所がなかったり適法な在留資格がなかったりする外国人と、法人・組合などの団体は対象にならないと案内している。外国人で、在留の状況によって対象になるか分からないとき(在留資格の有無だけで決まらないこともある)や、日本国籍で海外に住んでいるときは、相談の方法も含めて法テラスに確かめる。
② 収入が基準以下であること。 申込者と配偶者の手取り月収(賞与を含む)の合計が、家族の人数に応じた基準額以下であることが必要である(業務方法書別表2・別表1第1)。基準額は、単身者182,000円、2人家族251,000円、3人家族272,000円、4人家族299,000円で、それより家族が1人増えるごとに30,000円を加える。ここでいう家族は、申込者と、申込者と同居している配偶者・扶養家族である(民事法律扶助業務運営細則7条1項)。生活保護の基準の一級地に住む人は、これに10%を加えた額が基準額になる。家賃や住宅ローンを負担しているときは、一定の限度額まで基準額に加えることができる。配偶者が事件の相手方であるときは、配偶者の収入は合計しない。
③ 資産(現金・預貯金)が基準以下であること。 申込者と配偶者が持つ現金と預貯金の合計が、単身者180万円、2人家族250万円、3人家族270万円、4人家族以上300万円以下であることが必要である(業務方法書別表2第2、民事法律扶助業務運営細則8条の2第1項)。配偶者が事件の相手方であるときは、配偶者の現金・預貯金は合計しない。申込みの日から3か月以内に医療費・教育費などを支出する予定があるときは、その額を差し引いて判断される場合がある(同条2項)。
④ 民事法律扶助の趣旨に適すること。 法テラスの公式サイトは、報復目的や自己宣伝、権利濫用的な訴訟などは援助できないと案内している。
⑤ 相談できるのは民事・家事・行政の問題である。 無料法律相談の対象は民事・家事・行政に関する案件で(業務方法書14条)、刑事事件に関する相談は対象外である(総合法律支援法30条1項2号ホ)。
1. 法テラスの地方事務所に電話する(一部の地域ではウェブでも予約できる)。予約のときに、収入(平均月収)や資産(現金・預貯金)、家族の人数、相手方の名前などを聞かれる。
2. 相談したい内容に応じて、裁判所や相手方から届いた書類などを用意する。
3. 予約した日時に、法テラスの事務所や、法テラスと契約している弁護士・司法書士の事務所などで相談する。相談の前に「援助申込書」を記入する。
4. 1回で解決しないときは、同じ問題について2回目・3回目の相談を予約できる。
5. 弁護士・司法書士に依頼する必要があるときは、費用の立替制度(代理援助・書類作成援助)を申し込むことができる。無料法律相談とは別に審査があり、立て替えられた費用は、原則として分割で返す必要がある。
実務の視点 収入や資産が基準を少し超えていても、家賃・住宅ローン、医療費や教育費などの事情によっては基準を満たす可能性があると、法テラスの公式サイトは案内している。自分で「対象外だろう」と決めつけず、事情を添えて地方事務所に問い合わせるとよい。
① 法テラスの電話の窓口と無料法律相談は別である。 法テラス・サポートダイヤルは、問合せの内容に応じて法制度や相談窓口を紹介する窓口で、オペレーターは個別の法律相談をしない。無料法律相談は、地方事務所などで予約して、弁護士・司法書士と行う。
② 災害の被災者向けの無料相談には資力基準がない。 政令で指定された非常災害が発生した日に、政令で定める地区に住所・居所などがあった人を対象に、政令で定める期間に限って、生活の再建に必要な法律相談が行われる(総合法律支援法30条1項4号)。この被災者法律相談援助には上の資力基準はなく、相談の費用は負担させないとされている(業務方法書15条の4・16条5項)。対象の災害・地域・期間は、法テラスの公式サイトで確かめる。
③ 認知機能が十分でない人や、DVなどの被害を受けている人には別の相談制度がある。 認知機能が十分でないために自己の権利の実現が妨げられているおそれがある人で、自分から相談を求めることが期待できない人のために、福祉機関などからの申入れで行う法律相談の制度もある(総合法律支援法30条1項3号。資力によっては費用の負担がある)。 特定侵害行為の被害を現に受けている疑いがあると認められる人を対象とする法律相談の制度もある(総合法律支援法30条1項5号)。犯罪の被害を受けた人についても、法テラスには被害者向けの窓口と援助の制度がある。被害に関する損害賠償などの民事の問題は、無料法律相談の対象になりうる。
④ 予約や相談だけでは期限は止まらない。 法テラスへの予約、相談、費用の立替えの申込みをしただけで、裁判所の手続の期限や時効が止まったり延びたりするわけではない。
議論のある点 収入の「手取り月収」をどう月額にならすか、年金や手当、養育費などをどう扱うか、家賃などの加算や医療費などの出費がどこまで考慮されるかは、法テラスの規程と運用に従い、収入の変動や家計の実態などの個別の事情を確かめて判断される。基準を満たすかどうかの最終的な判断は法テラスが行う。一般論だけで判断せず、法テラスの地方事務所に問い合わせるか、弁護士に相談してほしい。
・収入や資産が基準の近くで、無料法律相談を使えるか分からない
・配偶者と争っていて、配偶者の収入をどう扱うか分からない
・相談だけでは解決せず、弁護士に依頼する費用が払えるか不安がある
・刑事事件の相談をしたい(無料法律相談の対象外なので、弁護士会の相談窓口などを探す。家族が逮捕・勾留された場合は、当番弁護士や国選弁護などの制度を確かめる)
具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。
無料法律相談は原則として予約が必要で、地域によっては予約から相談まで日数がかかる。裁判所から書類が届いているなど期限が近いときは、予約の電話でそのことを伝え、早く相談できる窓口を尋ねる。
法テラスの無料法律相談は、国民または日本に住所を有し適法に在留する人で、収入と資産(現金・預貯金)が基準以下の人が、民事・家事・行政の問題について使える制度である(総合法律支援法30条1項2号ホ、業務方法書15条)。公式サイトの案内では1回30分、同一問題3回までで、刑事事件は対象外である。基準を満たすかどうかの判断は法テラスが行うので、迷ったら問い合わせる。
出典
総合法律支援法30条(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-20)
日本司法支援センター業務方法書14条・15条・15条の4・16条・別表1・別表2(令和8年3月25日法務大臣認可の版)
民事法律扶助業務運営細則7条・8条の2(日本司法支援センター。令和8年細則第9号による改正後)
日本司法支援センター(法テラス)公式サイト「無料法律相談のご利用の流れ」「無料法律相談に関するよくあるご質問」「お電話でのお問合せ(法テラス・サポートダイヤル)」(2026-10-20確認)