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立替金の返済|毎月の分割で返す仕組み

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この記事の要点

  • 法テラスが立て替えた費用(立替金)は、援助開始決定の後、法テラスの地方事務所長が指定した金額を、原則として自動払込などの方法で毎月分割して返す(日本司法支援センター業務方法書30条3項)。法テラスの公式サイトは「利息等はありません」と案内している(口座からの引落しには手数料がかかる)。生活保護を受けている人などは、申請により返済の猶予や免除を受けられることがある。
  • 事件が終わると、終結決定で立替金の総額が確定し、その後の返し方(分割か一括か)が決め直される(業務方法書57条1項・59条)。分割の場合の返済期間は原則として3年を超えないものとされる(業務方法書59条3項)。
  • 事件の結果、相手方などからお金を受け取ったときは、そのお金から報酬金を差し引いた残りを、立替金の額に達するまで返済に充てる(業務方法書60条1項。養育費などの特例や減額の扱いがある)。返済が遅れると法テラスから督促がある(業務方法書61条)。返済が難しくなったときは、放置せず法テラスに相談する。

期限に注意

法テラスへの返済が滞ると、法テラスが裁判所に支払督促を申し立てることがある。裁判所から届く支払督促には、異議を申し立てる期間の制限がある(たとえば、仮執行の宣言が付いた支払督促には、送達を受けた日から2週間の不変期間内に督促異議を申し立てなければならない。民事訴訟法393条)。最初に届く支払督促も放置すると、仮執行の宣言が付されることがある。期限を過ぎると督促異議では争えなくなるが、債務の有無などを争う別の手続が残ることもある。いつから数えるかは事情で変わることもあるので、裁判所から書類が届いたら、期限の前でも後でも、できるだけ早く弁護士に確認してほしい。

問題提起

法テラスの立替制度は、弁護士費用を「もらう」制度ではなく「立て替えてもらう」制度である。立て替えてもらった費用は、事件の途中から毎月少しずつ返していく。いくらずつ、いつから、いつまで返すのか、事件の結果お金が入ったらどうなるのかを知っておくと、無理のない返済計画を立てやすい。

法律の文言(業務方法書30条3項、59条2項・3項)

第1項第4号に規定する立替金の償還方法は、援助開始決定後、地方事務所長が指定した金額を、原則として、自動払込手続その他の方法により割賦で支払う方式(以下「割賦償還」という。)とする。日本司法支援センター業務方法書30条3項(e-Gov法令検索で原文確認)
前項に規定する立替金の償還の方法は、割賦償還又は地方事務所長が指定した期限までにその指定した方法により一括して支払う方式(以下「即時償還」という。)とする。
3 割賦償還の償還期間は3年を超えないものとする。ただし、地方事務所長は、被援助者の資力その他の状況を勘案し、償還期間を延長する決定をすることができる。日本司法支援センター業務方法書59条2項・3項(e-Gov法令検索で原文確認)

要件(返済の決まり方)

① 援助開始決定で毎月の返済額が決まる。 地方事務所長は、援助開始決定で、事件が終わるまでの立替金の返し方を定める(業務方法書30条1項4号)。返し方は、地方事務所長が指定した金額を原則として自動払込などで毎月支払う割賦償還である(同条3項)。返済額を決めるときは、利用者の生活状況を聴き取る(同条4項)。法テラスの公式サイトは、審査で立替金の支払方法や月額も決めると案内している。

② 自動払込の手続をする。 割賦償還が決まった人は、決定から1か月以内に、自動払込などの手続をしなければならない(業務方法書37条2項)。法テラスの公式サイトは、引落日をゆうちょ銀行は毎月15日か25日、ほかの銀行は毎月27日とし(土日・祝日の場合は翌営業日)、引落しには手数料がかかると案内している。

③ 事件が終わったら返し方を決め直す。 事件が終わると、地方事務所長は終結決定で、報酬金の額などとあわせて、援助終結後の立替金の返し方を決め、立替金の総額を確定する(業務方法書57条1項)。返し方は、分割(割賦償還)か、指定された期限までに一括で払う即時償還である(業務方法書59条2項)。分割の返済期間は原則として3年を超えないが、利用者の資力などを考えて延長されることがある(同条3項)。民事法律扶助業務運営細則は、終結決定で毎月の分割返済を定めるときは原則として月額5,000円以上とし、収入から生活費などを差し引いた額が足りない場合は5,000円を下回る額にもできるとしている(細則28条の2第1項)。

④ 相手方からお金を受け取ったときは返済に充てる。 事件で相手方などから金銭等を得たときは、そこから報酬金を差し引いた残りを、立替金の額に達するまで(すでに返した分を除いた残りの額まで)、立替金の返済に充てなければならない(業務方法書60条1項)。即時に全額を返すことが相当でない事情があれば、返済に充てる額が減らされることがある(同条2項)。養育費などには特例がある(業務方法書60条の2)。

⑤ 決定に不服があるとき・収入が変わったとき。 地方事務所長がした終結決定などの決定(立替金の総額・返し方など)に不服があるときは、決定の通知が到達した日から30日以内に、地方事務所長に不服申立書を出して不服申立てができる(業務方法書69条1項・2項)。地方事務所に相談しているだけでは、この期間は止まらない。収入が変わったときは、見直しを申し出る。 事件の途中でも終結決定の後でも、利用者は返し方の変更を申し出ることができ、地方事務所長が相当と認めれば変更される(業務方法書34条1項・64条1項)。法テラスの公式サイトは、収入の増減があった場合には毎月の返済額の見直しをすると案内している。

⑥ 返済が遅れたら督促がある。 返済期限までに返済がないときは、法テラスは遅滞なく督促を行う(業務方法書61条)。法テラスの公式サイトは、督促の方法として、コンビニで払える用紙の送付、電話、督促状、裁判所への支払督促・調停の申立てなどの法的措置を挙げている。法テラスから届く督促状と、裁判所から届く支払督促・訴状・調停の呼出状は別のものである。裁判所の書類には異議の期間や期日があり、法テラスに連絡するだけでは裁判所の手続や期間は止まらない。

返済の流れ(よくある例)

1. 援助開始決定とあわせて、毎月の返済額と返済の開始時期が決まる。
2. 決定から1か月以内に、口座登録用紙を出して自動払込の手続をする(業務方法書37条2項)。手続が終わるまでは、法テラスから届くはがきでコンビニで払うよう案内されることがある。
3. 毎月の引落日の前日までに、返済額と手数料を口座に入れておく。
4. 事件の途中で収入が大きく変わったときは、法テラスの地方事務所に連絡し、返済額の見直しを相談する。
5. 事件が終わると、終結決定で立替金の総額と、その後の返し方が決まる。相手方からお金を受け取った場合は、受任した弁護士などを通じて精算される(業務方法書49条3項)。
6. 残りを返し終えるまで返済を続ける。

実務の視点 返済は、事件の結果が出る前から始まる。返済額は生活状況を聴き取って決められるので、申込みの段階で家賃・医療費・教育費など毎月の負担を正確に伝えておくとよい。引落しができなかったときは、その月の分を振り込むか、翌月に2か月分を引き落とすかを選べると案内されている。残高が分からなくなったときは、利用している法テラスの地方事務所に問い合わせる。法テラスは、原則として本人以外からの問い合わせには残高などを答えないとしている。

確認点・よくある誤解

① 事件が終わるまで返済が始まらないわけではない。 割賦償還は援助開始決定の後から始まる(業務方法書30条3項)。

② 相手方から受け取ったお金は自由に使えるわけではない。 報酬金を差し引いた残りは、立替金の返済に充てる必要がある(業務方法書60条1項)。

③ 生活保護を受けている人などには猶予・免除の制度がある。 生活保護を受けている人などは、申請により返済の猶予を受けられることがあり、事件の終結後に生活保護を受けているときや、生活保護に準ずる程度に生計が困難で資力の回復の見込みに乏しいときは、免除を申請できる(業務方法書31条1項・64条・65条1項)。猶予も免除も、申請して決定を受ける必要がある。

議論のある点

議論のある点 毎月の返済額、返済期間の延長、受け取ったお金から返済に充てる額の減額は、利用者の生活状況や事件の結果を踏まえて法テラスが判断する(業務方法書59条・60条2項)。どの事情がどう考慮されるかは事案によって異なるので、一般論だけで判断せず、弁護士や法テラスに相談してほしい。

特に相談した方がよい場面

・毎月の返済額が生活を圧迫している
・失業・病気などで収入が大きく減った
・事件の結果まとまったお金を受け取る見込みがある
・法テラスから督促状が届いた
・決定通知の金額や返し方に納得できない
・裁判所から支払督促や訴状が届いた
・事件の終結後に生活保護を受けるようになった、または病気・障害などで今後も返済が難しい

具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。

相談のタイミング

返済が難しくなりそうだと分かった時点で、できるだけ早く法テラスの地方事務所に連絡するのがよい。法テラスから督促状が届いたときは、放置せず、すぐに利用している地方事務所に連絡する。裁判所から書類が届いたときは、書類と受け取った日を確かめ、すぐに弁護士に相談する。

まとめ

法テラスの立替金は、援助開始決定の後から毎月分割で返し、法テラスの公式サイトは利息等はないと案内している(引落しの手数料はかかる)。生活保護を受けている人などは、申請により猶予・免除を受けられることがある。事件が終わると立替金の総額と返し方が決め直され、相手方から受け取ったお金は報酬金を差し引いた残りを返済に充てる。返済が難しいときは、早めに法テラスに相談する。

出典

民事訴訟法393条(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-20)

日本司法支援センター業務方法書30条・31条・34条・37条・49条・57条・59条〜61条・64条・65条・69条(令和8年3月25日法務大臣認可の版)

民事法律扶助業務運営細則28条の2

日本司法支援センター(法テラス)公式サイト「弁護士・司法書士への依頼を検討している方へ」「立替制度に関するよくあるご質問」「法テラスをご利用中の方」「今月の返済日」「返済がなかった場合」(2026-10-20確認)

最終確認日
2026年10月20日
法令の基準時
2026年10月時点の法令による
出典(外部サイト)
e-Gov 法令検索(デジタル庁)〔外部サイト〕/裁判所ウェブサイト〔外部サイト〕
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