問題提起
法律相談では、相談者が話したいことがたくさんあるのに、時間は限られている。話が前後したり、大事な日付を思い出せなかったりすると、弁護士が事情を理解するまでに時間がかかり、肝心の助言を受ける時間が足りなくなる。出来事を順番に書き出したメモを用意しておくと、相談の質が大きく変わる。
弁護士に相談する前に知っておきたい法律の要点を、分野ごとにスレッド形式でまとめています。
法律相談では、相談者が話したいことがたくさんあるのに、時間は限られている。話が前後したり、大事な日付を思い出せなかったりすると、弁護士が事情を理解するまでに時間がかかり、肝心の助言を受ける時間が足りなくなる。出来事を順番に書き出したメモを用意しておくと、相談の質が大きく変わる。
弁護士又は弁護士であつた者は、その職務上知り得た秘密を保持する権利を有し、義務を負う。但し、法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。弁護士法23条(e-Gov法令検索で原文確認)
① 日付。 出来事のあった年月日を書く。分からなければ「2024年春ごろ」「入院した翌週」のように、手がかりになる言い方で書き、あいまいであることが分かるようにする。
② 出来事。 誰が、誰に、何をしたか(何を言ったか)を、1行に1つずつ書く。たとえば「相手方から電話。『今月中に払う』と言われた」のように、主語と相手を省かずに書く。
③ 関係者。 登場する人の名前と、相談者との関係(夫、上司、相手方の担当者など)を書く。同じ人を別の呼び方で書かないようにする。
④ 裏づけとなる資料。 その出来事を示す資料(契約書、メール、LINE、写真、領収書、録音など)があるかどうかを書く。資料があれば、メモの番号と対応させておくと話が早い。
⑤ 届いた書類の日付と受け取り方。 裁判所や役所、相手方から書類が届いた場合は、書類に書かれた日付、誰が・いつ・どのような方法で受け取ったか、書類に書かれた期限を書く。封筒や不在連絡票も残しておく。本人が実際に受け取った日や開封した日と、法律上の送達の日や期限を数え始める日が一致しないこともある。期限の数え方は手続によって違うので、自分だけで判断せず、書類一式を見せて確かめる。
1. 思いつくままに出来事を書き出す(順番は気にしない)。
2. 日付の順に並べ替える。日付が分からないものは、前後の出来事との関係で位置を決める。
3. 各出来事に、裏づけとなる資料の有無を書き加える。
4. 最後に、いま困っていること、弁護士に聞きたいこと、期限がありそうなことを、メモの冒頭か末尾にまとめる。
実務の視点 弁護士は最初に全体を短時間で読むことが多いので、細かい経緯は別紙にし、冒頭に「何が起きていて、何を相談したいのか」を3行ほどで書いておくと伝わりやすい。
① 事実と気持ちを分ける。 「相手は最初からだますつもりだった」は推測、「相手は○月○日に『必ず返す』とメールで書いた」は事実である。分けて書くと、弁護士は、証拠で示せることと、示せないことを区別しやすい。
② 不利なことも書く。 自分に不利な出来事(約束を守れなかった、相手に強い言葉を送ったなど)も書いておく。弁護士の見通しは、相談者から聞いた事実と資料を前提に立てるからである。
③ 資料そのものも残す。 メモに内容を書き写しても、元の資料の代わりになるとは限らない。紙の原本や、メール・メッセージ・録音などの元のデータは、消したり上書きしたりせずに保存する。画面を保存するときは、日時、相手、前後のやり取りも分かるようにする。消えてしまいそうな資料があるときは、メモ作りより先に、保存の方法を相談する。
④ メモの扱いに気をつける。 弁護士に見せるために作ったメモを、相手方に送ったり、SNSに載せたりしない。相手方の手に渡ると、相談者に不利な形で使われることがある。
⑤ メモが後に使われることがある。 時系列メモは、後に裁判所に出す陳述書や、事実を説明する書面の材料になることがある。そのため、記憶があいまいな点を確かなことのように書かない。
・メモを作る途中で、裁判所や役所から届いた書類に期限があることに気づいた
・書類が届いていなくても、時効や相続放棄の期間など、期限が問題になりそうだ
・期限が迫っている、期限を過ぎたかもしれない、または書類に書かれた期限の意味が分からない
・相手方とのやり取りの記録(メール・録音など)をどう扱えばよいか分からない
具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。
メモを完成させてから相談しようとして、相談が遅れるのは避ける。相談の予約や法律相談をしただけでは、時効や裁判の期限は止まらない。書類が届いていなくても進む期限もある。期限が迫っている、過ぎたかもしれない、または期限の意味が分からないときは、メモが途中でも、相談先に連絡して急ぎであることを伝える。期限を過ぎたと思っても、自分だけで手遅れと判断しない。
時系列メモは、出来事を日付の順に、「いつ・誰が・何をしたか」と裏づけ資料の有無を添えて書き出したものである。事実と推測を分け、不利なことも書き、元の資料は消さずに残す。弁護士には秘密を保持する義務がある(弁護士法23条)が、メモ自体を相手方に渡さないよう注意する。
出典
弁護士法23条(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-20)