問題提起
法律の問題を抱えたが、知り合いに弁護士はいない。事務所をウェブで探しても、どこに頼めばよいか分からない。そのようなとき、最初の窓口の一つになるのが、弁護士会が運営する法律相談センターである。どのような相談ができ、相談の後にどうなるのかを知っておくと、利用しやすくなる。
弁護士に相談する前に知っておきたい法律の要点を、分野ごとにスレッド形式でまとめています。
法律の問題を抱えたが、知り合いに弁護士はいない。事務所をウェブで探しても、どこに頼めばよいか分からない。そのようなとき、最初の窓口の一つになるのが、弁護士会が運営する法律相談センターである。どのような相談ができ、相談の後にどうなるのかを知っておくと、利用しやすくなる。
弁護士会の法律相談センターの設置や運営の方法を直接定めた法律の条文はない。各地の弁護士会が、会の事業として設けている。弁護士法は、弁護士の職務と弁護士会の目的を次のように定めている。
弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。弁護士法3条1項(e-Gov法令検索で原文確認)
弁護士会は、弁護士及び弁護士法人の使命及び職務にかんがみ、その品位を保持し、弁護士及び弁護士法人の事務の改善進歩を図るため、弁護士及び弁護士法人の指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的とする。弁護士法31条1項(e-Gov法令検索で原文確認)
相談を担当する弁護士は、相談の中で知った秘密を守る義務を負う(弁護士法23条)。
弁護士会の法律相談センターでは、一般に次のような相談を受け付けている。どの分野を扱うか、分野ごとに専用の相談日や窓口を設けるかは弁護士会によって違う。
分野の例|相談の例
家族の問題|離婚、養育費・婚姻費用、親権、相続、遺言、成年後見
お金の問題|借金の整理(任意整理・自己破産・個人再生)、貸したお金の返還
事故・損害賠償|交通事故、近隣トラブル、ネット上の書き込み
住まい・契約|不動産の売買・賃貸借、消費者被害、契約の解除
仕事|解雇、残業代、ハラスメント
刑事|家族が逮捕された、被害にあった
事業|中小企業・個人事業の取引や債権回収
相談の方法は、センターに出向いて弁護士と面談する方法のほか、電話相談やオンライン相談を設けている弁護士会もある。
・相談料は、相談を申し込む人が支払う。金額は弁護士会や相談の種類によって決められている。
・借金の整理など一部の分野や、一定の条件を満たす人について、相談料を無料としている弁護士会がある。どの分野が無料かは弁護士会ごとに違う。
・収入や資産が一定の基準以下の人は、日本司法支援センター(法テラス)の民事法律扶助を使って、民事・家事・行政に関する法律相談を無料で受けられる場合がある(総合法律支援法30条1項2号ホ。刑事に関する相談は対象外)。弁護士会の相談センターでこの扱いを受けられるかは、その弁護士会と法テラスに確かめる。
・1回の相談時間は、あらかじめ区切られていることが多い。相談する人は、時間内に話を伝えられるよう準備しておくとよい。
実務の視点 限られた時間を有効に使うため、出来事を日付順に並べたメモ(いつ・誰が・何をしたか)、契約書や手紙・通知などの資料、相手方の氏名・名称を用意しておくとよい。相手方の名前は、担当する弁護士が相手方の相談を受けていないかなどを確かめるためにも必要になる。
1. 相談したい人が、弁護士会の法律相談センターに電話やウェブで相談を申し込む(予約が必要なことが多い)。
2. 相談日に、担当の弁護士が事情を聞き、法律上の考え方や取れる手段、見通しを説明する。
3. 相談した人が、担当の弁護士に事件を依頼したいと考えた場合は、そのことを伝える。弁護士会によっては、相談を担当した弁護士がそのまま依頼を受ける仕組みを設けている。
4. 弁護士が依頼を引き受ける場合は、弁護士が事件の見通し、処理の方法、弁護士報酬と費用を説明し、原則として、弁護士報酬に関する事項を含む委任契約書を作る(弁護士職務基本規程29条1項・30条1項。法律相談や簡易な書面の作成など、委任契約書の作成を要しない例外がある。同条2項)。
5. 相談した人は、依頼しないこと、ほかの窓口や弁護士にも相談してから決めることもできる。
① 相談したら依頼しなければならない、ということはない。 相談は相談で終わらせることができる。
② 担当する弁護士は選べないことが多い。 法律相談センターでは、相談日に当番となっている弁護士が担当することが多く、相談した人が特定の弁護士を指名できるとは限らない。分野ごとの専門の相談窓口を設けている弁護士会もある。
③ 一度の相談で全部が解決するとは限らない。 相談の時間内では、事実関係の確認や資料の検討が終わらないこともある。その場合は、改めて相談する、または弁護士に依頼して詳しく検討してもらうことになる。
④ 相談を担当できないことがある。 担当の弁護士がすでに相手方の相談を受けているなど、弁護士法や弁護士職務基本規程により職務を行ってはならない事情がある場合、その弁護士は相談や依頼を引き受けられない。その場合の対応(担当の変更、日を改めての予約、別の窓口の案内など)は相談センターごとに違い、すぐに別の弁護士の相談を受けられるとは限らない。
・裁判所から書類(訴状・支払督促・呼出状など)が届いた
・相手方から内容証明郵便や請求書が届き、回答の期限が書かれている
・家族が亡くなり、相続をするかどうか決める必要がある
・借金の返済が難しくなり、督促が続いている
・家族が逮捕された
具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。
裁判所からの書類や、期限が書かれた通知を受け取った場合は、その期限より前に相談できるよう、すぐに申し込む。法律には、期限を過ぎると権利を失ったり手続ができなくなったりするものがあり、相談の予約がすぐには取れないこともある。相談の予約や問い合わせをしただけでは、期限は止まらない。書類に期限が書かれていなくても、時効や相続放棄の期間のように進んでいる期限もある。家族が逮捕されたときは、相談の予約を待たず、弁護士会の当番弁護士制度に連絡する(当番弁護士の初回の面会は無料とされている)。
弁護士会の法律相談センターは、各地の弁護士会が運営する法律相談の窓口で、法律が関わる問題を幅広く受け付けている。相談料・時間・無料の範囲は弁護士会ごとに違うので、申し込む前に案内で確かめる。相談の後に担当の弁護士に依頼できる場合があるが、依頼するかどうかは相談した人が決める。
出典
弁護士法3条1項・23条・31条1項、総合法律支援法30条1項2号ホ(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-19)
弁護士職務基本規程29条1項・30条1項(日本弁護士連合会会規)