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被害者参加|刑事裁判に加わる制度

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この記事の要点

  • 故意の犯罪行為で人を死傷させた罪、不同意わいせつ・不同意性交等、業務上過失致死傷、逮捕・監禁、略取・誘拐、過失運転致死傷などの法律で定められた罪の被害者や遺族などは、検察官を通じて裁判所に申し出て、許可を受ければ、刑事裁判に「被害者参加人」として参加できる(刑事訴訟法316条の33)。
  • 被害者参加人やその委託を受けた弁護士は、公判期日に出席できる。さらに、事前に検察官を通じて申し出て、裁判所が相当と認めて許可すれば、情状についての証人尋問、被告人への質問、事実や法律の適用についての意見の陳述ができる(刑事訴訟法316条の34〜316条の38)。
  • 参加するかどうかは被害者側が選べる。一定の資力の要件を満たせば、国の費用で弁護士を付けてもらう制度(国選被害者参加弁護士)もある。

期限に注意

被害者参加人が公判期日などに出席したときに支給される旅費・日当・宿泊料は、請求しなければ支給されない。請求書は、出席した日から、裁判によって訴訟手続が終了する場合はその裁判があった日(判決の確定の日ではない)の翌日以後30日を経過する日までに、裁判によらないで訴訟手続が終了する場合はその終了した日の翌日以後30日を経過する日までに、裁判所に差し出す(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律施行令6条1項)。やむを得ない事由で期間内に出せなかったときは、その事由が消滅した日の翌日以後30日を経過する日までに出す(同条2項)。相談をしていても期限は止まらない。期限を過ぎると権利を失ったり手続ができなくなったりすることがあり、いつから数えるか・延ばせるかは事情で変わるので、思い当たる方はできるだけ早く弁護士に確認してほしい。

問題提起

家族が事件で亡くなった、または自分が被害を受けた。刑事裁判を傍聴するだけでなく、被告人に直接聞きたいことがある、思いを裁判で伝えたい――そのための制度が被害者参加制度である。被害が軽いことだけを理由に対象外になるわけではなく、対象かどうかは法律で定められた罪の事件かどうかで決まる。

法律の文言(刑事訴訟法316条の33第1項)

裁判所は、次に掲げる罪に係る被告事件の被害者等若しくは当該被害者の法定代理人又はこれらの者から委託を受けた弁護士から、被告事件の手続への参加の申出があるときは、被告人又は弁護人の意見を聴き、犯罪の性質、被告人との関係その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、決定で、当該被害者等又は当該被害者の法定代理人の被告事件の手続への参加を許すものとする。刑事訴訟法316条の33第1項柱書(e-Gov法令検索で原文確認)

要件(参加できる場合)

① 対象となる罪(刑事訴訟法316条の33第1項各号)。 故意の犯罪行為により人を死傷させた罪(1号)、刑法176条(不同意わいせつ)・177条(不同意性交等)・179条(監護者わいせつ及び監護者性交等)・211条(業務上過失致死傷等)・220条(逮捕及び監禁)・224条から227条まで(略取・誘拐・人身売買など)の罪(2号)、これらの罪の犯罪行為を含む罪(3号)、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律4条・5条(過失運転致死傷)・6条3項・4項の罪(4号)、1号から3号までの罪の未遂罪(5号)。これは現行法の罪名による一覧で、法改正前の行為について旧法の罪名(強制わいせつなど)で起訴されている事件も、経過措置により対象になる場合があるので、起訴状の罪名が一覧と違っても自分で対象外と判断しない。

② 申し出ることができる人。 被害者等(被害者、または被害者が亡くなった場合・心身に重大な故障がある場合の配偶者・直系の親族・兄弟姉妹。刑事訴訟法201条の2第1項の中で定義されている)、被害者の法定代理人、これらの人から委託を受けた弁護士である(刑事訴訟法316条の33第1項)。

③ 申出の方法。 申出は、あらかじめ検察官にする。検察官は意見を付けて裁判所に通知する(刑事訴訟法316条の33第2項)。

④ 裁判所の許可。 裁判所は、被告人または弁護人の意見を聴き、犯罪の性質、被告人との関係その他の事情を考慮して、相当と認めるときに参加を許す(同条1項)。

被害者参加人ができること

1. 公判期日への出席。 被害者参加人またはその委託を受けた弁護士は、公判期日に出席できる(刑事訴訟法316条の34第1項)。ただし、裁判所は、相当でないと認めるときは、出席を許さないことができる(同条4項)。
2. 検察官への意見。 検察官の権限の行使(たとえば控訴するかどうか)について意見を述べることができる。検察官は、その権限を行使し、または行使しないこととしたときは、必要に応じ、意見を述べた人に理由を説明しなければならない(刑事訴訟法316条の35)。
3. 証人への尋問。 情状に関する事項(犯罪事実に関するものを除く)について、証人の供述の証明力を争うために必要な尋問を、事前に検察官を通じて申し出て、裁判所が相当と認めて許可したときにできる(刑事訴訟法316条の36)。
4. 被告人への質問。 刑事訴訟法の規定による意見の陳述(下の5の意見のほか、被害に関する心情などの意見の陳述を含む)をするために必要があり、裁判所が相当と認めて許可したときは、被告人に質問できる(刑事訴訟法316条の37)。被告人には黙秘権があるので、答えが得られるとは限らない。
5. 事実や法律の適用についての意見。 事前に意見の要旨を明らかにして検察官を通じて申し出て、裁判所が相当と認めて許可したときは、検察官の意見(論告・求刑)の後に、訴因として特定された事実の範囲内で意見を述べることができる。この意見の陳述は証拠にはならない(刑事訴訟法316条の38)。
6. 付添い・遮へい。 年齢や心身の状態などから、被害者参加人が著しく不安または緊張を覚えるおそれがあるときは、裁判所は適当な人を付き添わせることができる(刑事訴訟法316条の39第1項)。被告人から見えないようにする措置や、傍聴人から見えないようにする措置もあり、それぞれ要件が違う(同条4項・5項)。

実務の視点 尋問・質問・意見の陳述は、どれも事前に検察官を通じて申し出る必要があり、内容も法律で絞られている。何を聞くか、何を述べるか(尋問事項・質問事項・意見の要旨)を、検察官や委託した弁護士と早めに打ち合わせておくとよい。

確認点・よくある誤解

① 心情を述べる制度は別にある。 被害者参加とは別に、被害者等や被害者の法定代理人が、被害に関する心情その他の被告事件に関する意見を公判期日で述べる制度がある(刑事訴訟法292条の2)。対象の罪の限定はなく、被害者参加人でなくても申し出ることができる。この陳述や書面は、犯罪事実を認定する証拠にはできない(同条9項)。被告人が被害者参加人の質問に答えた内容は、被告人の供述として扱われる。

② 旅費などは請求が必要。 被害者参加人が公判期日、または公判準備として行われる証人尋問・検証に出席したときは(刑事訴訟法316条の34第1項・5項)、請求により、国から旅費・日当・宿泊料が支給される(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律〔以下「犯罪被害者保護法」〕5条)。請求書は裁判所を経由して出し(同法6条1項)、支給の事務は法テラスが行う(同法8条1項)。請求の期限は上の「期限に注意」のとおりで、出席のたびに方法と期限を確かめる。

③ 参加しなくても記録の閲覧ができる場合がある。 被害者等は、刑事裁判の係属中、第1回の公判期日後に、その事件の訴訟記録の閲覧・謄写を申し出ることができ、裁判所は、理由が正当でない場合や相当でない場合を除いて閲覧・謄写をさせる(犯罪被害者保護法3条1項)。

④ 公判が開かれない事件では使えない。 被害者参加は公判を前提とする刑事裁判の制度である。不起訴になった事件、略式命令だけで終わる事件、家庭裁判所の少年審判では、利用できる制度が別になる。その場合も、被害者として使える別の制度について相談するとよい。

議論のある点

議論のある点 裁判所が参加を許すか、尋問・質問・意見の陳述をどこまで認めるかは、犯罪の性質、被告人との関係、審理の状況などによって判断が分かれる。どの程度の準備をして何を述べるかも、事件ごとに違う。一般論だけで判断せず、弁護士に相談してほしい。

法改正の予定

情報通信技術を使う手続の整備(令和7年法律第39号)により、被害者参加人がビデオリンク方式で公判期日に出席できる規定などが設けられている(e-Gov 法令検索では2027年3月31日施行の未施行の版として掲載)。

特に相談した方がよい場面

・家族が亡くなった、または被害を受けた事件で、起訴された(または起訴されそうな)とき
・参加するかどうか迷っている
・被告人への質問や意見の陳述を準備したい
・弁護士に委託したいが費用が心配
・旅費などの請求の期限が近い

具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。

相談のタイミング

参加の申出は検察官を通じて行うので、起訴されたら早めに担当の検察官に意向を伝え、弁護士にも相談する。審理が進んでからでは、できることが限られる場合がある。

まとめ

被害者参加制度は、法律で定められた罪の被害者や遺族などが、刑事裁判に参加して出席・尋問・質問・意見の陳述をする制度である。申出は検察官を通じて行い、裁判所が許可する。心情を述べる制度や旅費の支給(請求の期限あり)、国選被害者参加弁護士の制度もあわせて知っておくとよい。

出典

刑事訴訟法201条の2・292条の2・316条の33〜316条の39(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-20。未施行の改正〔令和7年法律第39号〕も確認)

犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律3条・5条・6条・8条、同法施行令1条・2条・6条

法テラス公式サイト「被害者参加旅費等支給制度」(2026-10-20確認)

最終確認日
2026年10月20日
法令の基準時
2026年10月時点の法令による
出典(外部サイト)
e-Gov 法令検索(デジタル庁)〔外部サイト〕/裁判所ウェブサイト〔外部サイト〕
ご相談
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