問題提起
弁護士に相談するとき、まず気になるのが相談料である。相談料は何に対して払うお金なのか、相談の後で依頼したらどうなるのか、相談料がいくらかはどうやって分かるのか。相談料の性質を知っておくと、相談の申込みのときに確かめるべき点が分かる。
弁護士に相談する前に知っておきたい法律の要点を、分野ごとにスレッド形式でまとめています。
弁護士に相談するとき、まず気になるのが相談料である。相談料は何に対して払うお金なのか、相談の後で依頼したらどうなるのか、相談料がいくらかはどうやって分かるのか。相談料の性質を知っておくと、相談の申込みのときに確かめるべき点が分かる。
弁護士等の報酬は、経済的利益、事案の難易、時間及び労力その他の事情に照らして適正かつ妥当なものでなければならない。弁護士の報酬に関する規程2条(e-Gov法令検索で原文確認)
弁護士等は、弁護士等の報酬に関する基準を作成し、事務所に備え置かなければならない。
2 前項の基準には、報酬の種類、金額、算定方法、支払時期その他弁護士等の報酬を算定するために必要な事項を明示しなければならない。弁護士の報酬に関する規程3条(e-Gov法令検索で原文確認)
前項の規定にかかわらず、受任する事件が、法律相談、簡易な書面の作成又は顧問契約その他継続的な契約に基づくものであるときその他合理的な理由があるときは、委任契約書の作成を要しない。弁護士職務基本規程30条2項(e-Gov法令検索で原文確認)
① 相談料は法律相談の対価である。 相談料は、事件を依頼するかどうかにかかわらず、相談を受けたことに対して支払うものとされることが多い。
② 額や計算の単位は事務所ごとの基準を前提に、合意で決まる。 弁護士は、報酬の種類・金額・算定方法・支払時期などを明示した報酬基準を作って事務所に備え置かなければならない(弁護士の報酬に関する規程3条)。個々の相談者が払う相談料は、この基準や事務所の案内を前提に、相談者と弁護士の合意で決まる。相談料の額や、時間単位で計算するのかどうかは、基準や案内で確かめる。
③ 法律相談には委任契約書を作らないことが多い。 弁護士は、受任する事件が法律相談である場合など合理的な理由があるときは、委任契約書を作らなくてよいとされている(弁護士職務基本規程30条2項)。委任契約書を作らない場合でも、弁護士は報酬と費用について適切な説明をしなければならない(同規程29条1項)。相談者も、申込みのときに額を確かめておくとよい。
④ 報酬は適正かつ妥当でなければならない。 弁護士は、適正かつ妥当な弁護士報酬を提示しなければならない(弁護士職務基本規程24条)。相談者が申し出れば、弁護士は法律事務の内容に応じた報酬見積書の作成と交付に努めるとされている(弁護士の報酬に関する規程4条)。
1. 相談したい人が、相談の申込みのときに、相談料の額、計算の単位(時間)、支払方法を確かめる。
2. 相談の当日、相談者が資料を見せながら相談する。
3. 相談の終わりに、相談者が相談料を支払い、領収書を受け取る。
4. 相談の後で事件を依頼する場合は、委任契約書で着手金・報酬金などの別の費用を確かめる。
実務の視点 相談時間が限られている場合は、事前に時系列のメモと聞きたいことの一覧を作っておくと、限られた時間で必要な説明を受けやすい。相談料が時間で決まる場合は、延長したときの扱いも申込みのときに確かめておく。
① 相談料と依頼の費用は別である。 相談料を払っても、事件の処理を依頼したことにはならない。依頼する場合は、改めて委任契約を結び、着手金などを支払うのが一般的である。ただし、法律相談そのものも契約(準委任)であり、相談の中のやり取りで追加の作業を頼んだと評価される場合もある。
② 無料の相談もある。 法テラスの民事法律扶助の制度では、法テラスの相談窓口や法テラスと契約している弁護士などを通じて申し込むことで、収入と資産が一定の基準以下であることなどの要件を満たす人が、無料で法律相談を受けられる(総合法律支援法30条1項2号、具体的な要件は日本司法支援センター業務方法書による)。予約のときに利用したいことを伝え、その相談が無料相談の対象になるかを確かめる。要件に当たる人でも、通常の有料相談を申し込んだ場合に自動的に無料になるわけではない。利用できる問題の種類や回数などにも決まりがあり、刑事事件の弁護とは別の制度である。弁護士会や自治体も、無料または低額の法律相談を行っていることがある。
③ 「相談料無料」の表示の範囲を確かめる。 初回だけ無料、特定の分野だけ無料、時間に上限がある、などの条件が付いていることがある。
④ 法律相談の後に弁護士が動いてくれるわけではない。 相談の中で説明を受けたことを、相談者自身が行うのか、弁護士に依頼して行うのかを、相談の終わりに確かめる。
議論のある点 相談の中で弁護士が書面の案を作った場合などに、それが相談料の範囲に含まれるのか、別の報酬(手数料など)がかかるのかは、依頼の範囲と、明示または黙示の合意の内容によって判断される。報酬基準や一方的な説明だけで当然に追加の料金が発生するわけではないが、金額をはっきり決めていなかったことだけで当然に無料になるわけでもない。相談料の額が適正かどうかも、相談の内容や時間によって評価が分かれる。一般論だけで判断せず、弁護士に相談してほしい。
・相談料の説明がないまま、相談の後で高額の請求を受けた
・収入が少なく、相談料を払うのが難しい
・相談の後に、依頼したつもりのない作業の費用を求められた
具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。
相談料の額と計算の単位は、相談の申込みのときに確かめる。収入が少ない場合は、申込みの前に、法テラスの無料法律相談の要件に当たるかを確かめるとよい。相談の予約や法律相談をしただけでは、時効や裁判の期限は止まらない。期限が迫っているときは、無料相談の可否を調べ終わるのを待たずに、早めに相談する。
相談料は、弁護士から法律相談を受けることに対する報酬で、事件を依頼したときの着手金・報酬金とは別である。個々の相談料の額は、適正かつ妥当でなければならないという制約のもとで(弁護士の報酬に関する規程2条)、事務所の報酬基準(同規程3条)を踏まえた相談者と弁護士の合意で決まる。収入と資産が一定の基準以下の人は、法テラスの無料法律相談を使える場合がある。
出典
総合法律支援法30条1項2号(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-19)
弁護士職務基本規程24条・29条・30条(平成16年日本弁護士連合会会規第70号)
弁護士の報酬に関する規程2条〜4条(平成16年日本弁護士連合会会規第68号)