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民事調停|裁判所で話し合う手続の特徴

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この記事の要点

  • 民事に関する紛争が生じたとき、当事者は裁判所に調停の申立てをすることができる(民事調停法2条)。申立ては申立書を裁判所に出してする(民事調停法4条の2)。申し立てる裁判所は、原則として相手方の住所などを管轄する簡易裁判所か、当事者が合意で定めた地方裁判所・簡易裁判所で(民事調停法3条1項)、宅地・建物の貸借などの紛争には特則がある(民事調停法24条)。
  • 調停は、原則として裁判官(調停主任)1人と民事調停委員2人以上で組織する調停委員会が行い、当事者の互譲による解決を目指す(民事調停法1条・5条・6条)。合意ができて調書に記載されると、裁判上の和解と同一の効力が生じ(民事調停法16条)、後から気が変わったというだけで一方的に撤回することはできない。
  • 合意の見込みがないときは不成立で終わるが、裁判所が「調停に代わる決定」をすることもある(民事調停法14条・17条)。当事者と利害関係人は、当事者が決定の告知を受けた日から2週間以内に異議を申し立てられ(利害関係人自身への告知の日から数えるのではない)、適法な異議があれば決定は効力を失う(民事調停法18条1項・4項)。異議がなければ、合意していなくても決定は裁判上の和解と同一の効力を持つ(同条5項)。

期限に注意

調停に代わる決定に対する異議は、当事者が決定の告知を受けた日から2週間以内に申し立てなければならず、期間内に異議がないと、決定は裁判上の和解と同一の効力を持つ(民事調停法18条1項・5項)。調停が不成立で終わったとき(民事調停法14条)や、異議で調停に代わる決定が効力を失ったとき(同法18条4項)は、申立人がその通知を受けた日から2週間以内に、調停の目的となった請求について訴えを起こせば、調停の申立ての時に訴えを起こしたものとみなされる(民事調停法19条)。この2週間を過ぎても訴えを起こすこと自体はできるが、調停を申し立てた時に訴えを起こしたものとはみなされなくなる。時効との関係では、調停の申立てにより、調停が終わるまで(合意などで権利が確定せずに終わった場合は終了から6か月を経過するまで)時効の完成が猶予される(民法147条1項3号)。2020年4月1日より前に時効の中断などの事由が生じていた場合は、改正前の民法による扱いが残る(平成29年法律第44号附則10条2項)。期限を過ぎると権利を失ったり手続ができなくなったりすることがあり、いつから数えるか・延ばせるかは事情で変わるので、思い当たる方はできるだけ早く弁護士に確認してほしい。

問題提起

隣人との境界や騒音、貸したお金、家賃や敷金、近所付き合いのある相手との争い――いきなり裁判で白黒をつけるのではなく、間に人を入れて話し合いたいという場面は多い。民事調停は、裁判所で調停委員を交えて話し合い、合意による解決を目指す手続である。この記事は、2026年10月21日現在の民事調停法・民事調停規則で説明している。離婚や相続など家庭に関する紛争の調停は、家庭裁判所の家事調停の手続による。

法律の文言(民事調停法1条・2条・16条)

この法律は、民事に関する紛争につき、当事者の互譲により、条理にかない実情に即した解決を図ることを目的とする。民事調停法1条(e-Gov法令検索で原文確認)
民事に関して紛争を生じたときは、当事者は、裁判所に調停の申立てをすることができる。民事調停法2条(e-Gov法令検索で原文確認)
調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、裁判上の和解と同一の効力を有する。民事調停法16条(e-Gov法令検索で原文確認)

要件・仕組み

① 申立てと記載事項。 調停の申立ては、申立書を裁判所に提出してする(民事調停法4条の2第1項)。申立書には、当事者・法定代理人と、申立ての趣旨・紛争の要点を書き(同条2項)、紛争の要点に関する証拠書類があればその写しを付ける(民事調停規則3条)。

② 申し立てる裁判所。 原則として、相手方の住所・居所・営業所・事務所の所在地を管轄する簡易裁判所か、当事者が合意で定める地方裁判所・簡易裁判所である(民事調停法3条1項)。宅地・建物の貸借その他の利用関係の紛争(家賃・敷金など)は、その宅地・建物の所在地を管轄する簡易裁判所、または当事者が合意で定めるその所在地を管轄する地方裁判所の管轄とされている(民事調停法24条)。

③ 手数料。 調停を求める事項の価額に応じて定められ、例えば価額100万円までは10万円までごとに500円である(民事訴訟費用等に関する法律3条1項・別表第一の14の項)。訴えの手数料のうち訴額に応じた部分の約半分の水準で、郵便料などの予納が別に必要になることがある。

④ 調停委員会。 調停主任(裁判官)1人と民事調停委員2人以上で組織する(民事調停法6条)。裁判所が相当と認めるときは裁判官だけで行うこともできるが、当事者の申立てがあれば調停委員会で行わなければならない(民事調停法5条)。

⑤ 出頭。 呼出しを受けた当事者などが正当な事由なく出頭しないときは、5万円以下の過料に処される(民事調停法34条)。ただし、出頭しても合意を強制されることはない。

⑥ 調停前の措置。 調停委員会は、調停のために特に必要があるときは、当事者の申立てにより、相手方などに現状の変更や物の処分の禁止などを命ずることができる(民事調停法12条1項)。正当な事由なく従わないと10万円以下の過料の対象になる(民事調停法35条)が、この措置には執行力がない(民事調停法12条2項)。仮差押え・仮処分などの民事保全の代わりにはならないので、財産を処分されそうなときは、保全の手続を別に検討する必要がある。

調停の流れ

1. 申立書を作り、管轄の簡易裁判所などに提出して手数料を納める。
2. 裁判所が期日を決め、当事者双方を呼び出す。
3. 期日では、調停委員会が双方の言い分を聞き、事情を確かめながら解決案を探る。
4. 合意ができれば調書に記載して調停が成立する(民事調停法16条)。ただし、成立した合意が相当でないと認められるときは、調停が成立しないものとして終わることもある(民事調停法14条)。
5. 合意の見込みがなければ、不成立として事件が終わる(民事調停法14条)。裁判所が相当と認めるときは、調停に代わる決定で解決案を示すことがある(民事調停法17条)。
6. 調停をするのに適当でない事件や、不当な目的でみだりに申し立てられた事件は、調停をしないものとして終わることがある(民事調停法13条)。

実務の視点 調停は話し合いの手続だが、言い分を裏づける資料(契約書、領収書、写真、やり取りの記録)を用意すると、調停委員に事情が伝わりやすい。どこまでなら譲れるか、譲れない点は何かを事前に整理して臨むと、話し合いが進みやすい。調停案に応じる前には、支払の条件や権利の放棄の範囲をよく確かめる。

確認点・よくある誤解

① 調停に代わる決定は放置しない。 調停が成立する見込みがない場合でも、裁判所は、民事調停委員の意見を聴いたうえ、当事者双方のために衡平に考えて、金銭の支払などを命ずる決定をすることがある(民事調停法17条)。2週間以内に適法な異議があれば効力を失い、異議がなければ、合意していなくても裁判上の和解と同一の効力を持つ(民事調停法18条)。

② 調停を先にしなければならない事件。 借地借家法による地代・土地の借賃・建物の借賃の増減の請求に関する事件は、訴えを起こす前にまず調停を申し立てなければならない(民事調停法24条の2第1項)。調停をせずに訴えを起こすと、裁判所は原則として事件を調停に付す(同条2項。調停に付すのが適当でないと認めるときを除く)。

③ 訴訟中に調停に付されることもある。 訴訟を担当する裁判所は、適当と認めるときは、職権で事件を調停に付すことができる。ただし、争点と証拠の整理が終わった後は、当事者の合意がなければ付すことができない(民事調停法20条1項)。調停が成立すれば訴えは取り下げられたものとみなされ(同条2項)、成立しなければ元の訴訟が続く。この場合は、上の2週間以内に改めて訴えを起こす必要はない。

④ 成立した調停は強制執行の根拠になる。 金銭の支払など給付の内容が特定された条項は強制執行の根拠になり、相手方が約束を守らないときは、改めて訴訟をしなくても差押えなどを申し立てられる(民事執行法22条7号)。裁判所が自動的に回収してくれるわけではない。

⑤ 訴訟との違い。 調停は手数料が比較的低く、手続が非公開で、法令や公序良俗に反しない範囲で、分割払や履行時期の調整など判決では得にくい柔軟な解決を合意できる。一方、相手方が応じなければ合意は成立せず、判決のように白黒をつける手続ではない。

議論のある点

議論のある点 調停と訴訟のどちらを先に使うべきか、どのような事件で調停に代わる決定がされやすいかは、紛争の内容と相手方の態度、裁判所の運用によって異なる。相手方が出頭しない見込みが高い場合や、権利の有無そのものに大きな争いがある場合は、調停を経ずに訴訟などを選ぶ方がよいこともある(ただし、調停を先にしなければならない事件を除く)。

法改正の予定

民事調停法には、2026年10月21日現在、施行前の改正がある(e-Gov 法令検索で未施行の版として掲載。施行日は改正法の附則と政令で定められるので、手続をする時点で確認が必要)。申立ての方法などが変わることがあるので、申立ての時点の規定を裁判所の案内で確認してほしい。

特に相談した方がよい場面

・相手方と話し合いが進まず、調停と訴訟のどちらにするか迷っている
・調停を申し立てられたが、どう対応すればよいか分からない
・調停案に応じるかどうか迷っている
・調停に代わる決定が出て、異議を出すかどうか考えている
・調停が不成立になり、訴えを起こすかどうか決める必要がある
・時効が近い権利について調停を考えている
・相手方が財産を処分したり、工事などで現状を変えたりしそうだ
・成立した調停の約束が守られない、または守るのが難しくなった

具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。

相談のタイミング

申し立てる前に、調停が向く紛争か、申立書に何を書くかを確認するとよい。調停案に応じる前、調停に代わる決定や不成立の通知を受けたときは、期間があるので、受け取った日を記録してすぐに相談する。

まとめ

民事調停は、裁判所で調停委員会を交えて話し合い、合意による解決を目指す手続で、手数料は訴えの訴額に応じた部分の約半分の水準である。合意が調書に記載されると裁判上の和解と同一の効力を持つ。調停に代わる決定への異議は告知から2週間以内にし、不成立などの通知から2週間以内に訴えを起こせば調停の申立ての時に訴えを起こしたものとみなされる。

出典

民事調停法1条・2条・3条・4条の2・5条・6条・12条・13条・14条・16条〜20条・24条・24条の2・34条・35条(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-21)

民事調停規則3条(裁判所ウェブサイト掲載の2026年5月21日の版で確認)

民事訴訟費用等に関する法律3条・別表第一

民事執行法22条

民法147条

民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)附則10条

最終確認日
2026年10月21日
法令の基準時
2026年10月時点の法令による
出典(外部サイト)
e-Gov 法令検索(デジタル庁)〔外部サイト〕/裁判所ウェブサイト〔外部サイト〕
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