問題提起
市役所や区役所の広報で「無料法律相談」の案内を見かけることがある。費用がかからないのは助かるが、どこまで相談できるのか、相談した弁護士にその後の対応を頼めるのかが分からないと、使いどころを誤ることになる。
弁護士に相談する前に知っておきたい法律の要点を、分野ごとにスレッド形式でまとめています。
市役所や区役所の広報で「無料法律相談」の案内を見かけることがある。費用がかからないのは助かるが、どこまで相談できるのか、相談した弁護士にその後の対応を頼めるのかが分からないと、使いどころを誤ることになる。
自治体の法律相談の実施方法を定めた法律の条文はなく、各自治体が住民サービスとして独自に実施している。相談を担当する弁護士は、相談の中で知った秘密を守る義務を負う。
弁護士又は弁護士であつた者は、その職務上知り得た秘密を保持する権利を有し、義務を負う。但し、法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。弁護士法23条(e-Gov法令検索で原文確認)
なお、自治体の職員が行う「市民相談」「生活相談」などは、弁護士による法律相談とは別のものである。
項目|一般的な特徴(自治体ごとに異なる)
相談料|無料
対象者|その自治体の住民、在勤・在学の人などに限ることが多い
申込み|事前の予約制が多い。受付開始日に予約が埋まることもある
相談時間|1回あたりの時間が短めに区切られていることが多い
回数|同じ内容の相談は1回までなどの制限を設けることがある
担当|弁護士会などから派遣された弁護士が交代で担当することが多い
向く場面
・何が法律上の問題なのか、どんな手段(話し合い・調停・訴訟など)があるのかを知りたい
・どこに相談・依頼すればよいか、次の窓口を知りたい
・費用をかけずに、弁護士の一般的な意見を一度聞いてみたい
向かない場面
・契約書や裁判所の書類など、多くの資料を詳しく検討してほしい
・相手方との交渉や、裁判所への書類の作成を頼みたい
・継続的に相談しながら進めたい
実務の視点 自治体の相談は時間が短いことが多いので、相談する人は、出来事を日付順にまとめたメモ(A4で1枚程度)と、聞きたいことを2〜3点に絞ったメモを持参するとよい。資料は重要なものだけを選んで持っていく。
1. 相談したい人が、自治体の広報紙・ウェブサイトで、法律相談の日時・対象者・予約方法を確かめる。
2. 相談したい人が、指定された方法(電話・窓口・ウェブ)で予約する。
3. 相談日に、担当の弁護士が事情を聞き、法律上の考え方や取れる手段、次に相談すべき窓口を説明する。
4. 相談の後、依頼まで考える人は、担当の弁護士に依頼できる扱いかを相談の場で確かめる。自治体によっては、相談の場で依頼の話をしないよう決めていることがある。その場合は、弁護士会の法律相談センターや法テラス、法律事務所で改めて相談する。
① 自治体が問題を解決してくれるわけではない。 自治体は相談の場を設けているだけで、相手方との間に入って交渉したり、判断を下したりはしない。
② 予約が取りにくいことがある。 期限が迫っている問題は、自治体の相談を待たずに、弁護士会の法律相談センターや法テラス、法律事務所にも当たる。
③ 相談の内容が自治体に知られることを心配する人もいる。 相談を担当する弁護士には守秘義務がある(弁護士法23条)。予約のときに職員に伝える内容や記録の扱いが気になる人は、予約の際に確かめるとよい。
・裁判所から書類が届いた、または期限が書かれた請求書・通知が届いた
・相続人の間で話し合いがまとまらない
・借金の返済が難しくなった
・離婚の話が出ている
・近隣とのトラブルが続いている
具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。
問題がまだ大きくなる前、何をすればよいか分からない段階で利用すると効果的である。ただし、期限が迫っている問題は、自治体の相談の日を待たず、すぐに相談できる窓口を探す。自治体の相談を予約しただけでは、期限は止まらない。
自治体の無料法律相談は、問題の全体像と取れる手段、次の相談先を知るのに向いている。対象者・予約方法・時間・回数は自治体ごとに違い、詳しい書類の検討や交渉の依頼には向かない。依頼まで考える場合は、相談の場で扱いを確かめるか、弁護士会の法律相談センターや法律事務所などで改めて相談する。
出典
弁護士法23条(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-19)