問題提起
法律のトラブルに巻き込まれたが、どこに相談すればよいかが分からない。弁護士に頼む費用を払えるかも心配だ。そのようなとき、最初の問い合わせ先の一つが法テラスである。ただし、法テラスへの問い合わせで何が分かり、何が分からないのかを知っておかないと、「相談したのに答えてもらえなかった」と感じることがある。
弁護士に相談する前に知っておきたい法律の要点を、分野ごとにスレッド形式でまとめています。
法律のトラブルに巻き込まれたが、どこに相談すればよいかが分からない。弁護士に頼む費用を払えるかも心配だ。そのようなとき、最初の問い合わせ先の一つが法テラスである。ただし、法テラスへの問い合わせで何が分かり、何が分からないのかを知っておかないと、「相談したのに答えてもらえなかった」と感じることがある。
支援センターは、第十四条の目的を達成するため、総合法律支援に関する次に掲げる業務を行う。
一 次に掲げる情報及び資料を収集して整理し、情報通信の技術を利用する方法その他の方法により、一般の利用に供し、又は個別の依頼に応じて提供すること。
イ 裁判その他の法による紛争の解決のための制度の有効な利用に資するもの
ロ 弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人及び隣接法律専門職者の業務並びに弁護士会、日本弁護士連合会及び隣接法律専門職者団体の活動に関するもの
二 民事裁判等手続又は行政不服申立手続において自己の権利を実現するための準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない国民若しくは我が国に住所を有し適法に在留する者(以下「国民等」という。)又はその支払により生活に著しい支障を生ずる国民等を援助する次に掲げる業務(略)総合法律支援法30条1項1号・2号(e-Gov法令検索で原文確認)
分かること(情報提供)|分からないこと(法律相談で扱う)
問題に関係する法制度の一般的な説明(例:相続放棄という手続がある、調停という手続がある)|自分の事案で請求が認められるか、いくら受け取れるか
問題に合った相談窓口の紹介(弁護士会、司法書士会、自治体、消費生活センターなど)|相手方の言い分が正しいかの判断
民事法律扶助(無料法律相談・費用の立替え)の利用の案内|書面の書き方の具体的な指導、相手方との交渉
問い合わせの方法は、法テラス・サポートダイヤル(電話)、メールでの問い合わせ、全国の地方事務所の窓口がある。電話番号・受付時間は法テラスの公式サイトに掲載されている(2026年10月19日に公式サイトで確認したところ、サポートダイヤルは0570-078374、平日9時から21時・土曜9時から17時)。犯罪の被害にあった人向けには、犯罪被害者支援ダイヤル(同日確認:0120-079714)が設けられている。
民事法律扶助は、経済的に余裕がない人が法的トラブルにあったときに、法テラスが次の援助をする制度である。
援助の種類|内容
法律相談援助|弁護士・司法書士による無料の法律相談
代理援助|裁判や交渉を弁護士・司法書士に依頼するときの着手金などの費用を、法テラスが立て替える
書類作成援助|裁判所に出す書類の作成を弁護士・司法書士に依頼するときの費用を、法テラスが立て替える
なお、司法書士が依頼を受けて扱える業務は司法書士法の定める範囲に限られ、弁護士と同じではない。
援助を受けられるかは、法テラスが、日本司法支援センター業務方法書の定める要件に当たるかで判断する。代理援助・書類作成援助の主な要件は、①収入と資産が一定の基準以下であること、②勝訴の見込みがないとはいえないこと、③民事法律扶助の趣旨に適すること、である。法律相談援助の要件は代理援助などとは別に定められており、勝訴の見込みは要件とされていない。対象は、日本国民と、日本に住所を持ち適法に在留する人で、法人や組合などの団体は対象にならない。収入と資産の基準は、世帯の人数や住んでいる地域によって違う。
実務の視点 民事法律扶助を使えるか知りたい人は、問い合わせの際に、世帯の人数、手取りの月収、預貯金などの額を答えられるよう手元に用意しておくとよい。弁護士・司法書士の事務所の中には、法テラスと契約していて、事務所で民事法律扶助の申込みを受けるところもある。
1. 相談したい人が、法テラス・サポートダイヤル、メール、地方事務所の窓口のいずれかに問い合わせる。
2. 法テラスのオペレーターや職員が、問題の内容を聞き、関係する法制度と相談窓口を案内する。
3. 民事法律扶助を使いたい人は、案内に従って法テラスの地方事務所や法テラスと契約している弁護士・司法書士の事務所で無料法律相談を予約し、収入・資産の要件を確かめてもらう。
4. 弁護士・司法書士に依頼する費用の立替え(代理援助・書類作成援助)を希望する人は、申込みをする。法テラスが審査し、援助するかどうかを決める。
5. 援助が決まった場合、利用した人は、立て替えてもらった費用を原則として分割で法テラスに返す(償還する)。生活保護を受けている人などには、返済の猶予や免除の扱いがある。
① 問い合わせでは、個別の事案の答えは出ない。 法テラスへの問い合わせ(情報提供)は道案内であり、事案についての法律上の判断は、弁護士・司法書士の法律相談で受ける。
② 立替えは「無料」ではない。 代理援助・書類作成援助で法テラスが立て替えた費用は、原則として利用した人が返す。
③ 誰でも民事法律扶助を使えるわけではない。 収入・資産の基準を超える人や、要件に当たらない事件は対象外になる。
④ 刑事事件の弁護は別の制度。 国選弁護人は裁判所などが選任し、法テラスは国選弁護人の候補を指名して裁判所に通知するなどの事務を行う(総合法律支援法30条1項6号)。民事法律扶助とは別の制度である。被疑者の国選弁護は勾留状が発せられた段階からの制度で(刑事訴訟法37条の2)、逮捕されただけの段階では使えない。家族が逮捕されたときは、弁護士会の当番弁護士制度に連絡する。
・相手方から訴えられた、または裁判所から書類が届いた
・借金の返済ができなくなった
・離婚や相続の話し合いがまとまらない
・配偶者からの暴力、ストーカー、児童虐待の被害を受けている(法テラスはこれらの被害を受けている疑いがある人への法律相談の援助も行っている。総合法律支援法30条1項5号)
・弁護士に頼む費用が払えるか不安がある
具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。
どこに相談すればよいか分からない段階で、早めに問い合わせるとよい。期限が書かれた書類を受け取った場合は、問い合わせの際にその期限を伝え、法律相談の予約を急ぐ。民事法律扶助の審査には時間がかかることがあるので、費用の立替えを希望する人は早めに申し込む。問い合わせや援助の申込みをしただけでは、期限は止まらない。暴力やつきまといで身の危険があるときは、まず警察(緊急時は110番)に連絡し、安全を確保する。
法テラスに問い合わせると、法制度の情報と、問題に合った相談窓口の案内を無料で受けられる。これは法律相談とは別のもので、個別の事案の判断は弁護士・司法書士の法律相談で受ける。収入・資産などの要件を満たす人は、民事法律扶助で無料の法律相談や費用の立替えを受けられる場合があるが、立て替えてもらった費用は原則として返す必要がある。
出典
総合法律支援法30条1項1号・2号・5号・6号、刑事訴訟法37条の2(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-19)
日本司法支援センター業務方法書(令和8年3月25日法務大臣認可の版)
日本司法支援センター(法テラス)公式サイト「法テラスについて」「情報提供業務」「民事法律扶助業務」(2026-10-19 確認)