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自己破産と代理援助|利用の考え方

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この記事の要点

  • 自己破産の申立てで法テラスを使う方法には、弁護士が代理人として申し立てる費用を立て替える「代理援助」と、本人が申し立てるための書類の作成を弁護士・司法書士に頼む費用を立て替える「書類作成援助」がある(日本司法支援センター業務方法書5条・8条)。司法書士は、地方裁判所での破産手続の代理はできない(司法書士法3条1項6号は簡易裁判所の手続に限る)。
  • 立て替える着手金・実費の額は立替基準で決まり、代理援助では債権者の数によって着手金が変わる(業務方法書別表3)。法テラスの公式サイトは、依頼時の費用の目安を、債権者1〜10社で着手金132,000円・実費23,000円の合計155,000円などと案内している。
  • 破産手続の費用として裁判所が定める予納金(破産法22条1項)は、原則として本人の負担で、法テラスの立替えの対象にならない。生活保護を受けている人は、審査を経て、限度額の範囲で予納金も追加して支出できる例外がある(業務方法書別表3の備考、民事法律扶助業務運営細則14条の5)。
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問題提起

借金が返せず自己破産を考えているが、弁護士に払う費用がない――そのような人のために、法テラスの立替制度がある。ただし、立替えの対象になる費用とならない費用があり、申立てにはお金が全くかからないわけではない。仕組みを知ってから相談すると、準備がしやすくなる。

法律の文言(業務方法書8条)

代理援助は、次の各号に掲げる方法とし、それぞれ当該各号に定める手続を対象とする。
一 裁判代理援助 民事訴訟、民事保全、民事執行、破産、非訟、調停、家事審判その他裁判所における民事事件、家事事件及び行政事件に関する手続
(中略)
2 書類等作成援助は、前項第1号又は第2号に定める手続を対象とする。日本司法支援センター業務方法書8条(e-Gov法令検索で原文確認)

要件(自己破産で立替制度を使う条件と決まり)

① 援助の要件。 この記事は個人の自己破産を扱う。民事法律扶助の対象は、日本の国民と、日本に住所を有し適法に在留する人(国民等)で(総合法律支援法30条1項2号)、会社などの法人そのものの破産には使えない(代表者個人や個人事業主の破産は対象になりうる)。代理援助・書類作成援助を使うには、資力が基準以下であること、勝訴の見込みがないとはいえないこと、民事法律扶助の趣旨に適すること、の三つの要件をすべて満たす必要がある(業務方法書9条)。法テラスの公式サイトは、自己破産であれば免責の見込みがあることが必要であると説明している。

② 代理援助と書類作成援助の違い。 代理援助では、弁護士が本人の代理人として破産の手続を行う(業務方法書5条1号・8条1項1号)。司法書士が代理人になれるのは簡易裁判所の一定の手続に限られ(司法書士法3条1項6号)、地方裁判所に申し立てる破産の手続では代理人になれない。書類作成援助では、弁護士・司法書士が裁判所に出す書類を作成し、申立ては本人が行う(業務方法書5条2号・8条2項)。書類作成援助の場合は、裁判所での手続に本人が対応する必要がある。代理援助の場合でも、裁判所から本人の出頭や説明を求められることがある。どちらが相当かは、援助開始決定で法テラスが定める(業務方法書29条2項)。

③ 代理援助の立替基準。 代理援助の自己破産事件では、実費等を23,000円とし、着手金を債権者1〜10社で132,000円、11〜20社で154,000円、21社以上で187,000円とする基準が定められている(業務方法書別表3の1)。同じ表は、管財事件では着手金を220,000円まで増額できること、夫婦の双方が援助を受けるときは加算して分けて支出することも定めている。法テラスの公式サイトは、原則として報酬金は発生しないが、過払金を回収できた場合には報酬金が発生すると案内している。

④ 書類作成援助の立替基準。 書類作成援助の自己破産申立書(免責申立書を含む)の作成では、実費を17,000円とし、報酬を債権者20社まで88,000円、21社以上で99,000円とすることができる基準が定められている(業務方法書別表3の2)。

⑤ 予納金は原則として本人の負担。 破産手続開始の申立てをするときは、申立人は、破産手続の費用として裁判所が定める金額(予納金)を納めなければならない(破産法22条1項)。額は裁判所や手続(同時廃止か管財事件か)によって違う。立替基準は、自己破産事件の予納金を「被援助者直接負担」とし、生活保護法による保護を受けている人の場合に限って、裁判所の決定に基づく予納金を追加して支出できるとしている(業務方法書別表3の1・3の2の備考)。この追加支出には審査があり、代理援助では官報公告の費用を除く予納金について20万円の限度額が定められている(別表3の1(注)5)。破産手続開始の決定日に生活保護を受けている場合は、官報公告のための費用を、この限度額とは別に支出することができる(細則14条の5第1項)。受給していれば必要な額の全部が自動的に支出されるわけではないので、申立て前に弁護士に確かめる。依頼時の実費(代理援助で23,000円など)でどの費用がまかなわれ、予納金のうちどれを本人が別に用意するかも、裁判所と事件によって違う。裁判所によっては、弁護士が代理人として申し立てた事件に限って予納金を低く抑えた管財手続の運用をしていることがあるので、代理援助と書類作成援助のどちらを使うかは、専門家の報酬だけでなく予納金を含めた全体の負担で考える。法テラスの公式サイトも、生活保護を受けている人を除き、自己破産事件の予納金は立替えの対象にならないと案内している。なお、民事再生事件の予納金は、生活保護の有無にかかわらず立替えの対象にならないと案内されている。

⑥ 立て替えられた費用は返す。 立て替えられた着手金・実費は、原則として分割で法テラスに返す(業務方法書30条3項)。初めての返済の時期・毎月の額・猶予の有無は、援助開始決定と契約書で確かめる。生活保護を受けている人は、申請により事件中の返済の猶予を受けられることがあり、事件の終結後も生活保護を受けているときは返済の免除を申請できる(業務方法書31条1項・65条1項)。生活保護を受けていない人も、返済が難しいときは、返し方の変更や猶予を申請でき(業務方法書34条・64条)、生活保護に準ずる程度に生計が困難で資力の回復の見込みに乏しいなどの要件を満たせば、免除を申請できる(業務方法書65条1項2号)。

自己破産で立替制度を使う流れ(よくある例)

1. 法テラスと契約している弁護士・司法書士に相談し、借金の状況(債権者の数・金額)、収入と資産を伝え、自己破産が相当か、代理援助と書類作成援助のどちらを使うかを確かめる。
2. 弁護士・司法書士を通じて援助を申し込み、住民票・収入の資料などを出す。
3. 法テラスの審査を経て援助開始決定が出たら、決定書・契約書を確かめ、契約書に署名して出す。立替金の返済も始まる。
4. 代理援助では、弁護士が本人と協力して債権者一覧表・家計の資料などを整え、代理人として破産手続開始・免責許可の申立てをする。書類作成援助では、弁護士・司法書士が作成した書類を使って、本人が申し立てる。
5. 裁判所が定める予納金を納める(生活保護を受けている人は、立替えの例外を確かめる)。
6. 裁判所の手続(同時廃止または管財事件)を経て、免責についての決定が出る。

実務の視点 自己破産の準備では、通帳・給与明細・借入の契約書や請求書など多くの資料を集める。資料がそろわないと申立てが遅れ、立替制度の審査にも時間がかかる。予納金は本人が用意することが多いので、依頼した後も毎月いくらずつ積み立てるかを弁護士などと決めておくとよい。代理援助を受任した弁護士などは、被援助者から別に金銭を受け取ってはならない(業務方法書45条本文。地方事務所長の承認を得た場合を除く)。

確認点・よくある誤解

① 「法テラスを使えば申立てに一切お金がかからない」わけではない。 立て替えられた費用は原則として返す必要があり、予納金は原則として本人が用意する。

② 審査がある。 代理援助・書類作成援助を使えるかどうかは、法テラスの審査で決まる(業務方法書28条・29条)。

③ 費用の額は事件で変わる。 公式サイトの目安は依頼時の費用の目安であり、実際の額は事件の内容などにより審査で決まる。

議論のある点

議論のある点 法テラスへの立替金の返済義務が、自己破産の免責によってどうなるかは、過去の別の事件で生じた立替金か、今回の自己破産の申立ての費用として生じた立替金かなど、債権が生じた原因や時期によって考え方が分かれうる。業務方法書は、被援助者が破産法253条などの規定により立替金について責任を免れたときは、法テラスの内部で立替金が消滅したものとみなして整理できるとしている(業務方法書68条2号)。また、破産法253条1項6号は、破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権を、免責の対象から除いている(その債権者が破産手続開始の決定があったことを知っていた場合を除く)。一般には、過去の別の事件で生じた立替金は、破産手続開始の前の原因に基づく債権として、法律が免責の対象から除く債権に当たらなければ、免責許可決定の効力が及ぶと考えられているが、今回の自己破産の申立ての費用として生じた立替金の扱いは別に確かめる必要がある。過去に法テラスを利用して立替金が残っている人は、そのことを必ず申立てを担当する弁護士などに伝え、債権者一覧表への記載や返済の扱いを自己判断で決めないでほしい。一般論だけで判断せず、弁護士や法テラスに相談してほしい。

特に相談した方がよい場面

・予納金を用意できる見込みがない
・生活保護を受けている、または受けることになった
・債権者の数が多い、事業をしていた、財産があるなど、管財事件になるかもしれない
・過去に法テラスの立替制度を使ったことがあり、その立替金が残っている
・書類作成援助で自分で手続をすることに不安がある
・生活保護は受けていないが、立替金の返済が難しい

具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。

相談のタイミング

督促や訴訟が始まってからでも相談はできるが、給料の差押えなどを受ける前に相談するほうが選択肢は多い。法テラスの公式サイトは、立替制度の審査には通常2週間程度かかると案内している。この期間は目安で、法テラスへの相談や援助の申込みだけでは、裁判所の手続の期限や差押えは止まらない。裁判所から書類が届いている、給料の差押えを受けているなどのときは、審査の結果を待たず、相談の最初に書類と期限を伝える。

まとめ

自己破産でも法テラスの代理援助・書類作成援助を使えるが、使えるかどうかは審査で決まる。着手金・実費の額は立替基準で決まり、立て替えられた費用は原則として返す。予納金は原則として本人の負担で、生活保護を受けている人には例外がある。

出典

破産法22条・253条、司法書士法3条、総合法律支援法30条(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-20)

日本司法支援センター業務方法書5条・8条・9条・28条〜31条・34条・45条・64条・65条・68条・別表3(令和8年3月25日法務大臣認可の版)

民事法律扶助業務運営細則14条の5・34条・35条

日本司法支援センター(法テラス)公式サイト「自己破産事件 費用の目安」「立替制度に関するよくあるご質問」(2026-10-20確認)

最終確認日
2026年10月20日
法令の基準時
2026年10月時点の法令による
出典(外部サイト)
e-Gov 法令検索(デジタル庁)〔外部サイト〕/裁判所ウェブサイト〔外部サイト〕
ご相談
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