問題提起
この記事でいう「法テラスの無料法律相談」は、民事法律扶助による法律相談援助(一般法律相談援助)のことである。法テラスには、被災者・犯罪被害者・DV等の被害者などを対象とする別の制度や、国選弁護に関する業務もある。
弁護士に相談したいとき、「法テラス」と「弁護士会の法律相談センター」のどちらに連絡すればよいか迷う人は多い。どちらも弁護士に相談できる窓口だが、仕組みが違う。違いを知っておくと、自分に合った窓口を選べる。
弁護士に相談する前に知っておきたい法律の要点を、分野ごとにスレッド形式でまとめています。
この記事でいう「法テラスの無料法律相談」は、民事法律扶助による法律相談援助(一般法律相談援助)のことである。法テラスには、被災者・犯罪被害者・DV等の被害者などを対象とする別の制度や、国選弁護に関する業務もある。
弁護士に相談したいとき、「法テラス」と「弁護士会の法律相談センター」のどちらに連絡すればよいか迷う人は多い。どちらも弁護士に相談できる窓口だが、仕組みが違う。違いを知っておくと、自分に合った窓口を選べる。
弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)その他の法律により法律相談を取り扱うことを業とすることができる者による法律相談(以下この項において単に「法律相談」という。)(刑事に関するものを除く。次号及び第四号において同じ。)を実施すること。総合法律支援法30条1項2号ホ(e-Gov法令検索で原文確認)
弁護士は、依頼者に対し、事案に応じ、法律扶助制度、訴訟救助制度その他の資力の乏しい者の権利保護のための制度を説明し、裁判を受ける権利が保障されるように努める。弁護士職務基本規程33条(e-Gov法令検索で原文確認)
① 使える人。 法テラスの無料法律相談は、国民または日本に住所を有し適法に在留する人で、収入と資産(現金・預貯金)が基準以下であり、相談が民事法律扶助の趣旨に適する人が対象である(総合法律支援法30条1項2号、業務方法書15条・別表2)。弁護士会の法律相談センターの相談は、資力の基準を設けていないものが多いが、相談の種類によっては対象者を限っているものもある。
② 相談料。 法テラスの無料法律相談は、相談者に費用を負担させない(業務方法書16条5項)。弁護士会の法律相談センターの相談料は、弁護士会や相談の種類(分野、初回かどうかなど)によって違い、無料のものも有料のものもある。
③ 扱う分野。 法テラスの無料法律相談は民事・家事・行政に関する案件が対象で(業務方法書14条)、刑事事件の相談は対象外である。法テラスの公式サイトも、刑事事件に関する相談は、近くの弁護士会などの相談窓口を利用するよう案内している。弁護士会の法律相談センターでは、刑事事件や、分野に特化した相談(労働、消費者、医療など)を設けているところもある。
④ 時間と回数。 法テラスの公式サイトは、無料法律相談を1回30分、同一問題3回までと案内している(業務方法書16条7項)。弁護士会の相談の時間や回数は、弁護士会ごとに決められている。
⑤ 相談の場所が重なることがある。 法テラスの無料法律相談は、法テラスの事務所のほか、指定相談場所や法テラスと契約している弁護士・司法書士の事務所でも行われる(業務方法書18条1項・5条6号)。弁護士会の相談センターなどが指定相談場所になっている地域では、法テラスの基準を満たす人がそこで無料法律相談を受けられることがある。
1. 相談したい問題が、民事・家事・行政の問題か、刑事事件かを確かめる。
2. 本人と配偶者の手取り月収と現金・預貯金の額、家族の人数、家賃などを書き出し、法テラスの基準を満たしそうか確かめる。離婚などで配偶者が相手方になる場合は、配偶者の収入や預貯金は合計しないので、自分だけで「使えない」と決めない。
3. 基準を満たしそうなら、法テラスの地方事務所に電話して無料法律相談を予約する。
4. 基準を超える場合や刑事事件の場合は、弁護士会の法律相談センターに電話して、相談料と予約の方法を確かめる。
5. 相談の後に依頼が必要になったら、法テラスで相談した場合は費用の立替え(代理援助・書類作成援助)を申し込むか、弁護士と直接委任契約を結ぶかを、担当した弁護士に相談する。費用の立替えには、無料法律相談とは別の要件と審査があり、立て替えられた費用は原則として分割で返す。
実務の視点 弁護士は、事案に応じて法律扶助制度などを説明するよう努めるとされている(弁護士職務基本規程33条)。弁護士会の相談センターで相談した場合でも、費用の支払が難しいことを伝えれば、法テラスの費用の立替えを使えるかどうかを含めて説明を受けられることが多い。また、法テラスの無料法律相談を担当した弁護士は、費用の立替えの要件に当たると思われる相談者に対して、法テラスの地方事務所長の承認なく、自分と直接委任契約を結ぶよう勧誘してはならないとされている(法テラスと弁護士・司法書士との契約条項16条2項)。
⓪ 法テラスの相談には司法書士が担当するものもある。 司法書士が扱える相談や依頼には法律上の範囲があるので、相談の内容を伝えて予約先を確かめる。
① 「弁護士会の相談は高い」とは限らない。 弁護士会の相談にも無料のものがある。料金は弁護士会のウェブサイトや電話で確かめる。
② 法テラスの基準を超えても相談先はある。 基準を超えるからといって、相談をあきらめる必要はない。弁護士会の相談センターや自治体の法律相談、法律事務所の相談など、ほかの窓口を使う。
③ どちらでも相談できる問題もある。 民事の問題で法テラスの基準を満たす人は、どちらの窓口も選べる。予約の取りやすさ、相談場所の近さ、分野ごとの専門相談の有無などで選んでよい。
議論のある点 弁護士会の法律相談センターの相談料、対象分野、時間、法テラスの指定相談場所になっているかどうかは、弁護士会や地域によって違い、変わることもある。どちらの窓口が自分の問題に合うかは、問題の内容や期限によっても変わる。具体的には、各弁護士会と法テラスの地方事務所に確かめてほしい。
・収入や資産が法テラスの基準の近くで、どちらの窓口を使うべきか分からない
・家族が逮捕されたなど、刑事事件の相談をしたい(通常の相談の予約を待たず、弁護士会に当番弁護士の派遣を頼めるか、国選弁護を付けられるかを確かめる)
・相談の後に依頼したいが、弁護士費用を払えるか心配である
具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。
期限が迫っているときは、窓口選びに時間をかけすぎない。予約や相談をしただけでは、時効や裁判所の期限は止まらない。予約の電話で、届いた書類の名前、受け取った日、書かれた期限を伝え、期限の前に相談できるかを確かめる。予約が早く取れる窓口から相談し、相談の中で費用の制度について尋ねる。
法テラスの無料法律相談は資力の基準を満たす人が民事・家事・行政の問題で使う制度で、刑事事件は対象外である。弁護士会の法律相談センターの相談は弁護士会ごとに料金や分野が違い、資力の基準を設けていないものが多い。基準を満たすなら法テラス、超えるときや刑事事件なら弁護士会の相談センターなど、と考えると選びやすい。
出典
総合法律支援法30条(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-20)
日本司法支援センター業務方法書5条・14条・15条・16条・18条・別表2(令和8年3月25日法務大臣認可の版)
民事法律扶助業務に係る事務の取扱いに関するセンターと弁護士・司法書士等との契約条項16条(日本司法支援センター)
弁護士職務基本規程33条(平成16年日本弁護士連合会会規第70号)
日本司法支援センター(法テラス)公式サイト「無料法律相談のご利用の流れ」(2026-10-20確認)