問題提起
「何を持っていけばいいですか」は、法律相談の予約でよく出る質問である。資料があれば、弁護士は相談者の記憶に頼らずに事実を確かめられ、見通しも具体的になる。一方で、何でもかんでも持っていくと、かえって整理に時間がかかる。持っていくと話が早い資料と、扱いの注意を知っておきたい。
弁護士に相談する前に知っておきたい法律の要点を、分野ごとにスレッド形式でまとめています。
「何を持っていけばいいですか」は、法律相談の予約でよく出る質問である。資料があれば、弁護士は相談者の記憶に頼らずに事実を確かめられ、見通しも具体的になる。一方で、何でもかんでも持っていくと、かえって整理に時間がかかる。持っていくと話が早い資料と、扱いの注意を知っておきたい。
何人も、前条各号のいずれかに該当する場合を除き、特定個人情報(他人の個人番号を含むものに限る。)を収集し、又は保管してはならない。行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律20条(e-Gov法令検索で原文確認)
遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。民法1004条(e-Gov法令検索で原文確認)
① 届いた書類。 裁判所からの訴状・呼出状・支払督促・判決、役所からの通知、相手方や相手方の弁護士からの手紙・内容証明郵便など。封筒も、受け取った日が分かる手がかりになることがあるので一緒に持っていく。いつ・誰が・どのように受け取ったかのメモも添える。
② 約束の内容が分かる資料。 契約書、合意書、念書、借用書、見積書、規約、就業規則など。
③ やり取りの記録。 メール、LINEなどのメッセージ、手紙。画面の写しを印刷するか、日付と送り主が分かる形で見せられるようにする。
④ お金の動きが分かる資料。 通帳、振込の控え、領収書、請求書、給与明細など。
⑤ 時系列メモ。 出来事を日付の順に書き出したメモ。資料とメモの番号を対応させると、さらに話が早い。
1. 相続:亡くなった人と相続人の関係が分かる戸籍、遺言書(写し)、遺産の分かる資料(通帳・不動産の登記事項証明書・固定資産税の通知など)、借金の分かる資料。
2. 離婚:婚姻・子の関係が分かる戸籍、収入の分かる資料(源泉徴収票など)、財産の分かる資料、相手方とのやり取り。
3. 交通事故:交通事故証明書、診断書・診療報酬明細書、保険会社からの書類、修理の見積書、事故現場や車の写真。
4. 借金:借入先ごとの契約書・利用明細・請求書、督促の手紙、収入と支出の分かる資料。
5. 労働:雇用契約書・労働条件通知書、給与明細、勤務時間の記録、解雇などの通知。
実務の視点 資料は、日付の順か、分野の項目ごとにまとめ、クリップや付箋で区切っておくとよい。大量のデータ(写真・録音など)は、相談の場ですべてを見ることは難しいので、重要なものを選んでおき、残りは「ほかにもある」と伝える。
① 原本は手元に残す。 契約書、借用書などの原本は、なくすと取り返しがつかないことがある。相談には写しを持っていき、原本は相談者が保管する。
② 遺言書の扱いに注意する。 遺言者が亡くなった後、遺言書を保管している人は、相続の開始を知った後、遅滞なく、遺言書を家庭裁判所に提出して検認を請求しなければならない。保管している人がいないときは、遺言書を見つけた相続人が同じようにする(民法1004条1項)。公正証書による遺言(同条2項)と、法務局の遺言書保管所に保管されている遺言書(法務局における遺言書の保管等に関する法律11条)には、この規定は適用されない。封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人が立ち会わなければ開封することができない(民法1004条3項)。封印のある遺言書を見つけたら、封を開けずに、早めに相談する。
③ マイナンバーは隠す。 源泉徴収票などにはマイナンバーが書かれていることがある。弁護士が相談のために他人のマイナンバーを集めたり保管したりすることは、法律で認められた場合を除いてできない(番号法20条)。番号の部分を隠した写しを持っていく。
④ 資料がなくても相談できる。 資料がそろっていなくても、相談はできる。どの資料を集めればよいかを、相談の中で教えてもらうこともできる。
⑤ 他人のプライバシーにも注意する。 相手方や第三者の個人情報が書かれた資料は、相談に必要な範囲で持っていく。
・裁判所や役所から、期限の書かれた書類が届いている
・相手方から署名・押印を求められている書類がある
・遺言書を見つけたが、どう扱えばよいか分からない
・必要な資料が相手方の手元にあり、取り寄せ方が分からない
具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。
資料を全部そろえてから相談しようとして、相談が遅れるのは避ける。相談の予約や法律相談をしただけでは、時効や裁判の期限は止まらない。書類に期限が書かれていなくても、法律上の期間が進んでいることがある(相続で借金が見つかった、賃金が支払われていない、など)。期限の書かれた書類が届いているときや、期限が気になるときは、その書類やメモだけでも持って早めに相談する。
法律相談には、届いた書類、約束の内容が分かる資料、やり取りの記録、お金の動きが分かる資料、時系列メモを持っていくと話が早い。原本は手元に残して写しを持っていき、マイナンバーは隠す(番号法20条)。遺言書は検認の決まり(民法1004条)に注意する。資料がそろっていなくても、期限がありそうなときは早めに相談する。
出典
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律20条、民法1004条、法務局における遺言書の保管等に関する法律11条(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-20)