問題提起
相談を終えて帰り道に「あれを聞き忘れた」と気づくことは多い。相談の時間は限られており、相談者が事情を話しているうちに時間が過ぎてしまうこともある。聞きたいことをあらかじめ書き出し、優先順に並べておけば、短い時間でも必要な答えを得やすくなる。
弁護士に相談する前に知っておきたい法律の要点を、分野ごとにスレッド形式でまとめています。
相談を終えて帰り道に「あれを聞き忘れた」と気づくことは多い。相談の時間は限られており、相談者が事情を話しているうちに時間が過ぎてしまうこともある。聞きたいことをあらかじめ書き出し、優先順に並べておけば、短い時間でも必要な答えを得やすくなる。
弁護士は、事件を受任するに当たり、依頼者から得た情報に基づき、事件の見通し、処理の方法並びに弁護士報酬及び費用について、適切な説明をしなければならない。
2 弁護士は、事件について、依頼者に有利な結果となることを請け合い、又は保証してはならない。弁護士職務基本規程29条1項・2項(e-Gov法令検索で原文確認)
弁護士は、必要に応じ、依頼者に対して、事件の経過及び事件の帰趨に影響を及ぼす事項を報告し、依頼者と協議しながら事件の処理を進めなければならない。弁護士職務基本規程36条(e-Gov法令検索で原文確認)
① 相談の目的を一文で書く。 たとえば「相手方に貸したお金を返してもらいたい。どうすればよいか知りたい」「届いた訴状にどう対応すればよいか知りたい」のように、何をしてほしいのか、何を知りたいのかを先に書く。
② 期限に関わる質問を先頭に置く。 「いつまでに何をしなければならないか」「この書類の期限はいつか」「今すぐしてはいけないことはあるか」などを最初に聞く。書類に期限が書かれていなくても、時効などの期間が問題になることがあるので、期限が分からないことも質問にする。
③ 見通しに関わる質問。 「自分の言い分は認められそうか」「どんな手段があるか」「相手方はどんな反論をしてきそうか」など。
④ 手続と期間・費用に関わる質問。 「どんな手続になるか」「どのくらいの期間がかかるか」「弁護士に頼むと費用はいくらか、何に費用がかかるか」など。
⑤ 自分でできることの質問。 「次に何を準備すればよいか」「どんな資料を集めればよいか」など。
1. 相談の冒頭で、相談の目的を一文で伝える。
2. 時系列メモと資料を渡し、事情を簡潔に説明する。
3. 優先順に並べた質問を、上から順に聞く。
4. 相談の終わりに、答えを自分の言葉で言い直して確かめる(「つまり、○日までに○○をすればよい、ということですね」)。期限のある対応については、「誰が、いつまでに、何をするか」まで確かめる。法律相談を受けただけで、弁護士が相手方への通知や裁判所への書類の提出などを引き受けたことになるとは限らない。
5. 依頼を考えているときは、受任してもらえるか、依頼する業務の範囲、当面の期限への対応、見通し・処理の方法・費用を確かめ、書面やメールで示してもらえるか尋ねる。
実務の視点 質問は紙に書いて持っていき、答えをその紙に書き込むと、後で見返しやすい。質問が多いときは、「今日はこの3つだけは聞きたい」と最初に伝えると、弁護士も時間配分を考えやすい。
① 「勝てますか」だけでは答えにくい。 見通しは、相談者から得た情報と資料に基づくもので、相手方の反論や証拠によって変わる。弁護士は、事件について、依頼者に有利な結果となることを請け合ったり保証したりしてはならない(弁護士職務基本規程29条2項)。一方で、弁護士は、得られた情報や資料をもとに、有利な事情・不利な事情や見通しを説明することはできる。「どんな点が有利で、どんな点が不利か」と聞くと、具体的な答えを得やすい。
② 一般論と自分の場合を区別する。 相談で受けた説明が、一般論なのか、自分の事案に当てはめた答えなのかを確かめる。
③ 分からない言葉はその場で聞く。 法律の用語や手続の名前が分からなければ、その場で聞き返してよい。
・届いた書類に期限が書かれている、または期限がありそうだ
・期限がいつなのか分からない、または期限を過ぎたかもしれない
・相手方から、署名・押印や支払を急がされている
・複数の問題が絡んでいて、どれから手をつけるべきか分からない
具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。
質問を完璧に整理してから相談しようとして、相談が遅れるのは避ける。相談の予約や法律相談をしただけでは、時効や裁判の期限は止まらない。期限が近い、期限が分からない、または過ぎたかもしれないときは、予約や問い合わせの時点で、その事情と、書類の名前、書類に書かれた日付と期限、実際に届いた日と受け取り方を伝え、急いで相談できるかを確かめる。書類一式と封筒も残しておく。通常の予約日まで待ってよいとは限らない。期限を過ぎたと思っても、自分だけで判断して諦めない。
相談の目的を一文で書き、期限に関わる質問を先頭に、見通し・手続と費用・自分でできることの順に並べておく。弁護士は受任に当たり見通し・処理の方法・報酬と費用を説明しなければならない(弁護士職務基本規程29条1項)。相談の終わりに答えを言い直し、「誰が、いつまでに、何をするか」を確かめると、聞き違いや期限の見落としを防げる。
出典
弁護士職務基本規程29条・36条(平成16年日本弁護士連合会会規第70号)