問題提起
弁護士の見積りや委任契約書に「日当」と書かれていることがある。日当とは何に対して払うお金なのか、交通費とは何が違うのか、裁判所の期日がウェブ会議で開かれる場合はどうなるのか。日当の扱いを知っておくと、遠方の裁判所が関わる事件などで費用の見通しを立てやすくなる。
弁護士に相談する前に知っておきたい法律の要点を、分野ごとにスレッド形式でまとめています。
弁護士の見積りや委任契約書に「日当」と書かれていることがある。日当とは何に対して払うお金なのか、交通費とは何が違うのか、裁判所の期日がウェブ会議で開かれる場合はどうなるのか。日当の扱いを知っておくと、遠方の裁判所が関わる事件などで費用の見通しを立てやすくなる。
弁護士等の報酬は、経済的利益、事案の難易、時間及び労力その他の事情に照らして適正かつ妥当なものでなければならない。弁護士の報酬に関する規程2条(e-Gov法令検索で原文確認)
委任契約書には、受任する法律事務の表示及び範囲、弁護士等の報酬の種類、金額、算定方法及び支払時期、委任事務の終了に至るまで委任契約の解除ができる旨並びに委任契約が中途で終了した場合の清算方法を記載しなければならないとされている(弁護士の報酬に関する規程5条4項)。
民事訴訟費用等に関する法律2条5号は、代理人が口頭弁論などの期日に出頭した場合の旅費・日当・宿泊料を、同条4号の例により算定した額(当事者等が出頭した場合の額として裁判所が相当と認める額を超えない額)の範囲で、当事者等が負担すべき費用の範囲に含めている。
① 日当がかかる場面。 遠方の裁判所への出頭、現地の調査、相手方との面談のための出張など、どの場面で日当がかかるのかを確かめる。
② 金額と計算の単位。 半日・1日の区分、移動時間による区分など、金額の決め方を確かめる。
③ ウェブ会議の場合。 裁判所の手続がウェブ会議などで行われ、弁護士が事務所から参加する場合に日当がかかるかどうかを確かめる。
④ 実費との区別。 交通費・宿泊費は実費として別に精算されることが多い。日当と実費の両方がかかるのかを確かめる。
⑤ 報酬は適正かつ妥当でなければならない。 日当も弁護士報酬の一つであり、時間と労力などの事情に照らして適正かつ妥当でなければならない(弁護士の報酬に関する規程2条、弁護士職務基本規程24条)。
1. 受任のとき、弁護士が、事件で予想される期日や出張と、日当・交通費の見込みを説明する。
2. 依頼者と弁護士が、委任契約書に日当の額と計算方法、支払時期を書く。
3. 事件の途中で出張や期日の出頭があったときは、委任契約書の定めに従って日当が計算される。
4. 事件の終わり(または定期的に)、弁護士が日当と実費の内訳を示して精算する。
実務の視点 依頼する弁護士の事務所と、事件を扱う裁判所や相手方の所在地が離れている場合は、日当と交通費が積み重なることがある。依頼のときに、期日の回数の見込みと、ウェブ会議などで出頭の回数を減らせるかを弁護士に尋ねておくと、費用の見通しを立てやすい。
① 日当は交通費の代わりではない。 日当は時間を使うことへの報酬とされることが多く、交通費などの実費とは別に請求されることがある。
② すべての期日に日当がかかるとは限らない。 事務所によって、近隣の裁判所の期日には日当をかけない、遠方の場合だけかける、など扱いが異なる。
③ 訴訟費用の「日当」とは別である。 訴訟費用として敗訴者に負担させられる旅費・日当は、民事訴訟費用等に関する法律の定める額の範囲に限られる。訴訟費用の負担は判決などの裁判で決まり、具体的な額は、別に裁判所書記官に訴訟費用額の確定を申し立てて定めてもらうのが通常である(民事訴訟法61条・71条1項)。依頼者が弁護士に支払った日当の全額を相手方に負担させられるわけではない。
④ 相場を一律に示すことはできない。 弁護士報酬は自由化されており、日当の額は事務所の報酬基準によって異なる。
⑤ 法テラスの援助や国選弁護は別の仕組みである。 法テラスの代理援助・書類作成援助を受けて依頼する事件では、弁護士の報酬や費用は法テラスの決定などの所定の手続に従うため、事務所の基準で日当を別に請求することはできない(法律相談援助だけを利用し、その後に援助を受けずに依頼する場合は別)。刑事事件の国選弁護人は、被告人などから報酬その他の対価を受け取ってはならないとされている(弁護士職務基本規程49条1項)。
議論のある点 ウェブ会議での期日や電話会議への参加に日当がかかるか、移動時間をどう評価するか、出張の必要性があったかどうかは、委任契約書の定めや事件の内容によって扱いが分かれる。日当の額が適正かどうかも、事情によって評価が分かれる。一般論だけで判断せず、弁護士に相談してほしい。
・委任契約書に日当の定めがないのに、日当を請求された
・依頼のときの説明よりも出張や期日が多くなり、日当がかさんでいる
・遠方の裁判所の事件で、どの弁護士に頼むか迷っている
具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。
日当の有無と額は、委任契約書に署名する前に確かめる。事件の途中で出張が増えそうなときは、その都度、費用の見込みを弁護士に確かめる。
日当は、弁護士が移動や出頭に時間を使うことに対する報酬とされることが多く、交通費などの実費とは別に扱われることが多い。日当の有無・額・計算方法は、事務所の報酬基準を前提に、依頼者と弁護士の合意で決まり、委任契約書に書かれる(弁護士の報酬に関する規程5条4項は、委任契約書に報酬の種類・金額などを書くよう定めている)。訴訟費用として相手方に負担させられる旅費・日当は、法律で定める額の範囲に限られる。
出典
民事訴訟費用等に関する法律2条、民事訴訟法61条・71条(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-19)
弁護士職務基本規程24条・49条(平成16年日本弁護士連合会会規第70号)
弁護士の報酬に関する規程2条・5条(平成16年日本弁護士連合会会規第68号)