① 弁護士が辞任しても期限は止まらない。 期日・控訴期限などは、代理人がいなくなっても進む。代理人がいない間は、依頼者本人が対応する必要がある。なお、すでに訴えの提起などで時効の完成が猶予されている場合に、辞任によってその効力が当然に失われるわけではない。
② 辞任の理由がすべて説明されるとは限らない。 利益相反など他の依頼者の秘密に関わる理由の場合、弁護士は詳しい理由を述べないことがある。
③ 不利な時期の辞任には損害賠償の問題がある。 期限の直前に辞任されて依頼者が損害を受けた場合、弁護士の責任が問題になることがある(民法651条2項)。
④ 急ぎの事情があるときの処分。 委任が終了した場合でも、急迫の事情があるときは、弁護士は、依頼者の側で委任事務を処理できるようになるまで、必要な処分をしなければならない(民法654条)。
⑤ 清算の説明を受ける。 報酬を支払う合意がある場合、辞任で委任が途中で終わったときも、事務の処理に対する報酬は、すでにした履行の割合に応じて請求できるのが原則である(民法648条3項)。有効な清算の条項があればその内容も検討する。着手金のうちどれだけが返るかは、委任契約書の清算方法と事情による。成功報酬など成果に対する報酬には民法648条の2の定めもある。2020年4月1日より前に結ばれた委任契約には、改正前の民法が適用される(平成29年法律第44号附則34条1項)。改正前の民法648条3項は、受任者の責めに帰することができない事由で委任が途中で終わった場合について定めていた。