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訴状が届いたら|答弁書を出すまでにすべきこと

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この記事の要点

  • 訴状が届いたら、同封の呼出状で最初の口頭弁論期日と答弁書の提出期限を確かめる。訴状は被告に送達され、裁判長は期日を指定して当事者を呼び出す(民事訴訟法138条1項・139条)。
  • 答弁書には、請求の趣旨に対する答弁(請求を争うかどうか)、訴状に書かれた事実に対する認否(認める・否認する・知らない)、抗弁となる事実を具体的に記載する(民事訴訟規則80条1項)。答弁書を出しておけば、最初の期日に欠席しても、その内容を述べたものとみなされることがある(民事訴訟法158条)。
  • 答弁書を出さずに最初の期日に欠席すると、原告の主張した事実を自白したものとみなされ(民事訴訟法159条3項・1項)、そのまま原告の請求を認める判決が言い渡されることがある。

期限に注意

答弁書は、呼出状などに書かれた提出期限までに裁判所に届くように出す。提出期限を過ぎたことだけで直ちに敗訴するわけではないが、答弁書を出さずに最初の期日に欠席すると、原告の主張どおりの判決が出ることがある(民事訴訟法159条3項)ので、期限を過ぎたときもすぐに裁判所と弁護士に連絡する。通常の訴訟の第一審判決に不服があるときの控訴は、判決書などの送達を受けた日から2週間の不変期間内にしなければならない(民事訴訟法285条)。不変期間は、通常の期限の延長ができない。支払督促の場合は、債務者が送達を受けた日から2週間以内に督促異議を申し立てないと、債権者は仮執行の宣言を申し立てることができるようになる(民事訴訟法391条1項)。仮執行の宣言の前なら2週間を過ぎても督促異議はできるが、仮執行の宣言を付した支払督促の送達を受けた日から2週間の不変期間を過ぎると督促異議はできなくなる(民事訴訟法393条)。不変期間は通常の延長ができない。自分の責めに帰することのできない事由で期間を守れなかったときの追完は、その事由がなくなってから1週間以内(外国にいる当事者は2か月)に限られる(民事訴訟法97条1項)。期限を過ぎると権利を失ったり手続ができなくなったりすることがあり、いつから数えるか・延ばせるかは事情で変わるので、思い当たる方はできるだけ早く弁護士に確認してほしい。

問題提起

ある日、裁判所から特別送達の封筒が届いた。中には訴状と呼出状、答弁書の書式が入っている。身に覚えがない、または言い分がある――このとき何もしないのが一番危険である。答弁書を出すまでにすべきことを整理する。

この記事は、地方裁判所・簡易裁判所の通常の民事訴訟を中心に、民事訴訟のIT化の改正(令和4年法律第48号。主な部分は2026年5月21日に施行)の後の規定で説明している。少額訴訟などには特則があり、2026年5月21日より前に起こされた訴えの事件では、経過措置により改正前の規定によるものがある(同法附則)。

法律の文言(民事訴訟法158条、159条3項)

原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる。民事訴訟法158条(e-Gov法令検索で原文確認)
第一項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない。民事訴訟法159条3項(e-Gov法令検索で原文確認)

要件(答弁書の中身)

① 請求の趣旨に対する答弁。 請求を争うときは「原告の請求を棄却する」との判決を求める旨を書く(民事訴訟規則80条1項)。「請求を認める」と書くことは、個々の事実を認めることとは違い、請求の認諾として確定判決と同じ効力を持つことがある(民事訴訟法266条・267条)。金額や利息の一部に異議がある、分割払いを希望するといった場合は、請求全体を認める記載をする前に相談する。

② 訴状の事実に対する認否。 訴状に書かれた事実ごとに、認める・否認する・知らない・争う、を明らかにする。否認するときは、その理由を書く(民事訴訟規則79条3項)。知らない旨を述べた事実は、争ったものと推定される(民事訴訟法159条2項)。

③ 抗弁事実と証拠。 「もう支払った」「消滅時効が完成しているので援用する」など、自分の側から主張する事実(抗弁事実)を具体的に記載し、立証が必要な事由ごとに重要な事実と証拠を記載し、重要な書証の写しを添付する(民事訴訟規則80条1項・2項)。やむを得ない事由ですぐに書けないときは、答弁書の提出後速やかに準備書面で補う(同条1項ただし書)。

④ 提出の時期。 答弁書その他の準備書面は、相手方が準備をするのに必要な期間をおいて裁判所に提出する(民事訴訟規則79条1項)。呼出状などに書かれた提出期限を守る。

訴状が届いてから答弁書を出すまでの流れ

1. 封筒の中身(訴状、呼出状、証拠の写し、答弁書の書式など)を確かめ、最初の期日と答弁書の提出期限をメモする。
2. 訴状の請求の趣旨(いくらを、何を求められているか)と、原告が主張する事実を読み、一つずつ自分の認識と比べる。
3. 手元の証拠(契約書、領収書、振込の記録、メールなど)を集める。
4. 管轄に疑問があるときは、早めに移送の申立てを検討する。遠方の裁判所でも管轄があることは多い。管轄がないことを理由とする移送(民事訴訟法16条)と、管轄はあるが著しい遅滞を避けるためや当事者間の公平のための移送(民事訴訟法17条)は別の制度である。管轄違いの主張をしないで本案について弁論をしたり弁論準備手続で申述をしたりすると、その裁判所に管轄が生じる(民事訴訟法12条。法令で専属管轄が定められている訴えには原則として適用されない。民事訴訟法13条)。
5. 答弁書を作り、提出期限までに裁判所に出し、原告にも送る(裁判所の指示に従う)。
6. 最初の期日に出頭する。出頭できないときは、答弁書を必ず出しておく。

実務の視点 紙の訴状は通常、特別送達の郵便で届き、受け取らずにいても手続が進むことがある。最初の期日は裁判所が被告の都合を聞かずに決めるので、出頭できないときは、答弁書を出したうえで裁判所に連絡し、期日の変更やウェブ会議での参加ができるかを確かめる。答弁書を出せば以後も欠席してよいという意味ではない。答弁書には、「追って主張する」とだけ書くのではなく、争う意思と主な理由を書いておくとよい。

確認点・よくある誤解

① 放っておくと原告の言い分どおりになるおそれがある。 答弁書を出さずに欠席すると、原告の主張した事実を自白したものとみなされることがある(民事訴訟法159条3項・1項)。弁論の全趣旨から争っていると認められる場合や、公示送達による呼出しを受けた場合は、この扱いにならない(同条1項ただし書・3項ただし書)。法律上その請求が認められるかは、別に判断される。

② 反訴を起こすこともできる。 被告は、本訴の請求や防御の方法と関連する請求について、口頭弁論の終結までに、同じ裁判所に反訴を起こすことができる。ただし、反訴の請求が他の裁判所の専属管轄(当事者が合意で定めたものを除く)に属するときや、反訴で著しく訴訟手続が遅れるときはできない(民事訴訟法146条1項)。少額訴訟では反訴はできない(民事訴訟法369条)。

③ 支払督促とは手続が違う。 簡易裁判所の裁判所書記官から「支払督促」が届いたときは、答弁書ではなく督促異議の申立てをする(民事訴訟法386条2項)。適法な督促異議があると通常の訴訟に移る(民事訴訟法395条)。仮執行の宣言が付いた後は、督促異議を申し立てても、それだけで強制執行が止まるわけではない。通常の訴訟の判決に仮執行の宣言が付いている場合も、控訴をしただけでは強制執行は止まらず、執行停止の申立てが別に必要になる(民事訴訟法403条1項3号)。

議論のある点

議論のある点 どの事実を認め、どの事実を否認するか、どの抗弁を主張するか(時効の援用など)、反訴を起こすか、和解を目指すかは、事件ごとの事情と証拠によって判断が分かれる。口頭弁論で明確に認めた主要な事実は、原則として自由に撤回できないので、一般論だけで判断せず、弁護士に相談してほしい。

特に相談した方がよい場面

・訴状が届き、身に覚えがない、または言い分がある
・答弁書の提出期限が迫っている
・遠方の裁判所に訴えられた
・支払督促が届いた
・答弁書の提出期限を過ぎた、期日を欠席した、判決が届いた

具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。

相談のタイミング

訴状が届いたら、その日のうちに期日と期限を確かめ、すぐに弁護士に相談する。最初の期日は訴えの提起から30日以内に指定されるのが原則で(民事訴訟規則60条2項)、答弁書の準備に使える時間は短い。

まとめ

訴状が届いたら、最初の期日と答弁書の提出期限を確かめ、請求への答弁、事実の認否、抗弁と証拠を書いた答弁書を期限までに出す。答弁書を出さずに欠席すると、原告の主張どおりの判決が出るおそれがある。支払督促なら督促異議を期間内に出す。

出典

民事訴訟法12条・13条・16条・17条・97条・138条・139条・146条・158条・159条・266条・267条・285条・369条・386条・391条・393条・395条・403条(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-20)

民事訴訟規則60条・79条・80条(裁判所ウェブサイト掲載の2026年5月21日の版で確認)

民事訴訟法等の一部を改正する法律(令和4年法律第48号)附則

最終確認日
2026年10月20日
法令の基準時
2026年10月時点の法令による
出典(外部サイト)
e-Gov 法令検索(デジタル庁)〔外部サイト〕/裁判所ウェブサイト〔外部サイト〕
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