① 140万円の基準。 訴訟の目的の価額が140万円を超えない請求(行政事件訴訟に係る請求を除く)は簡易裁判所が第一審を担当する(裁判所法33条1項1号)。それ以外の請求は、人事訴訟など他の裁判所の管轄とされているものを除き、地方裁判所が担当する(裁判所法24条1号)。当事者の合意(民事訴訟法11条)や、被告が管轄違いを主張せずに本案について弁論をしたこと(民事訴訟法12条)で管轄が生じる場合もある。
② 価額の算定。 訴訟の目的の価額は、訴えで主張する利益によって算定する(民事訴訟法8条1項)。算定できないときや極めて困難なときは、140万円を超えるものとみなす(同条2項)。一つの訴えで数個の請求をするときは合算するが、各請求で主張する利益が共通である場合は合算しない(民事訴訟法9条1項)。果実・損害賠償・違約金・費用の請求が訴訟の附帯の目的であるときは算入しない(同条2項)。たとえば、貸金の元金とあわせて請求する遅延損害金は算入しないが、利息などを独立して請求する場合は別に考える。
③ 不動産に関する訴訟。 140万円以下でも地方裁判所に出せる(裁判所法24条1号)。簡易裁判所に出された不動産に関する訴訟は、被告が本案について弁論をする前に申し立てれば、その簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所に移送しなければならない(民事訴訟法19条2項)。
④ 移送。 簡易裁判所は、相当と認めるときは、管轄のある事件でも、その所在地を管轄する地方裁判所に移送できる(民事訴訟法18条)。当事者の申立てと相手方の同意があるときは、原則として移送しなければならないが、著しく訴訟手続を遅滞させることになる場合や、被告が本案について弁論などをした後の申立て(簡易裁判所からその所在地の地方裁判所への移送を除く)は例外とされる(民事訴訟法19条1項)。地方裁判所は、その管轄区域内の簡易裁判所の管轄に属する事件でも、相当と認めれば自ら審理できる(民事訴訟法16条2項。簡易裁判所の専属管轄の場合を除く)。訴訟が法令で定められたその裁判所の専属管轄に属するときは、これらの移送の規定は原則として適用されない(民事訴訟法20条1項)。