① 成立の要件。 当事者間に合意が成立し、それが調書に記載されたときに調停が成立する(民事調停法16条)。合意しただけで調書に記載される前は、調停は成立していない。
② 強制執行できる条項。 「相手方は申立人に対し、○年○月○日限り、金○円を支払う」のように、誰が誰に何をいつまでにするかが具体的に書かれた給付条項は、債務名義として強制執行に使える(民事執行法22条7号)。強制執行をするには、原則として執行文の付与を受ける必要があり(民事執行法25条・26条)、調書の正本などが、強制執行の開始の前か開始と同時に相手方に送達されていなければならない(民事執行法29条)。期限の到来に係る請求は、期限が来た後でなければ強制執行を始められない(民事執行法30条1項)。条件付きの条項などでは、執行文を受けるために追加の証明が必要になることがある(民事執行法27条1項)。
③ 強制執行できない条項。 「申立人と相手方は、本件建物の所有権が申立人にあることを確認する」のような確認条項や、「誠実に協議する」「努める」のような条項は、それだけでは強制執行に使えない。金額や期限があいまいな条項も、執行の場面で問題になりやすい。
④ 時効。 調停の成立で権利が確定すると、時効は新たに進行を始める(民法147条2項)。消滅時効にかかる権利で、もとの時効期間が10年より短いものは、時効期間が10年になる(民法169条1項)。ただし、確定の時に弁済期が来ていない債権には、この10年の規定は適用されない(同条2項)。調停で決めた支払がこれに当たるかどうか、時効がいつから進むか(それぞれの支払期限や期限の利益の喪失の定めによる)は、債権の内容によって判断が必要になる。
⑤ 調停に代わる決定。 調停に代わる決定(民事調停法17条)に対して2週間以内に異議がないときも、その決定は裁判上の和解と同一の効力を持つ(民事調停法18条5項)。