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控訴|判決に不服があるときの手続

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この記事の要点

  • 地方裁判所が第一審としてした終局判決と、簡易裁判所の終局判決には、控訴できる(民事訴訟法281条1項)。ただし、少額訴訟の判決、手形訴訟・小切手訴訟の判決(訴えを却下した判決を除く)、法定審理期間訴訟手続の判決には控訴できず、判決をした裁判所への異議の申立てによる(民事訴訟法356条・357条・367条・377条・378条・381条の7)。少額訴訟の異議の後の判決には、控訴も再度の異議もできない(民事訴訟法380条1項)。簡易裁判所の判決への控訴は地方裁判所、地方裁判所の第一審判決への控訴は高等裁判所が審理する(裁判所法24条3号・16条1号)。
  • 控訴は、判決書(電子判決書)などの送達を受けた日から2週間の不変期間内に、控訴状を第一審裁判所に提出してする(民事訴訟法285条・286条1項)。
  • 控訴状に不服の理由を具体的に書かなかったときは、控訴の提起後50日以内に、理由を書いた書面(控訴理由書)を控訴裁判所に出さなければならない(民事訴訟規則182条)。控訴しても、仮執行宣言付きの判決による強制執行は当然には止まらない。

期限に注意

控訴の期間は、判決書(電子判決書を書面にしたものなど)の送達を受けた日から2週間の不変期間である(民事訴訟法285条)。判決の言渡しの日から数えるのではない。期間は送達を受けた日の翌日から数え、末日が土日・祝日・年末年始(12月29日から1月3日)に当たるときは、その翌日に満了する(民事訴訟法95条3項。翌日も休日なら、さらに後の休日でない日になる)。弁護士が代理人のときは代理人への送達の日が基準になるなど、本人が判決を受け取った日・読んだ日とは限らない。郵送で出すときは、期間内に裁判所に届く必要がある。不変期間は通常の延長ができない。遠くに住む当事者のために裁判所が付加期間を定める制度はある(民事訴訟法96条2項)が、自動的に延びるわけではない。また、自分の責めに帰することのできない事由で期間を守れなかったときの追完も、その事由がなくなってから1週間以内(外国にいる当事者は2か月)に限られる(民事訴訟法96条・97条)。期間を過ぎると、相手方の控訴などがない限り、判決が確定する。控訴状に不服の理由を具体的に書かなかったときは、控訴の提起後50日以内に控訴理由書を出す(民事訴訟規則182条)。期限を過ぎると権利を失ったり手続ができなくなったりすることがあり、いつから数えるか・延ばせるかは事情で変わるので、思い当たる方はできるだけ早く弁護士に確認してほしい。

問題提起

第一審で負けた、または一部しか認められなかった。判決に納得できないので、もう一度判断してほしい――そのための手続が控訴である。控訴には短い期限があるので、判決を受け取ったらすぐに動く必要がある。この記事は通常の民事訴訟を中心に、民事訴訟のIT化の改正(令和4年法律第48号。主な部分は2026年5月21日に施行)の後の規定で説明している。2026年5月21日より前に起こされた訴えの事件の控訴期間は、経過措置により改正前の規定(判決書または判決に代わる調書の送達を受けた日から2週間)による(同法附則20条)。

法律の文言(民事訴訟法285条)

控訴は、電子判決書又は第二百五十四条第二項の規定により当事者及び法定代理人、主文、請求並びに理由の要旨が記録された電子調書の送達を受けた日から二週間の不変期間内に提起しなければならない。ただし、その期間前に提起した控訴の効力を妨げない。民事訴訟法285条(e-Gov法令検索で原文確認)

要件(控訴できる場合)

① 対象となる判決。 地方裁判所が第一審としてした終局判決と、簡易裁判所の終局判決である(民事訴訟法281条1項本文)。ただし、終局判決の後に当事者双方が上告をする権利を留保して控訴をしない旨を書面で合意したときは、控訴できない(同項ただし書・同条2項)。少額訴訟などの例外は上の要点のとおりである。また、控訴するには、判決の主文によって自分が不利益を受けていることが原則として必要で、全部勝訴した人が判決の理由だけに不満があって控訴することは原則としてできない(予備的に主張した相殺が認められて勝訴した場合など、例外もある)。訴訟費用の負担の裁判だけを独立して控訴することもできない(民事訴訟法282条)。

② 控訴期間。 判決書などの送達を受けた日から2週間の不変期間内(民事訴訟法285条)。送達の前に控訴しても有効である(同条ただし書)。インターネットで送達を受ける届出をしている人への送達は、閲覧した時、自分の機器に記録した時、または通知が発せられた日から1週間を経過した時のうち最も早い時に効力を生じる(民事訴訟法109条の2・109条の3第1項)ので、通知を受けたらすぐに確認する。責めに帰することのできない事由で閲覧・記録ができなかった期間は、この1週間に算入されない(同条2項)。

③ 控訴状の提出先と記載事項。 控訴状は、控訴裁判所ではなく第一審裁判所に提出する(民事訴訟法286条1項)。控訴状には、当事者と法定代理人、第一審判決の表示とその判決に対して控訴する旨を記載する(同条2項)。

④ 手数料。 控訴の提起には手数料を納める。民事訴訟費用等に関する法律の別表で、控訴で不服を申し立てる部分の価額を基に、訴え提起の場合の算定額の1.5倍の額などとして定められている(民事訴訟費用等に関する法律3条・別表)。第一審で実際に納めた手数料をそのまま基にするとは限らない。附帯控訴にも原則として手数料がかかる。具体的な額は裁判所の案内で確認する。

控訴の流れ

1. 判決書の送達を受けた日を確かめ、控訴期間の最終日を確認する。
2. 判決の内容を読み、どの部分に不服があるか、控訴して見込みがあるかを検討する。
3. 控訴状を第一審裁判所に提出し、手数料を納める。
4. 控訴状に第一審判決の取消し・変更を求める事由を具体的に書かなかったときは、控訴の提起後50日以内に、その事由を書いた書面を控訴裁判所に出す(民事訴訟規則182条)。この50日は控訴期間のような不変期間ではなく、過ぎただけで控訴が不適法になるわけではないが、提出しなければならないことに変わりはなく、遅れると審理で不利益を受けるおそれがある。
5. 控訴裁判所で審理が行われる。控訴裁判所は、第一審の訴訟手続の規定を基本として準用しながら審理する(民事訴訟法297条)。

実務の視点 控訴期間は2週間と短く、判決の内容を検討する時間は限られている。判決の言渡しの日に判決の内容を確かめ、控訴するかどうかの判断材料(判決理由のどこに誤りがあるか、新しい証拠があるか)を早めに弁護士と整理するとよい。控訴審では、第一審で出さなかった主張や証拠を出すことに制限がかかることもある。

確認点・よくある誤解

① 相手が控訴したら附帯控訴ができる。 被控訴人は、自分の控訴期間が過ぎた後でも、控訴審の口頭弁論の終結までは、附帯控訴をして第一審判決の自分に不利な部分の変更を求めることができる(民事訴訟法293条1項)。ただし、控訴が取り下げられたり不適法として却下されたりすると、附帯控訴は効力を失う(控訴の要件を備えるものは独立した控訴とみなされる。同条2項)。

② 判決を変えられるのは不服の範囲だけ。 第一審判決の取消し・変更は、不服申立ての限度でのみすることができる(民事訴訟法304条)。ここでいう不服申立てには相手方の控訴や附帯控訴も含まれるので、相手方も不服を申し立てた場合は、第一審より不利な結果になることもある。

③ 控訴しても強制執行は止まらない。 仮執行宣言付きの判決に控訴しても、強制執行は当然には止まらない。止めるには、原判決の取消し・変更の原因となる事情がないとはいえないこと、または執行により著しい損害を生ずるおそれがあることを疎明して、裁判所に執行停止の決定を求める(民事訴訟法403条1項3号。訴訟記録が第一審裁判所にある間は第一審裁判所が判断する。民事訴訟法404条1項)。申し立てただけでは止まらず、担保を立てるよう求められることや、停止の決定を執行機関に出す手続が必要なことがある。

④ 控訴は取り下げることができる。 控訴は、控訴審の終局判決があるまで取り下げることができる(民事訴訟法292条1項)。控訴をする権利を放棄することもできる(民事訴訟法284条)。ただし、自分の控訴期間が過ぎた後に取り下げると、通常は改めて控訴することはできないので、相手方の控訴への影響も含めて事前に確かめる。

議論のある点

議論のある点 控訴して判断が変わる見込みがあるか、控訴審で新しい主張や証拠を出せるか、執行停止がどの程度の担保で認められるかは、事件ごとに判断が分かれる。期間を守れなかったことが責めに帰することのできない事由によるといえるかも、事情によって判断が分かれる。一般論だけで判断せず、弁護士に相談してほしい。

法改正の予定

民事訴訟法281条・285条・286条・293条・304条には、2026年10月20日現在、施行前の改正は見当たらない(e-Gov 法令検索で確認)。手数料を定める民事訴訟費用等に関する法律には、施行前の改正がある(e-Gov 法令検索では2028年6月13日施行の未施行の版として掲載)。

特に相談した方がよい場面

・第一審の判決に納得できない
・相手方から控訴された
・仮執行宣言付きの判決で強制執行をされそう
・控訴期間を過ぎてしまったかもしれない
・少額訴訟や手形訴訟の判決を受けた(控訴ではなく異議になる。少額訴訟の異議の後の判決には控訴も異議もできない)

具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。

相談のタイミング

判決の言渡しの日、遅くとも判決書の送達を受けたらすぐに相談する。控訴期間は2週間で延長はできないので、送達を受けた日を必ず記録しておく。

まとめ

通常の訴訟の第一審の終局判決に不服があるときは、判決書の送達を受けた日から2週間以内に、控訴状を第一審裁判所に出して控訴する。控訴状に取消し・変更を求める事由を具体的に書かなかったときは、50日以内に控訴理由書を出す。控訴しても強制執行は当然には止まらず、判決を変えられるのは不服の範囲に限られる。

出典

民事訴訟法95条・96条・97条・109条の2・109条の3・281条・282条・284条・285条・286条・292条・293条・297条・304条・356条・357条・367条・377条・378条・380条・381条の7・403条・404条(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-20)

民事訴訟法等の一部を改正する法律(令和4年法律第48号)附則20条

裁判所法16条・24条

民事訴訟費用等に関する法律3条・別表第一・別表第二

民事訴訟規則182条(裁判所ウェブサイト掲載の2026年5月21日の版で確認)

最終確認日
2026年10月20日
法令の基準時
2026年10月時点の法令による
出典(外部サイト)
e-Gov 法令検索(デジタル庁)〔外部サイト〕/裁判所ウェブサイト〔外部サイト〕
ご相談
個別の相談には応じません。具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。

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