① 和解は原則として契約の効力にとどまる。 センターで成立した和解は、民法上の和解契約として当事者を拘束するが、それだけでは強制執行の根拠にはならない。強制執行には、特定和解について執行決定が確定すること(認証紛争解決手続に限る)や、別に判決などを得ることが必要になる。
② 特定和解の執行決定には除外がある。 消費者と事業者の間の契約に関する紛争、個別労働関係紛争、人事その他家庭に関する紛争(養育費などの扶養に関する金銭債権に係るものを除く)などの特定和解は、執行決定の対象にならない(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律27条の3)。
③ 仲裁は相手方が参加しなくても進むことがある。 有効な仲裁合意がある場合、相手方が手続に参加しなくても、仲裁手続が進んで仲裁判断がされることがある。仲裁判断は確定判決と同一の効力を持ち、裁判所の執行決定が確定すれば強制執行の根拠になる(仲裁法45条1項・46条、民事執行法22条6号の2)。仲裁合意の対象となる紛争について訴えを起こしても、被告が本案について弁論をしたり弁論準備手続で申述をしたりする前に申し立てれば、原則として訴えは却下される(仲裁法14条1項。仲裁合意が無効な場合などの例外がある)。仲裁合意は書面などでする必要がある(仲裁法13条2項・4項)。
④ 仲裁合意には法律上の制限がある。 仲裁合意は、当事者が和解できる民事上の紛争(離婚・離縁の紛争を除く)を対象とする場合に限り効力を持つ(仲裁法13条1項)。仲裁法の施行後に成立した仲裁合意のうち、将来生ずる個別労働関係紛争を対象とするものは、当分の間、無効とされている(仲裁法附則4条)。仲裁法の施行後に締結された、消費者と事業者の間の将来の紛争を対象とする仲裁合意は、消費者が解除できる(仲裁法附則3条2項)。ただし、消費者自身が仲裁の申立人になった場合は解除できない(同項ただし書)。事業者が申し立てた場合は、最初の口頭審理で消費者が解除権を放棄する意思を明示しなかったり、その期日に出頭しなかったりすると、解除したものとみなされる(同条6項・7項)。契約書に仲裁条項があっても、直ちに裁判ができないとは限らない。
⑤ 仲裁判断を争う方法は限られる。 仲裁判断には、判決に対する控訴のように本案の当否を全面的に争い直す制度はない。仲裁合意の無効や重大な手続上の問題など法律に定める理由がある場合に限り、日本を仲裁地とする仲裁判断の取消しを裁判所に申し立てることができ、この申立てには上の「期限に注意」のとおり期限がある(仲裁法44条)。
⑥ 訴訟中でも使える場合がある。 訴訟の当事者間で認証紛争解決手続が行われているなどの場合、当事者の共同の申立てがあれば、裁判所は4か月以内の期間を定めて訴訟手続を中止することができる(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律26条1項)。