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弁護士会の紛争解決センター|あっせんの流れ

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この記事の要点

  • 弁護士会の紛争解決センター(名称は「仲裁センター」「示談あっせんセンター」などセンターごとに異なる)は、弁護士などがあっせん人として当事者の話し合いの間に入り、和解による解決を目指す裁判外の手続(ADR)を行う。日本弁護士連合会の案内では、全国で39センター(36弁護士会)が設けられている(2024年10月現在)。当事者が仲裁合意をすれば、仲裁人の判断(仲裁判断)で解決する仲裁の手続も利用できる。
  • あっせんは、相手方が応じなければ話し合いが進まず、和解が成立しても、それだけでは原則として強制執行の根拠にならない。法務大臣の認証を受けた手続(認証紛争解決手続)で成立した和解のうち、民事執行ができる旨の合意をしたもの(特定和解)は、裁判所の執行決定が確定すれば強制執行の根拠になる(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律2条5号・27条の2、民事執行法22条6号の5)。ただし、消費者と事業者の間の契約や個別労働関係の紛争などの和解は対象から除かれ(同法27条の3)、2024年4月1日より前に成立した和解も対象にならない(令和5年法律第17号附則2条)。
  • 時効の完成猶予の特例も、認証紛争解決手続に限られる。和解の見込みがないとして手続実施者が手続を終了した場合に、手続の実施を依頼した当事者がその通知を受けた日から1か月以内に同じ請求について訴えを起こせば、手続での請求の時に訴えを起こしたものとみなされる(同法25条1項。認証が効力を失ったり取り消されたりした場合にも特例がある。同条2項・3項)。弁護士会のセンターには認証を受けていないものもあるので、利用するセンターが認証を受けているかを確かめる必要がある。

期限に注意

認証紛争解決手続が、和解の見込みがないとして手続実施者により終了した場合、手続の実施を依頼した当事者がその通知を受けた日から1か月以内に同じ請求について訴えを起こせば、時効の完成猶予については、手続での請求の時に訴えを起こしたものとみなされる(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律25条1項)。取下げなど、ほかの理由で終わった場合に当然に適用されるわけではない。認証を受けていないセンターの手続にはこの特例がないので、時効が近いときは、別に時効の完成を猶予させる手段(訴えの提起や、権利について協議を行う旨の書面などでの合意〔民法151条〕など)を考える必要がある。協議の合意による猶予には期間の上限があり、催告で時効の完成が猶予されている間にした合意には猶予の効力がない(同条1項〜3項)。単に話し合いを続けたり、センターに申し立てたりするだけでは、協議の合意にはならない。仲裁判断の取消しの申立ては、仲裁判断書(仲裁判断の訂正などについての仲裁廷の決定書を含む)の写しの送付による通知がされた日から3か月を経過すると、または執行決定が確定すると、できなくなる(仲裁法44条2項)。期限を過ぎると権利を失ったり手続ができなくなったりすることがあり、いつから数えるか・延ばせるかは事情で変わるので、思い当たる方はできるだけ早く弁護士に確認してほしい。

問題提起

裁判は時間も費用もかかる、かといって当事者同士では話がまとまらない――そのようなときの選択肢の一つが、弁護士会が運営する紛争解決センターである。裁判所の調停と似ているが、裁判所の手続ではないため、効力や使える特例が異なる。この記事は、2026年10月21日現在の法律と日本弁護士連合会の公式サイトの案内で説明している。手続の細かな決まりや費用は、センターごとの規則で定められている。

法律の文言(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律1条・25条1項)

この法律は、……裁判外紛争解決手続(訴訟手続によらずに民事上の紛争の解決をしようとする紛争の当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決を図る手続をいう。以下同じ。)が、第三者の専門的な知見を反映して紛争の実情に即した迅速な解決を図る手続として重要なものとなっていることに鑑み、……裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律1条・抜粋(e-Gov法令検索で原文確認)
認証紛争解決手続によっては紛争の当事者間に和解が成立する見込みがないことを理由に手続実施者が当該認証紛争解決手続を終了した場合において、当該認証紛争解決手続の実施の依頼をした当該紛争の当事者がその旨の通知を受けた日から一月以内に当該認証紛争解決手続の目的となった請求について訴えを提起したときは、時効の完成猶予に関しては、当該認証紛争解決手続における請求の時に、訴えの提起があったものとみなす。裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律25条1項(e-Gov法令検索で原文確認)

要件・仕組み

① 申立て。 あっせんの申立ての前に相手方と合意しておく必要はない(日本弁護士連合会の紛争解決センターQ&A)。センターに申立書を出し、申立手数料を納める。弁護士を代理人にせず本人で申し立てることもできる。

② 相手方の応諾。 センターから相手方に申立てがあったことが知らされ、相手方があっせんに応じるかどうかを確認する。認証紛争解決手続では、一方の当事者から依頼を受けたときに、他方の当事者に速やかに通知し、応じるかどうかを確認する手続を定めておくことが認証の基準になっている(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律6条9号)。相手方が応じなければ、あっせんは進まない。

③ 費用。 申立手数料・期日手数料・成立手数料を求めるセンターが多く、申立手数料だけのセンターもある(日本弁護士連合会の紛争解決センターQ&A)。金額はセンターごとの規則で定められているので、各センターで確認する。認証紛争解決事業者は、契約の前に報酬・費用などを書面などで説明しなければならない(同法14条)。

④ 認証の有無。 法務大臣の認証を受けた民間紛争解決手続を「認証紛争解決手続」という(同法2条3号・5条)。時効の完成猶予(25条)、訴訟手続の中止(26条)、地代・借賃増減請求事件の調停前置の特則(27条)、特定和解の執行決定(27条の2)は、認証紛争解決手続についての特例である。センター自身が「認証紛争解決機関ではない」と案内している例もある。

あっせんの流れ

1. センターに申立書を出し、手数料を納める。
2. センターが相手方に連絡し、あっせんに応じるかを確認する。
3. 相手方が応じれば、あっせん人(弁護士など)が選ばれ、期日が開かれる。期日では、主に口頭のやり取りで、あっせん人が交渉の間に入って話し合いを進める。
4. 合意できれば和解が成立し、和解契約書などが作られる。
5. 合意の見込みがなければ、手続は終了する。
6. 当事者が仲裁合意をした場合は、仲裁人が仲裁判断をする。

実務の視点 和解が成立しても、相手方が支払わないときにすぐ強制執行できるとは限らない。分割払など将来の支払を含む和解をするときは、認証紛争解決手続での特定和解にできるか、または公正証書(執行証書)や裁判所の訴え提起前の和解(即決和解)を利用して、強制執行できる形にしておくかを検討するとよい。公正証書で直接強制執行できるのは、金銭の一定の額の支払などで債務者の執行受諾の陳述があるものに限られ、建物の明渡しなどには使えない(民事執行法22条5号)。

確認点・よくある誤解

① 和解は原則として契約の効力にとどまる。 センターで成立した和解は、民法上の和解契約として当事者を拘束するが、それだけでは強制執行の根拠にはならない。強制執行には、特定和解について執行決定が確定すること(認証紛争解決手続に限る)や、別に判決などを得ることが必要になる。

② 特定和解の執行決定には除外がある。 消費者と事業者の間の契約に関する紛争、個別労働関係紛争、人事その他家庭に関する紛争(養育費などの扶養に関する金銭債権に係るものを除く)などの特定和解は、執行決定の対象にならない(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律27条の3)。

③ 仲裁は相手方が参加しなくても進むことがある。 有効な仲裁合意がある場合、相手方が手続に参加しなくても、仲裁手続が進んで仲裁判断がされることがある。仲裁判断は確定判決と同一の効力を持ち、裁判所の執行決定が確定すれば強制執行の根拠になる(仲裁法45条1項・46条、民事執行法22条6号の2)。仲裁合意の対象となる紛争について訴えを起こしても、被告が本案について弁論をしたり弁論準備手続で申述をしたりする前に申し立てれば、原則として訴えは却下される(仲裁法14条1項。仲裁合意が無効な場合などの例外がある)。仲裁合意は書面などでする必要がある(仲裁法13条2項・4項)。

④ 仲裁合意には法律上の制限がある。 仲裁合意は、当事者が和解できる民事上の紛争(離婚・離縁の紛争を除く)を対象とする場合に限り効力を持つ(仲裁法13条1項)。仲裁法の施行後に成立した仲裁合意のうち、将来生ずる個別労働関係紛争を対象とするものは、当分の間、無効とされている(仲裁法附則4条)。仲裁法の施行後に締結された、消費者と事業者の間の将来の紛争を対象とする仲裁合意は、消費者が解除できる(仲裁法附則3条2項)。ただし、消費者自身が仲裁の申立人になった場合は解除できない(同項ただし書)。事業者が申し立てた場合は、最初の口頭審理で消費者が解除権を放棄する意思を明示しなかったり、その期日に出頭しなかったりすると、解除したものとみなされる(同条6項・7項)。契約書に仲裁条項があっても、直ちに裁判ができないとは限らない。

⑤ 仲裁判断を争う方法は限られる。 仲裁判断には、判決に対する控訴のように本案の当否を全面的に争い直す制度はない。仲裁合意の無効や重大な手続上の問題など法律に定める理由がある場合に限り、日本を仲裁地とする仲裁判断の取消しを裁判所に申し立てることができ、この申立てには上の「期限に注意」のとおり期限がある(仲裁法44条)。

⑥ 訴訟中でも使える場合がある。 訴訟の当事者間で認証紛争解決手続が行われているなどの場合、当事者の共同の申立てがあれば、裁判所は4か月以内の期間を定めて訴訟手続を中止することができる(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律26条1項)。

議論のある点

議論のある点 どのような紛争が紛争解決センターに向くか(専門的な知見が役立つ紛争、関係を続けたい当事者間の紛争など)、裁判所の調停と比べてどちらがよいか、相手方が応じる見込みがあるかは、事案と地域のセンターの運用によって異なる。センターごとに扱う紛争の範囲や手数料、認証の有無が違うので、利用する前に確認してほしい。

法改正の予定

裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律には、2026年10月21日現在、施行前の改正がある(e-Gov 法令検索で未施行の版として掲載。施行日は改正法の附則と政令で定められるので、手続をする時点で確認が必要)。

特に相談した方がよい場面

・裁判所の調停と弁護士会のセンターのどちらを使うか迷っている
・相手方からセンターへの申立ての通知が届いた
・時効が近い請求について、センターの利用を考えている
・和解の内容を強制執行できる形にしたい
・仲裁合意をするよう求められている、または仲裁手続の通知が届いた
・仲裁判断に納得できない

具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。

相談のタイミング

申し立てる前に、センターが認証を受けているか、時効が近くないか、和解後の履行をどう確保するかを確認するのがよい。相手方から通知が届いたら、応じるかどうかを決める前に相談すると、手続の見通しを立てやすい。仲裁の通知や仲裁判断を受け取ったときは、放置せずにすぐ相談する。

まとめ

弁護士会の紛争解決センターのあっせんは、弁護士などのあっせん人を交えて話し合う裁判外の手続で、相手方が応じなければ進まず、和解は原則として契約の効力にとどまる。時効の完成猶予や特定和解の執行決定などの特例は、法務大臣の認証を受けた手続に限られ、適用される場面にも条件がある。仲裁を選ぶと判決に近い効力が生じ、相手方が参加しなくても進むことがあり、争える場面も期限も限られる。

出典

裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律1条・2条・5条・6条・14条・25条・26条・27条・27条の2・27条の3(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-21)

裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律(令和5年法律第17号)附則2条

仲裁法13条・14条・44条・45条・46条・附則3条・附則4条

民事執行法22条

民法151条

日本弁護士連合会「紛争解決センター(ADR)」「紛争解決センターQ&A」(公式サイト・2026-10-21確認)

最終確認日
2026年10月21日
法令の基準時
2026年10月時点の法令による
出典(外部サイト)
e-Gov 法令検索(デジタル庁)〔外部サイト〕/裁判所ウェブサイト〔外部サイト〕
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