協議離婚の成立に必要なこと:①届出の時に夫婦双方に離婚する意思があること ②離婚届が受理されること。書面で届け出る場合は、夫婦双方と成年の証人2人以上が署名する(民法764条・739条2項)。
届が受理されるための確認:夫婦の間に未成年の子がいるときは(一方の連れ子で、他方と養子縁組をしていない子は含まない)、親権者の定めがあるか、親権者の指定を求める家事調停・家事審判の申立てがあることを、市区町村が確認してから受理する(民法765条1項)。この確認に漏れがあって受理された場合でも、そのことだけで離婚の効力が否定されるわけではない(同条2項)。一方、本人が知らないうちに出された届など、離婚の意思がない届は、受理されても離婚の有効性が問題になる。
決めておく事項(親権以外は、決めていなくても届は受理される)
①親権:父母の双方(共同親権)か一方(単独親権)かを決める(民法819条1項)。共同親権の場合、親権は父母が共同して行うのが原則だが、監護・教育に関する日常の行為や、子の利益のため急迫の事情があるときなどは、一方が単独で行える(民法824条の2第1項・2項)。特定の事項で父母の意見が合わないときは、家庭裁判所が一方に単独で行わせる定めをすることができる(同条3項)。
②監護:子の監護をすべき者(監護者)や、監護の分担(監護の分掌)を決める(民法766条1項)。監護者と定められた親は、子の監護・教育や居所の指定などを単独で行うことができる(民法824条の3)。共同親権にする場合も、監護者を定めるかどうかで権限の分け方が変わる。
③養育費(子の監護に要する費用の分担):金額、支払日、いつまで払うか、進学など特別な出費の扱い。
④親子交流(面会交流):頻度、方法、受渡しの方法、連絡の取り方。
⑤財産分与:婚姻中に夫婦で築いた財産の分け方。
⑥年金分割:婚姻期間の厚生年金の記録を分ける割合(厚生年金保険法78条の2)。3号分割は、2008年4月以後で、相手の被扶養配偶者(国民年金の第3号被保険者)だった期間の記録が対象で、相手の同意なく請求できる(同法78条の14。詳しくは関連記事「年金分割|手続の窓口と期限の数え方」)。
⑦慰謝料:相手の不貞や暴力などが原因で離婚する場合。
⑧氏:婚姻で氏を改めた人は離婚で元の氏に戻るが、離婚の日から3か月以内に届け出れば、離婚の際の氏を称することができる(民法767条)。
実務の視点 決めた内容は必ず書面にする。お金の支払(養育費・財産分与・慰謝料など)は、金額と支払期日を特定したうえで、公証役場で「支払を怠ったときは直ちに強制執行に服する」旨を入れた公正証書(執行証書)にしておくと、不払いのときに裁判を起こさなくても強制執行を申し立てられる(民事執行法22条5号)。ただし、「進学費用はその都度協議する」のように金額が決まっていない条項は、そのままでは強制執行できない。また、強制執行には裁判所での手続が別に要り、相手に差し押さえる財産がなければ回収できない。作成の前に、公証役場に必要書類と手数料を確認しておく。