期限に注意
逮捕から勾留の請求までには、法律で厳しい時間制限がある(刑事訴訟法203条〜205条)。この間にも取調べが進むので、逮捕を知ったら、できるだけ早く弁護士に確認してほしい。
弁護士に相談する前に知っておきたい法律の要点を、分野ごとにスレッド形式でまとめています。
逮捕から勾留の請求までには、法律で厳しい時間制限がある(刑事訴訟法203条〜205条)。この間にも取調べが進むので、逮捕を知ったら、できるだけ早く弁護士に確認してほしい。
家族が逮捕されたと警察から連絡があったが、知り合いの弁護士はいない、何をすればよいか分からない――そのようなときに、まず使えるのが当番弁護士制度である。逮捕された段階では国選弁護人は付かないので、この段階で弁護士と話せる機会は大切である。
弁護人を選任しようとする被告人又は被疑者は、弁護士会に対し、弁護人の選任の申出をすることができる。
2 弁護士会は、前項の申出を受けた場合は、速やかに、所属する弁護士の中から弁護人となろうとする者を紹介しなければならない。刑事訴訟法31条の2第1項・2項(e-Gov法令検索で原文確認)
勾引又は勾留された被告人は、裁判所又は刑事施設の長若しくはその代理者に弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる。ただし、被告人に弁護人があるときは、この限りでない。刑事訴訟法78条1項。209条により逮捕状による逮捕に準用(e-Gov法令検索で原文確認)
当番弁護士制度そのものは法律の規定ではなく、弁護士会が独自に運営する制度である。上の条文は、本人が弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出る仕組みを定めたもので、弁護士会によっては当番弁護士制度とあわせて運用している。
① 誰が依頼できるか。 日本弁護士連合会の公式サイトは、当番弁護士の派遣は、本人(年齢を問わない)だけでなく家族でも依頼できると案内している。
② 家族が依頼する方法。 家族は、逮捕された場所の弁護士会に電話をして依頼する(日本弁護士連合会公式サイト)。各地の弁護士会の受付の電話番号は、日本弁護士連合会の公式サイトの「当番弁護士連絡先一覧」に載っている。休日などは留守番電話に用件を吹き込む方式の弁護士会もある。
③ 本人が依頼する方法。 本人は、警察官・検察官・裁判官に「当番弁護士を呼んでください」と伝える。弁護人のいない人を司法警察員が逮捕した場合や検察官が逮捕した場合には、弁護人を選任できることに加え、弁護士・弁護士法人・弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨と、その申出先を教えるものとされている(刑事訴訟法203条1項〜3項・204条1項・2項)。
④ 費用。 当番弁護士の初回の面会は無料で、日本弁護士連合会の公式サイトは、初回の接見費用や外国人の被疑者のための初回の通訳費用などは、被疑者に負担を求めずに弁護士会が負担していると説明している。
⑤ 当番弁護士が面会できる範囲。 弁護人を選任できる家族などの依頼により弁護人となろうとする者は、身体を拘束されている本人と立会人なしで面会することができる(刑事訴訟法39条1項)。日本弁護士連合会の公式サイトは、家族や友人が面会できない場合でも、弁護士は警察官の立会いなく面会できると説明している。
⑥ その後の弁護の頼み方。 当番弁護士の面会の後に弁護を続けて頼む方法には、その弁護士などと委任契約を結ぶ私選弁護人、勾留状が発せられた後に裁判官が選任する国選弁護人(刑事訴訟法37条の2。貧困などの要件・資力申告書の提出などの手続がある)、逮捕から勾留までの間で私選弁護人の費用がないなどの要件を満たす場合の、日本弁護士連合会が実施する刑事被疑者弁護援助事業がある(日本弁護士連合会公式サイト)。
1. 警察などから逮捕の連絡を受けたら、本人がどこの警察署にいるか、何の疑いで逮捕されたかを確かめる。
2. 日本弁護士連合会の「当番弁護士連絡先一覧」で、逮捕された場所の弁護士会の受付電話を調べて電話する。
3. 弁護士会が、その日の担当の弁護士に出動を要請する。日本弁護士連合会の公式サイトは、可能な限り当日に接見しているが、通訳が必要な場合や遠隔地の場合などは翌日以降になることもあると説明している。
4. 当番弁護士が本人と面会し、手続の流れや取調べへの対応、権利を説明する。
5. 当番弁護士から、家族に面会の結果や本人の伝言が伝えられることがある(本人の了解の範囲で)。
6. 家族は、逮捕直後から弁護を続ける必要があるか、私選弁護人や援助事業を使うかなどを、当番弁護士に相談して決める。勾留された場合に国選弁護人を請求するのは本人で、家族に独立した請求権はない(刑事訴訟法37条の2第1項)ので、家族は本人の希望を当番弁護士を通じて確かめ、本人の請求を支える。勾留後の国選弁護人を待つ間も取調べは進むので、待つかどうかは当番弁護士の説明を聞いて判断する。
実務の視点 弁護士会に電話するときは、本人の氏名・生年月日、留置されている警察署、逮捕の容疑(分かる範囲で)、依頼する家族の氏名と連絡先をメモしておくと話が早い。当番弁護士は本人の弁護のために面会し、守秘義務を負うので、家族が依頼したり費用を負担したりしていても、本人の同意などがなければ、本人の秘密を家族に伝えることはできない。
① 当番弁護士は国選弁護人とは違う。 当番弁護士は弁護士会の制度で、初回の面会が中心である。継続して弁護を受けるには、私選弁護人の依頼、国選弁護人の請求、援助事業の利用などが必要になる。
② 何度でも無料というわけではない。 無料なのは初回の面会である。
③ 弁護士会ごとに運用が違う。 日本弁護士連合会の公式サイトは、弁護士会ごとに実情に応じた運営をしていると説明している。受付時間などは各弁護士会に確かめる。
議論のある点 当番弁護士の面会の後、どの方法で弁護を続けるのがよいか、援助事業の要件を満たすかは、事件と家族の事情によって変わる。身体拘束中の対応は事件ごとに大きく違うので、一般論だけで判断せず、当番弁護士や弁護士会に相談してほしい。
・家族が逮捕されたと連絡を受けた
・本人が外国人で、通訳が必要になりそうだ
・本人が20歳未満である(18歳・19歳を含む。少年事件では、家庭裁判所に送られた後は付添人の制度になる)
・当番弁護士の面会の後、弁護をどう続けるか迷っている
具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。
警察が逮捕した通常の場合、司法警察員は身体を拘束された時から48時間以内に検察官に送致する手続をし、検察官は被疑者を受け取った時から24時間以内、かつ身体を拘束された時から72時間以内に勾留を請求しなければならないという時間制限があり(刑事訴訟法203条1項・205条1項・2項。検察官が自ら逮捕した場合などは別の定めがあり、やむを得ない事情による例外もある)、その間にも取調べが進む。家族が逮捕を知った時から数えるのではない。逮捕を知ったら、できるだけ早く当番弁護士を依頼するのがよい。
当番弁護士制度は、逮捕された人が無料で1回、弁護士と面会して相談できる弁護士会の制度で、家族も、逮捕された場所の弁護士会に電話して依頼できる。面会の後は、私選弁護人・国選弁護人・援助事業などで弁護を続けることを考える。
出典
刑事訴訟法30条・31条の2・37条の2・39条・78条・203条〜206条・209条(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-20)
日本弁護士連合会公式サイト「逮捕されたとき」「刑事弁護に関する制度のご紹介」(2026-10-20確認)