① 対象は起訴後の被告人。 保釈を請求できるのは、勾留されている「被告人」についてである(刑事訴訟法88条1項)。起訴前の被疑者の勾留について、裁判官は保釈の権限を持たない(刑事訴訟法207条1項ただし書)。
② 権利保釈(刑事訴訟法89条)。 保釈の請求があったとき、裁判所は、次の除外事由に当たる場合を除いて保釈を許さなければならない。除外事由は、被告人が死刑または無期もしくは短期1年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき(1号)、前に死刑または無期もしくは長期10年を超える拘禁刑に当たる罪で有罪の宣告を受けたことがあるとき(2号)、常習として長期3年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき(3号)、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき(4号)、被害者その他事件の審判に必要な知識を持つ人やその親族の身体・財産に害を加えたり、これらの人を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき(5号)、被告人の氏名または住居が分からないとき(6号)である。ここでは2025年6月1日に導入された「拘禁刑」で説明しているが、それより前の行為や過去の有罪判決については、経過措置により従前の懲役・禁錮を前提に考える場面があるので、当てはまるかは弁護人に確かめる。
③ 裁量保釈(刑事訴訟法90条)。 除外事由に当たる場合でも、裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し、または罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束が続くことで被告人が受ける健康上・経済上・社会生活上・防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。
④ 勾留が不当に長くなったとき(刑事訴訟法91条1項)。 勾留による拘禁が不当に長くなったときは、裁判所は、請求により、または職権で、勾留を取り消すか、保釈を許さなければならない。
⑤ 保証金と条件(刑事訴訟法93条)。 保釈を許すときは、裁判所は保証金の額を定めなければならない。保証金の額は、犯罪の性質と情状、証拠の証明力、被告人の性格と資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない(同条2項)。裁判所は、住居の制限その他適当と認める条件を付けることができる(同条3項)。
⑥ 保証金を納めるまで執行されない(刑事訴訟法94条)。 保釈を許す決定は、保証金の納付があった後でなければ執行できない(同条1項)。裁判所は、保釈を請求した人以外の人に保証金を納めることを許すことができ(同条2項)、有価証券や、裁判所が適当と認める被告人以外の人が差し出した保証書で保証金に代えることを許すこともできる(同条3項)。
⑦ 監督者の制度。 裁判所は、保釈を許す場合に必要と認めるときは、適当と認める人を、その人の同意を得て監督者として選任できる(刑事訴訟法98条の4第1項)。監督者は、裁判所の命令に従って、被告人と一緒に公判に出頭することや、被告人の生活状況を報告することなどの責務を負い(同条4項)、裁判所が定める監督保証金を納める(刑事訴訟法98条の5)。監督者が正当な理由なく命令に違反したときなどは、監督保証金が没取されることがある(刑事訴訟法98条の8第2項など)。家族が身元引受書を出すことと、裁判所に監督者として選任されることは別である。