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保釈|国選弁護人に請求を頼むとき

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この記事の要点

  • 保釈は、起訴された後の被告人だけが対象になる。勾留されている被告人のほか、その弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹が、裁判所に保釈を請求できる(刑事訴訟法88条1項)。起訴される前の被疑者には、保釈の制度はない(刑事訴訟法207条1項ただし書)。
  • 裁判所は、法律が定める除外事由(重い罪、罪証隠滅のおそれなど)に当たらない限り、保釈を許さなければならない(権利保釈・刑事訴訟法89条)。除外事由に当たる場合でも、裁判所は事情を考えて職権で保釈を許すことができる(裁量保釈・刑事訴訟法90条)。
  • 保釈を許すときは、裁判所が保証金の額を定め、保証金を納めた後でなければ保釈を許す決定は執行されない(刑事訴訟法93条1項・94条1項)。国選弁護人も保釈の請求を担当するが、保証金は国が負担するものではないので、家族などがどのように用意するかを早めに弁護人と相談する。

期限に注意

保釈の請求そのものに期限はない。ただし、保釈の請求を却下した裁判に対する準抗告や抗告の結果にさらに不服があるときに、憲法違反などを理由として最高裁判所にする特別抗告は、提起期間が5日である(刑事訴訟法433条)。特別抗告の期間は、原則として裁判が告知された日の翌日から数え(刑事訴訟法55条1項)、相談をしていても止まらず、通常の延長はできない。期限を過ぎると権利を失ったり手続ができなくなったりすることがあり、いつから数えるか・延ばせるかは事情で変わるので、思い当たる方はできるだけ早く弁護士に確認してほしい。

問題提起

家族が起訴されて勾留が続いている。国選弁護人が付いているが、保釈は頼めるのか、保釈金はいくら必要で誰が出すのか――起訴後の身柄解放の中心になるのが保釈である。

法律の文言(刑事訴訟法88条1項、89条)

勾留されている被告人又はその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹は、保釈の請求をすることができる。刑事訴訟法88条1項(e-Gov法令検索で原文確認)
保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。刑事訴訟法89条柱書(e-Gov法令検索で原文確認)

要件(保釈が許される場合)

① 対象は起訴後の被告人。 保釈を請求できるのは、勾留されている「被告人」についてである(刑事訴訟法88条1項)。起訴前の被疑者の勾留について、裁判官は保釈の権限を持たない(刑事訴訟法207条1項ただし書)。

② 権利保釈(刑事訴訟法89条)。 保釈の請求があったとき、裁判所は、次の除外事由に当たる場合を除いて保釈を許さなければならない。除外事由は、被告人が死刑または無期もしくは短期1年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき(1号)、前に死刑または無期もしくは長期10年を超える拘禁刑に当たる罪で有罪の宣告を受けたことがあるとき(2号)、常習として長期3年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき(3号)、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき(4号)、被害者その他事件の審判に必要な知識を持つ人やその親族の身体・財産に害を加えたり、これらの人を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき(5号)、被告人の氏名または住居が分からないとき(6号)である。ここでは2025年6月1日に導入された「拘禁刑」で説明しているが、それより前の行為や過去の有罪判決については、経過措置により従前の懲役・禁錮を前提に考える場面があるので、当てはまるかは弁護人に確かめる。

③ 裁量保釈(刑事訴訟法90条)。 除外事由に当たる場合でも、裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し、または罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束が続くことで被告人が受ける健康上・経済上・社会生活上・防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。

④ 勾留が不当に長くなったとき(刑事訴訟法91条1項)。 勾留による拘禁が不当に長くなったときは、裁判所は、請求により、または職権で、勾留を取り消すか、保釈を許さなければならない。

⑤ 保証金と条件(刑事訴訟法93条)。 保釈を許すときは、裁判所は保証金の額を定めなければならない。保証金の額は、犯罪の性質と情状、証拠の証明力、被告人の性格と資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない(同条2項)。裁判所は、住居の制限その他適当と認める条件を付けることができる(同条3項)。

⑥ 保証金を納めるまで執行されない(刑事訴訟法94条)。 保釈を許す決定は、保証金の納付があった後でなければ執行できない(同条1項)。裁判所は、保釈を請求した人以外の人に保証金を納めることを許すことができ(同条2項)、有価証券や、裁判所が適当と認める被告人以外の人が差し出した保証書で保証金に代えることを許すこともできる(同条3項)。

⑦ 監督者の制度。 裁判所は、保釈を許す場合に必要と認めるときは、適当と認める人を、その人の同意を得て監督者として選任できる(刑事訴訟法98条の4第1項)。監督者は、裁判所の命令に従って、被告人と一緒に公判に出頭することや、被告人の生活状況を報告することなどの責務を負い(同条4項)、裁判所が定める監督保証金を納める(刑事訴訟法98条の5)。監督者が正当な理由なく命令に違反したときなどは、監督保証金が没取されることがある(刑事訴訟法98条の8第2項など)。家族が身元引受書を出すことと、裁判所に監督者として選任されることは別である。

保釈の流れ(よくある例)

1. 起訴後、弁護人が被告人や家族と相談し、住む場所(制限住居)、身元を引き受ける人、保証金の用意の見通しを確かめる。
2. 弁護人が裁判所に保釈を請求する。身元引受書などの資料を添えるのが一般的である。第1回公判期日までは、保釈についての判断は裁判官が行う(刑事訴訟法280条1項)。
3. 裁判所(裁判官)は、保釈を許す決定をするときも、請求を却下する決定をするときも、検察官の意見を聴かなければならない(刑事訴訟法92条1項)。そのうえで、保釈を許すか、請求を却下するかを決める。
4. 保釈を許す決定が出たら、定められた保証金を納める。納付によって決定を執行できるようになり、その事件の勾留から釈放される。ただし、別の事件でも勾留されている場合や、検察官の不服申立てに伴って決定の執行が停止された場合(刑事訴訟法424条・432条)などは、納付しても釈放されない。
5. 保釈中は、住居の制限などの条件を守り、公判に出頭する。
6. 請求が却下されたときは、不服を申し立てることができる。第1回公判期日前に裁判官がした裁判には、その裁判の取消し・変更の請求(準抗告。刑事訴訟法429条1項2号)、地方裁判所などの裁判所がした決定には抗告(刑事訴訟法419条・420条2項)、高等裁判所がした決定には異議の申立て(刑事訴訟法428条2項)をする。これらの結果にさらに不服があるときに争えるのは、憲法違反などを理由とする特別抗告に限られ、その提起期間は5日である(刑事訴訟法433条)。改めて保釈を請求することもできる。

実務の視点 保釈の請求で重視されるのは、逃亡や罪証隠滅のおそれが小さいことを示す具体的な事情である。家族が身元を引き受けて同居し監督すること、仕事や治療の予定、被害者と接触しない約束などを、弁護人に早めに伝えて資料(身元引受書など)にしてもらうとよい。保証金の額は事件ごとに裁判所が決めるので、一般的な相場で判断せず、弁護人に見通しを聞く。

確認点・よくある誤解

① 国選弁護人でも保釈を請求できる。 保釈の請求は弁護人の権限であり(刑事訴訟法88条1項)、国選か私選かで違いはない。家族も自分で請求できるが、通常は弁護人を通じて行う。

② 保証金は国が出すものではない。 保証金は被告人側が用意する。なお、国選弁護人の報酬なども、有罪で刑の言渡しを受けたときは、訴訟費用として負担を命じられることがある(刑事訴訟法181条1項)。保証金を立て替える民間の団体などの仕組みもあるが、条件や手数料はそれぞれ違い、手数料は保証金とは別に負担して戻らないことがあるので、利用するかどうかは弁護人と相談する。

③ 保証金は罰金ではない。 没取されなかった保証金は、手続を経て返還される。ただし、実刑判決の宣告で保釈が効力を失った場合などは、被告人が刑事施設に収容されたときに返還される(刑事訴訟規則91条1項)ので、返還の時期は弁護人に確かめる。有罪判決になったことだけで没取されるわけではない。一方、正当な理由なく公判に出頭しない、逃亡する、罪証を隠滅する、条件に違反するなどで保釈が取り消されると、保証金の全部または一部が没取されることがある(刑事訴訟法96条1項・2項)。実刑判決の後に逃亡した場合など、法律上没取しなければならない場合もある(同条4項〜7項)。また、正当な理由のない公判期日への不出頭や、許可なく制限住居を離れることなどは、それ自体が犯罪として処罰の対象になることがある(刑事訴訟法95条の3・278条の2など)。出頭できない事情や転居・長期の外出の予定があるときは、必ず事前に弁護人に相談する。

④ 実刑判決が言い渡されると保釈は効力を失う。 拘禁刑以上の刑に処する判決(刑の全部の執行猶予を付けないもの)の宣告があったときは、保釈は効力を失う(刑事訴訟法343条1項)。その後に改めて保釈を求めるときは、権利保釈の規定は適用されず、裁量保釈の要件も厳しくなる(刑事訴訟法344条)。

議論のある点

議論のある点 罪証隠滅のおそれ(刑事訴訟法89条4号)をどの程度の事情で認めるか、起訴されていない余罪の事情を、起訴された事件の罪証隠滅のおそれなどを判断する資料としてどこまで考慮できるか、保証金の額をいくらにするかは、事件ごとの事情によって判断が分かれる。否認している事件では保釈が認められにくいといわれるが、審理の進み具合によって判断が変わることもある。一般論だけで判断せず、弁護人に相談してほしい。

法改正の予定

保釈中の被告人が国外へ逃亡することを防ぐため、位置測定端末(GPS 端末)を装着させる制度が設けられている(令和5年法律第28号による刑事訴訟法の改正)。施行は政令で定める日とされ、e-Gov 法令検索では2028年5月16日施行の未施行の版として掲載されている。施行前の現在は適用されない。また、成年後見制度の見直しに伴い、保釈を請求できる人のうち「保佐人」を「補助人」に改める改正がある(e-Gov 法令検索では2028年12月23日施行の未施行の版として掲載)。

特に相談した方がよい場面

・家族が起訴され、勾留が続いている
・保釈の請求が却下された
・保証金をどう用意するか分からない
・監督者になるよう求められた、または身元引受人になる予定である
・保釈中の条件(住居・連絡など)を守れるか不安がある

具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。

相談のタイミング

起訴されたらすぐに弁護人と保釈の見通しを話し合う。保釈の請求は起訴後いつでもできるが、制限住居や身元引受人、保証金の準備には時間がかかるので、起訴の前から家族が準備を始めておくとよい。却下の連絡を受けたら、不服申立ての方法と期限をすぐに弁護人に確かめる。

まとめ

保釈は起訴後の被告人の制度で、被告人本人のほか弁護人や家族が請求できる。除外事由がなければ権利として保釈が許され、除外事由があっても裁判所の裁量で許されることがある。保証金は被告人側が用意する必要があるので、国選弁護人に保釈の請求を頼むときも、住居・監督・保証金の準備を早めに相談するとよい。

出典

刑事訴訟規則91条(裁判所ウェブサイト掲載の2026年5月21日の版で確認)

刑事訴訟法88条・89条・90条・91条・92条・93条・94条・96条・98条の4・98条の5・98条の8・207条・280条・343条・344条・419条・420条・428条・429条・433条(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-20。未施行の改正〔令和5年法律第28号の位置測定端末の規定ほか〕も確認)

最終確認日
2026年10月20日
法令の基準時
2026年10月時点の法令による
出典(外部サイト)
e-Gov 法令検索(デジタル庁)〔外部サイト〕/裁判所ウェブサイト〔外部サイト〕
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