問題提起
(この記事は、受刑中ではない通常の被疑者・被告人についての説明である。受刑中に別の事件で逮捕・勾留された場合などは、面会の扱いを弁護人や施設に確かめる。)
家族が逮捕されたとき、会いに行けるのか、着替えやお金を届けられるのか――多くの家族がまず考えることである。面会や差入れには法律と施設の決まりがあり、時期や事件によってはできないこともある。
弁護士に相談する前に知っておきたい法律の要点を、分野ごとにスレッド形式でまとめています。
(この記事は、受刑中ではない通常の被疑者・被告人についての説明である。受刑中に別の事件で逮捕・勾留された場合などは、面会の扱いを弁護人や施設に確かめる。)
家族が逮捕されたとき、会いに行けるのか、着替えやお金を届けられるのか――多くの家族がまず考えることである。面会や差入れには法律と施設の決まりがあり、時期や事件によってはできないこともある。
勾留されている被告人は、第三十九条第一項に規定する者以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。勾引状により刑事施設に留置されている被告人も、同様である。刑事訴訟法80条(e-Gov法令検索で原文確認)
裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第三十九条第一項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。但し、糧食の授受を禁じ、又はこれを差し押えることはできない。刑事訴訟法81条(e-Gov法令検索で原文確認)
① 勾留の後は面会できるのが原則。 勾留されている人は、弁護人以外の人とも、法令の範囲内で面会や物の受渡しができる(刑事訴訟法80条)。勾留された被疑者についても、勾留の請求を受けた裁判官は裁判所と同一の権限を持つとされ(刑事訴訟法207条1項)、80条・81条が準用されると解されている。施設の長は、面会の申出があったときは、禁止される場合を除き、これを許すものとされている(刑事収容施設法115条・216条)。
② 逮捕されただけの段階の面会。 逮捕状による逮捕について準用される規定(刑事訴訟法209条)には80条が含まれておらず、逮捕されてから勾留されるまでの間は、家族が面会できないことが多いとされている。この段階で本人と面会できるのは、主に弁護人・弁護人となろうとする者(当番弁護士など)である(刑事訴訟法39条1項)。
③ 立会い・録音・録画。 未決拘禁者の家族などとの面会には、施設の職員が立ち会い、または録音・録画するのが原則である(刑事収容施設法116条1項本文・218条1項)。刑事施設では、規律や秩序を害するおそれや罪証の隠滅のおそれがないと認められるときは、立会いなどをさせないことができる(同法116条1項ただし書)。弁護人との面会には立会いがない(刑事訴訟法39条1項)。
④ 時間・回数・人数の制限。 施設は、家族などとの面会の相手方の人数、場所、日と時間帯、面会の時間と回数などについて、管理運営上必要な制限をすることができる。回数を制限するときも、1日につき1回を下回ってはならない(刑事収容施設法118条5項・114条、220条5項・6項)。これは毎日面会できることや、家族一人ひとりが1日1回ずつ面会できることを保障するものではなく、その日に別の人がすでに面会していると、その日は面会できないことがある。
⑤ 接見禁止。 逃亡や証拠隠滅を疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求または職権で、刑事訴訟法39条1項に規定する者(弁護人・弁護人となろうとする者)以外の人との面会を禁じ、書類や物の受渡しを禁止・検閲することができる(刑事訴訟法81条本文)。ただし、この処分で糧食(食べ物)の受渡しを禁じたり差し押さえたりすることはできない(同条ただし書)。これは、家庭で作った食べ物を自由に差し入れられるという意味ではなく、食品の差入れは施設の決まりに従う。接見禁止は、特定の家族との面会だけを許すなど、一部だけを禁じる内容や、後から一部が解除されることもある。
⑥ 差入れ。 家族が施設に持参したり送ったりした現金・物品は、施設の職員が検査し(刑事収容施設法44条3号・191条3号)、施設は差入れについて管理運営上必要な制限をすることができる(刑事収容施設法51条など)。差入れができる物の種類や数は施設ごとの決まりによるので、持参する前に施設に確かめる。
⑦ 手紙。 勾留されている人は、禁止される場合を除き、家族などと手紙(信書)をやりとりできるが、家族との手紙は施設の職員が検査する(刑事収容施設法134条・135条、221条・222条)。弁護人との手紙には別の扱いがある。
⑧ 家族が弁護人を選ぶ権利。 本人の法定代理人・保佐人・配偶者・直系の親族・兄弟姉妹は、本人とは別に、独立して弁護人を選任することができる(刑事訴訟法30条2項)。おじ・おば・いとこなど、これら以外の親族は、親族であるというだけでは独立して選任する権利はないが、本人や上の家族のために弁護士を探す手伝いはできる。国選弁護人の選任は、別の手続による。
1. 本人がどこの警察署(または拘置所)にいるか、勾留されたかどうかを確かめる。分からないときは、逮捕を連絡してきた警察署に問い合わせる。
2. 接見禁止が付いているか、付いているときは誰との面会や何の受渡しが禁じられているかを、弁護人を通じて確かめる。面会できないときは、弁護人に、一部解除の申立てや不服申立て(準抗告など)ができるかを相談する。弁護人に頼める伝言は、接見禁止の趣旨に反しない範囲に限られる。
3. 施設の面会受付の時間と、必要な持ち物(身分証明書など)を電話で確かめる。
4. 面会のときは、職員の立会いや録音・録画があることを前提に、事件の内容について話さないようにする。
5. 差入れをするときは、施設で受け付けている物の種類・数・方法(窓口・郵送)を確かめてから持参する。
6. 面会の時間は短いので、伝えたいことを事前にメモにまとめておく。
実務の視点 家族が面会で事件の話をすると、その内容が捜査や裁判で問題になることがある。事件のことは弁護人に任せ、家族の面会では本人の体調や生活のこと、家族の近況などを伝えるとよい。接見禁止を一部解除してもらう申立て(家族との面会だけを認めてもらうなど)を弁護人に頼めることもある。
① 逮捕の直後は家族が会えないことが多い。 家族が会えなくても、当番弁護士は本人と面会できる。家族は、弁護士会に当番弁護士の派遣を依頼できる。当番弁護士の初回の面会は無料だが、その後も弁護を続けて受けるには、私選の依頼や国選の選任などが別に必要になる。
② 接見禁止中でも、弁護人は面会できる。 弁護人や弁護人となろうとする者との面会は、接見禁止の対象ではない(刑事訴訟法81条は「第三十九条第一項に規定する者以外の者」との接見を禁じる)。
③ 差し入れた物がすべて本人に渡るとは限らない。 施設の制限に当たる物は、引取りを求められることがある(刑事収容施設法46条・193条)。
議論のある点 接見禁止を付けるか、その一部を解除するかは、事件の内容や捜査の状況によって判断が分かれる。逮捕の段階(勾留の前)の家族の面会は、刑事訴訟法209条が80条を準用していないことから認めないとする扱いが一般的とされるが、認めるべきだとする考え方もある。施設ごとの差入れの決まりも違う。一般論だけで判断せず、弁護人や弁護士会に相談してほしい。
・家族が逮捕されたが、面会できるか分からない
・接見禁止が付いていて、家族が会えない
・本人に急いで伝えなければならないことがある(仕事・子どもの世話など)
・弁護人を家族が選任したい
・本人に持病・服薬・重いアレルギー・けが・精神状態の悪化などがある(面会を待たず、施設と弁護人にすぐ知らせる。薬の差入れは先に施設に確認する)
具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。
逮捕を知ったら、まず当番弁護士を依頼し、本人の様子や面会の見通しを聞くのがよい。勾留が決まったら、接見禁止が付いているか、弁護人に確かめる。
勾留された人とは、家族も法令の範囲内で面会や差入れができるが、職員の立会いや録音・録画、回数・人数の制限がある(刑事訴訟法80条、刑事収容施設法116条・118条など)。逮捕の直後や接見禁止中は家族が会えないことが多く、その場合は弁護人を通じて連絡を取る。家族は自分で弁護人を選任することもできる。
出典
刑事訴訟法30条・39条・80条・81条・207条・209条(e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-20)
刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律44条・46条・51条・114条〜116条・118条・134条・135条・191条・193条・216条・218条・220条〜222条