弁護士に相談する前に知っておきたい法律の要点を、分野ごとにスレッド形式でまとめています。

このサイトについて:本サイトは、法律の問題を弁護士に相談する前に知っておくと、弁護士の話が理解しやすくなる基礎知識をまとめたサイトです。掲載している情報は、スレッドの形でまとめています(掲示板の体裁ですが投稿は受け付けておりません)。評価や見解が分かれる点は「議論のある点」として示しています。あくまで管理人の便宜のために作成した参考情報ですので、個別のご相談にはお答えできません。ご自身の個別事案については弁護士にご相談ください。なお、条文の原文・判例・公的機関の資料を機械的に照合し、AIによる確認・文書の補充をしておりますが、掲載情報には誤りが含まれることがあります。本サイトで相場観を掴んだうえで、弁護士に相談をしてください。

自転車の加害事故|歩行者にけがをさせたときの賠償責任

このスレッドは、AIが確認した情報を掲載したものです。スレッド形式は見せ方だけで、実際の投稿や利用者の体験談ではありません。
赤い枠の「議論のある点」は、評価や見解が分かれる点です。書き込み・返信はできません。

この記事の要点

  • 法令上の自転車(基準に合った電動アシスト自転車を含む)は道路交通法上の軽車両で、自動車損害賠償保障法(自賠法)の「自動車」には当たらない。そのため自賠責保険はなく、自転車を運転していた人の責任は、民法709条に基づき、過失や損害との因果関係などから判断される。
  • 加害者が子どもで、自分の行為の責任を理解する能力(責任能力)がない場合は、子ども本人は賠償責任を負わず、親などの監督義務者が原則として責任を負う(民法712条・714条1項)。監督義務者は、監督を怠らなかったことなどを証明すれば責任を免れる。子どもに責任能力がある場合でも、親自身の監督の怠りが事故とつながっていれば、親が709条で責任を負うことがある。
  • 自転車事故でも、重い後遺障害が残れば高額の賠償になる。11歳の子の自転車事故で、親に被害者と保険会社への計約9,500万円の支払を命じた裁判例がある(神戸地判平成25年7月4日)。自転車を運転する人は、自分や家族が入っている保険で補償されるかを確かめておく。
  • --

問題提起

自転車で走っていて、歩道で歩行者とぶつかってしまった。相手は転んでけがをし、入院した。自転車には自動車のような強制保険がない。自分はどこまで責任を負うのか、子どもが起こした事故なら親はどうなるのか。自転車の事故でも、責任は重くなりうる。

法律の文言(民法709条・712条・714条1項)

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。民法709条(e-Gov法令検索で原文確認)
未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。民法712条(e-Gov法令検索で原文確認)
前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。民法714条1項(e-Gov法令検索で原文確認)

要件

① 自転車には自賠法が適用されない。 自賠法の「自動車」は、道路運送車両法の自動車と原動機付自転車をいう(自賠法2条1項)。自転車は道路交通法上の軽車両で(道路交通法2条1項11号)、自賠法の運行供用者責任(3条)や自賠責保険の対象にならない。被害者は民法709条に基づき、加害者の過失などを主張・立証して賠償を求めることになる。なお、ペダルが付いていても、いわゆるモペットやフル電動の自転車などは原動機付自転車などに当たり、自賠責保険への加入や免許が必要になる場合がある。

② 過失。 前をよく見ていなかった、速度を出しすぎた、スマートフォンを見ながら運転した、などの不注意があれば過失が認められやすい。普通自転車が歩道を通行できる場合でも、原則として歩道の中央から車道寄りの部分を徐行し、歩行者の通行を妨げることとなるときは一時停止しなければならない(道路交通法63条の4第2項)。

③ 加害者が子どもの場合。 責任能力がなければ子ども本人は賠償責任を負わず、親権者などの法定の監督義務者が責任を負う。ただし、監督義務者は、監督義務を怠らなかったこと、または怠らなくても損害が生じたことを証明すれば責任を免れる(民法714条1項ただし書)。責任能力の有無は、小学生か中学生かで一律に決まるものではなく、年齢、発達の状況、行為の性質などから判断される。子どもに責任能力があれば子ども本人が賠償責任を負い、親の監督の怠りと事故との間に因果関係があれば、親も709条で責任を負うことがある。

④ 裁判例。 11歳の子が運転する自転車が歩行者と衝突した事故で、唯一の親権者である親に対し、民法714条1項に基づき、被害者への約3,520万円と、被害者に人身傷害保険金を支払った保険会社への約6,000万円の支払を命じた例がある(神戸地判平成25年7月4日・判時2197号84頁)。

⑤ 仕事中の事故。 配達など仕事として自転車を運転していた場合は、雇い主が使用者責任(民法715条)を負うことがある。

⑥ 刑事責任。 不注意で人にけがをさせれば過失傷害罪(刑法209条。告訴がなければ起訴されない)、人を死亡させれば過失致死罪(刑法210条)、重大な過失があれば重過失致死傷罪(刑法211条後段)に問われることがある。仕事として運転していた場合は業務上過失致死傷罪(同条前段)が問題になる。14歳未満の子どもの行為は罰せられない(刑法41条)。

手続の流れ(加害者になったとき)

1. 自転車を運転していた人は、その場で自転車を止め、けが人を救護し、警察に届け出る。自転車も道路交通法上の車両で、事故のときの救護・報告の義務がある(道路交通法72条1項)。
2. 相手の連絡先を確かめ、自分の連絡先を伝える。目撃者がいれば連絡先を聞く。
3. 自分や家族が入っている保険(自転車保険、自動車保険・火災保険・傷害保険の個人賠償責任特約、クレジットカード付帯の保険など)を確かめ、保険会社に速やかに連絡する。
4. 保険会社や弁護士と相談しながら、治療費の支払や示談の話し合いを進める。その場で賠償額を約束したり、念書を書いたりしない。

実務の視点 個人賠償責任保険は、自動車保険や火災保険の特約として、家族も対象になっていることが多い。ただし、「家族」の範囲、支払の限度額、示談交渉のサービスの有無、仕事中の事故を対象外とする条項などは約款で決まるので確かめる。多くの自治体は、条例で自転車の利用者に損害賠償責任保険等への加入を義務づけたり、努力義務としたりしている。住んでいる地域だけでなく、自転車を使う地域の条例も確かめる。

確認点・よくある誤解

① 自転車でも賠償額は自動車と同じ考え方で計算される。 けがの程度が同じなら、治療費・休業損害・慰謝料・後遺障害の損害の考え方は自動車の事故と大きく変わらない。

② 歩道は歩行者優先。 自転車が歩道を通れる場合でも、徐行や一時停止の義務があり、事故になれば自転車側の過失が大きく見られやすい。

③ 被害者側の過失。 被害者にも過失が認められれば、その内容・程度を考慮して賠償額が減らされることがある(民法722条2項)。ただし、歩行者が急に現れたというだけで、当然に歩行者の過失が認められるわけではない。

④ 保険がないと自分で払うことになる。 自賠責保険のような最低限の保険はないので、保険に入っていなければ、賠償金は加害者が自分の財産から払うことになる。

議論のある点

議論のある点 子どもの責任能力の有無、親の監督義務の内容と、監督を怠らなかったといえるか、責任能力のある子の事故で親が709条の責任を負うか、自転車と歩行者の過失割合は、事故の状況や子どもの年齢・発達の状況などで判断が分かれる。一般論だけで判断せず、弁護士に相談してほしい。

特に相談した方がよい場面

・相手のけがが重い、後遺障害が残りそうだ
・保険に入っていない、保険の対象になるか分からない
・子どもが起こした事故で、親として責任を問われている
・仕事中(配達など)の事故だった
・相手から高額の請求を受けた、念書を求められている
・警察から事情を聴かれている、刑事手続が心配だ

具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。

相談のタイミング

事故の直後、相手と賠償の約束をする前に、まず保険会社に連絡し、必要に応じて弁護士に相談するとよい。刑事手続で警察から呼出しを受けた場合や、訴状などの裁判所の書類が届いた場合も早めに相談する。

まとめ

自転車には自賠責保険がなく、運転していた人は民法709条で賠償責任を負うことがある。責任能力のない子どもの事故では、親が監督義務者として原則として責任を負い(子どもに責任能力があれば、親の責任は親自身の過失などから判断される)、高額の賠償を命じた裁判例もある。家族の保険を含めて補償を確かめ、相手との約束の前に保険会社や弁護士に相談するとよい。

出典

民法709条・712条・714条・715条・722条2項・724条・724条の2/自動車損害賠償保障法2条1項・3条/道路交通法2条1項11号・63条の4・72条1項/刑法41条・209条・210条・211条(いずれも e-Gov 法令検索で原文確認・2026-10-19)/神戸地判平成25年7月4日(平成23年(ワ)第2572号)判時2197号84頁

最終確認日
2026年10月19日
法令の基準時
2026年10月時点の法令による
出典(外部サイト)
e-Gov 法令検索(デジタル庁)〔外部サイト〕/裁判所ウェブサイト〔外部サイト〕
ご相談
個別の相談には応じません。具体的な事案は、法律事務所、弁護士会の法律相談センターや法テラス等にご相談ください。

同じ小分類(自転車・歩行者の事故)のスレッド

  1. 自転車の加害事故|歩行者にけがをさせたときの賠償責任
  2. 自転車保険|加入の確認と使える補償の範囲
  3. 自転車同士の事故|過失の考え方と話し合いの進め方
  4. 子どもの自転車事故|親が賠償責任を負う場面
  5. 責任能力のない子ども|監督義務者の責任の考え方
  6. 高校生の加害事故|本人と親のどちらに請求するか
  7. 自転車の歩道走行|歩道で起きた事故の責任の考え方
  8. 加害者が保険未加入|自転車事故の賠償金の回収の工夫
  9. 自転車事故と警察|人身事故として届けるかの判断
  10. 自転車の交通違反|取締りと事故の賠償責任の関係
  11. ヘルメットの着用|頭のけがと過失の評価
  12. 夜間の無灯火|自転車のライトと過失の見方
  13. 高齢の歩行者|道路を渡っていたときの事故の評価
  14. 歩行者の飛び出し|運転者が避けられなかったかの判断
  15. 駐車場での歩行者事故|車の後退時に起きた事故
  16. 横断歩道上の事故|歩行者が優先される場面と例外
  17. 電動キックボード|歩行者や自転車との事故の責任
  18. 自転車事故の示談|加害者本人と直接話し合うとき
  19. 歩行者のけが|自転車事故で請求できる賠償の範囲
  20. 自転車と自動車の事故|自転車側が受け取る賠償の考え方
  21. 歩きスマホ|歩行者の不注意と過失の評価
  22. 子どもが歩行中に事故|保護者の監督と過失の扱い
  23. 自転車の加害事故と刑事手続|捜査を受けたときの対応
  24. 集合住宅の自転車置場|敷地内での接触事故の責任

大分類事件・事故の他の板 中分類 3

中分類刑事事件

  1. 逮捕|家族が身柄を拘束されたら
  2. 身柄拘束|逮捕から起訴判断までの時間の制限
  3. 弁護人|国選と私選の違い
  4. 刑事事件の示談|処分にどう影響するか
  5. 少年事件|捜査から家庭裁判所まで
  6. 少年審判|処分の種類と手続
  7. 起訴後の流れ|起訴状が届いてから判決までの道筋
  8. 起訴状の読み方|公訴事実と罪名の確かめ方
  9. 刑務所での生活|受刑者の日課と処遇の仕組み
  10. 刑の執行の始まり|判決確定後に呼出しを受けたとき

中分類犯罪被害者

  1. 被害者参加|刑事裁判に被害者が加わる制度
  2. 損害賠償命令|刑事裁判の成果を使う賠償請求

中分類ネット中傷・削除

  1. 発信者情報開示|投稿者を特定する手順
  2. 接続記録|早く動かないと消える理由
  3. 投稿の削除|サイト運営者への削除依頼
  4. 検索結果|表示の削除を求められる場合
  5. 名誉毀損と侮辱|事実の摘示の有無
  6. ネット中傷の賠償額|金額を左右する事情